2008年11月24日

「ブラックサイト/UNTRACEABLE」

「ブラックサイト/UNTRACEABLE」
「ブラックサイト/UNTRACEABLE」
2008年製作 米国
監督:グレゴリー・ホブリット 製作:アンディ・コーエン、ホーク・コッチ、ゲイリー・ルチェッシ、スティーヴン・パール、トム・ローゼンバーグ 製作総指揮:ジェームズ・マクウェイド、エリック・リード、リチャード・ライト、ハーリー・タンネボーム 原案/脚本:ロバート・フィヴォレント、
マーク・R・ブリンカー 脚本:アリソン・バーネット 撮影:アナスタス・ミコス プロダクションデザイン:ポール・イーズ 衣装デザイン:エリザベッタ・ベラルド 編集:デヴィッド・ローゼンブルーム 音楽:クリストファー・ヤング
出演:ダイアン・レイン、ビリー・バーク、コリン・ハンクス、ジョセフ・クロス、メアリー・ベス・ハート、ピーター・ルイス、タイロン・ジョルダーノ、パーラ・ヘイニー=ジャーディン、ティム・デザーン、クリス・カズンズ

老け熟れ加減も美しく魅力的な私と同世代で、デビュー当時からの出演作を見続けて来た私の青春のスター女優さんであるダイアン・レイン主演ということで近所のレンタルビデオ店でDVDを借りて観てみました。

映像のトーンが醸す雰囲気や空気感は好きですし、過去のこの手の作品の色々な要素が踏襲されて盛り込まれた締まってしっかりした(オーソドックスな)作りをしたサスペンス・スリラー映画作品やに感じますが、妙や趣は感じられませんし、ウェブサイトを舞台に繰り広げられる劇場型連続猟奇殺人という当世風の題材が描かれているものの、色々な面で斬新さもそうは感じられない気がします。過激な残酷描写があったりしますが、意外にさらりと観れてしまったりしますし、ハラハラドキドキの緊迫感よりもイライラしたもどかしさをより感じてしまう気がします。テーマ、メッセージ性があるようでいて、どこかピントがズレて感じられてならなかったりもして、何というか中途半端というかどっちつかずな気がしてしまいます(が、反面、色々な問題が盛り込まれているように見て取れなくもありません)。導入部のさり気なさは嫌いではありませんし、構成や展開、特に前半は緊迫感が漂い、惹き込まれるものがありますし、100分と短めの尺というとこもあってか、最後まで飽きることなく観れますが、後半で明かされる犯人の犯行動機には、ある意味リアリティーを感じつつも、これだけ大それた残忍な犯行に至らしめるそれにしては"納得"や"説得"に欠け、興醒めすら覚えてしまい、もう一押し欲しいというか、もう少し"納得"や"説得"を丁寧にじっくり描いて見せて欲しかった気もします。

主人公のFBIでネット犯罪を専門に取り締まる女性捜査官、"ジェニファー"を演じているダイアン・レインは、彼女自身の演技、存在感や雰囲気は上述のように魅力的に映るものの、どうも役にはもう一つマッチしていない気もして、やや消化不良気味だったりもします。彼女には是非ジョディ・フォスターと共演して欲しい気がします。"ジェニファー"らと協力して事件を捜査する地元ポートランド警察の"エリック・ボックス"刑事に扮するビリー・バークは中々味のある、イイ演技を見せ、渋い存在感を示しているやに思います。NHK衛星第2テレビジョン(BS2)で放送されたトニー・シャルーブ主演で、吹替えを角野卓造さんが見事に演じているのミステリー・サスペンス・コメディ『名探偵モンク 2』の第3話『謎の悲鳴』での"ブラッド・テリー"役も印象的だったりします。ジョセフ・クロスには、もう少し微妙な演技と雰囲気を見せてもらえていたらと思います。

BS2で放送されたあおい輝彦さんの吹替えも渋いアンソニー・ラパリア主演の犯罪サスペンスドラマ『FBI 失踪者を追え!3』の第15話『10万ドルの価値』の方が見応えがある気がしたりします。

以前の投稿記事で取り上げてもいます李相日監督/脚本、加瀬亮さん、オダギリジョーさんと栗山千明さん主演の青春ドラマ映画作品「スクラップ・ヘブン」や最近観て最も感じ入った絲山秋子さんの同名小説を本橋圭太監督が、美波さんと吉沢悠さん主演で映画化した青春ロードムービー・ドラマ作品「逃亡くそたわけ-21才の夏」で引用されている(ゲオルク・ヴィルヘルム・フリードリヒ・)ヘーゲルによる人間関係(コミュニケーション)について考察した言葉、"人間の欲望は他者との相関性にしかない。自分の意志とか思考が純粋に存在していないのだから、他者と分かり合うことを想定すること自体が間違っている"を想起したりします。

個と個あるいは個とその社会との(相関)関係におけるズレ・齟齬や矛盾...幻想を幻滅させる現実..現実を幻滅させる幻想...怒りや憎悪、フラストレーション...そして...やはり...暴力との結びつき...何とも虚しい...。
何が言いたいのやら私は...。

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2008年11月16日

「けものがれ、俺らの猿と」

「けものがれ、俺らの猿と」
2000年製作 日本
監督/編集:須永秀明 プロデューサー:小澤俊晴、長谷川真澄、平田樹彦、小椋悟原作:町田康『けものがれ、俺らの猿と』(文藝春秋刊『屈辱ポンチ』所収) 脚本:木田紀生、久保直樹 撮影:北信康 音楽プロデューサー:曾田茂一
出演:永瀬正敏、鳥肌実、小松方正、車だん吉、ムッシュかまやつ、松重豊、田口トモロヲ、立川志らく、手塚とおる、石堂夏央、鮎貝健、中山マリ、山本ふじこ、阿部能丸、ゴリ(*猿)、降谷健志(友情出演)

町田康さんの小説集『屈辱ポンチ』に所収されている同名作品をミュージック・ビデオ畑出身の須永秀明監督が私がファンである永瀬正敏さん主演で映画化した作品です。

シュール、アバンギャルド、アングラで、パンキッシュなインパクトがあり、癖のあるドライブ感というのかトリップ感に溢れて、不条理感漂う奇矯というか下手物趣味というかのニヒルでシニカルな痛々しい笑いとファンタジックさをした作品やに感じます。不快感をもよおさせる映像・音響描写やバラエティに富んだ音楽が作品を煽っているやに感じます。妙や趣はさして感じられない気がします。何をか言わんやについては、何かは伝わって来る感じはしつつも、書き記せるほど良くはわかりません。私にとってはいちいち面白かったりして、何だか癖になる作品で、ついつい何度となく観返してしまいます。石橋義正さんなる監督が脚本、撮影監督、美術、編集、照明、製作をも手掛けているコメディ・モンド・ミュージカル映画作品「狂わせたいの」のような感覚をしているやにも感じます。

家の柱に画鋲で無造作にとめられたしわくちゃの紙っぺらに、"私はもっと有意義な人生を送りたい"、と殴り書きされた書き置きを残して妻が英国に留学してしまって以来、自堕落な生活が故に仕事はほとんど途絶え、車だん吉さん扮する"義父"に借りて住む閑静な住宅街にある廃屋寸前の一軒家は荒れ放題、近所の人たち、仲間たちからすらも疎まれ、家の壁には"ナイス害"なぞといった誹謗の落書きをされ、庭にはゴミを不法投棄される始末で、部屋の中は無法地帯と化し、得体の知れない奇怪な肉食中まで繁殖しているようなひどい有様の日常を送る中、その上"義父"からはその家からの即刻退去するよう命じられて、いよいよにっちもさっちも行かなくなる廃人寸前のしがない脚本家の"佐志"を演じている永瀬正敏さんは私がファンだからやも知れませんが、エキセントリックな役を緩急微妙なバランスをコントロールした抑制的な演技(と存在感)をもって自然に、かつ魅力的で見事に演じて魅せてくれているやに感じます。ヘッドギア、ライダースーツ、ゴム長、ゴム手袋に身を包んだ姿もカッコイイと思います。着ているシャツが気になります。
"佐志"にゴミの処分場を巡る社会派サスペンスにして美男美女が活躍する娯楽作品でもある映画のシナリオの執筆を依頼する邦画界の至宝にして半世紀に渡る映画人生の足跡は正に偉大な社会派プロデューサーという何とも胡散臭い"楮山"をひょうひょうと怪演している小松方正さんをはじめ、脇を固めるキャストの面々もエキセントリックだったり、シュールだったり、ファンキーだったりする役を個性的でインパクトのある演技と存在感で演じて見せてくれていると思います。そして何といっても地元出身のセメント会社の会長が資材を投じて建設したというツートンカラーの巨大大仏のいる涅槃パークの駐車場で卒倒してしまった"楮山"のために助けを呼ぼうと電話を探していて道に迷ってしまった"佐志"を助け、自宅に招きもてなす"田島"を演じている鳥肌実さんです。油で撫でつけた髪もギラギラと、不気味でアブナイ魅力炸裂でインパクト強烈、とにかく可笑しくて堪りません。F氏の大学の先輩にあたる車だん吉さんは本作で唯一ともいえるまともな登場人物に思える"義父"を味のある微妙な演技と存在感で演じていると思います。ゴミ処分場のあるある町(このロケ地が気になります)をシナリオハンティングで訪れた"佐志"を立ち寄った本屋で暴れたとして防音設備が整った部屋に監禁し、"あーたは私に.."と警棒でいたぶる自警員を演じている松重豊さんの演技もオカシクてインパクトあると思います。草村で倒れていた"佐志"を助けるゴミ捨て場の青年を演じている降谷建志さんは存在感ある演技を見せてくれていると思います。八つ墓村な田口トモロヲさんも何だか良くわかりませんが、オモシロイです。石堂夏央さんがゴミ処分場のあるある町の本屋の女店員役で、『ROCK FUJIYAMA』のKENNY GUYこと鮎貝健さんが終盤クライマックスに喫茶店のお客さん役で出演しているのも私的には見所だったりします。

"俺がいったい、何をした!?どいつもこいつも、なめやがって!"と恨み言を吐く(自分にツバを吐きつけていることに気づかない)俺自らが見せる(一種の逃避的)ファンタジックバッドドリーム(ファンタズム)なのやも知れません...正体の曖昧な俺という迷宮に落ちる..."楮山"も..."田島"も...猿の"アンジー"も皆、俺自身、もしくは自分と同じなのやも知れません...現夢...。

...トンボ...鈴木清順監督作品っぽかったりもするかしら...。

*心覚え(作品中に登場する台詞・人物・言葉・事物等)
活写 (スル)物事のありさまを生き生きと描き出すこと。

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2008年11月09日

大分みかん色に色づいてきたみかん

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先日『まだ青いみかんとレモン』という記事を投稿した際には、実はついたものの、まだ青かった叔父貴の家の庭に植わっているみかんの木ですが、ここに来て大分みかん色に色づいてきましたので、また写真を掲載しておいてみたいと思います。鮮やかなみかん色をした甘くて美味しい実になるのも間もなくと思います。お気に入りリンクで紹介しておりますブログ『ごみつ通信 MOVIE LOVER'S DIARY』のごみつさんよりの記事へのコメントに対する返答コメントにて、"隣家のみかんの木の実は大分黄色く色づいてきています"と記しましたが、あれはみかんなぞではなく柿の木でした。とんだ見間違いでした。失礼しました。実際みかんの木も植わっていますが、叔父貴の家のそれと同程度の色づき加減です。柿の実は見事に熟れて鮮やかな柿色に色づいて美味しそうです。我が家の庭に植わっているレモンの木の実はまだ青いままです。
逆光ですし、生憎の曇り空で...。

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「X-ファイル ザ・ムービー」{テレビ(地上波)放映情報}

明晩、11月10日(月)の21:00〜22:54にTBSの『月曜ゴールデン』にて『秋のミステリー映画スペシャル』として90年代に世界中で一大ブームを巻き起こしたクリス・カーター監督/製作総指揮/企画/脚本、デヴィッド・ドゥカヴニーとジリアン・アンダーソン主演のTVSFサスペンス『X-ファイル』シリーズをクリス・カーターが製作と脚本を手掛け、ロブ・ボウマン監督で映画化したSFサスペンス・ミステリー作品「X-ファイル ザ・ムービー」が放映されます。待望の劇場版である本作、私は公開初日に満を持して劇場に観に行きました。期待値が大きかったせいもあってか、初めて観た印象は、謎は明かされることがないばかりか、深まる謎が新たな謎を呼ぶばかりというのは良しとして、もう一つ想像を喚起させてくれるような深みや広がりに欠けるような気がして、今一つ物足りない感じがしましたが、人気TVシリーズの劇場版ならではのスケール感をして感じられますし、まずまず見応えのある作品と思います。私としての見所は、序盤テキサス州北部の田舎町で友達と穴掘りをして遊んでいて、穴の下に出現した洞窟に落ちてしまう少年、"スティービー"を演じているのがサム・ライミ等製作総指揮のTVサスペンス・ホラー・シリーズ『アメリカン・ゴシック』でゲイリー・コール扮する悪の化身である"ルーカル・バック保安官"と対立する少年、"ケイレブ・テンプル"を演じているルーカス・ブラックであること(因に『アメリカン・ゴシック』で"ケイレブ"の教師であり、"バック"の愛人でもある"セリーナ・クームズ"を演じているブレンダ・バーキは原田眞人監督、脚本、高島政宏さん主演のSF特撮ロボット映画作品「ガンヘッド」でテキサス・エア・レンジャースの女兵士、"二ム"を演じていたりします)やクリス・カーター製作総指揮、ランス・ヘンリクセン主演のTVサイコ・サスペンス・ミステリー・ホラー『ミレニアム』シリーズで元FBI捜査官を中心に組織された謎の犯罪捜査コンサルタント組織"ミレニアム"の主要メンバーである"ピーター・ワッツ"を演じているテリー・オクィンがビルに仕掛けられた時限装置を解除しようとする捜査主任"Darius Michaud"に扮して登場する(因にテリー・オクィンはTVシリーズのセカンド・シーズンの12話『オーブリー』とシーズン・ナインの第6話『トラスト・ノー・ワン』にゲスト出演しています)爆破予告があったダラスの連邦ビルの向かいのビルが爆発するという不可解な事件のシーンなぞだったりします。デヴィッド・ドゥカヴニー演じる"フォックス・モルダー捜査官"の父親、"ビル・モルダー"の古い友人、国務省時代の元同僚で、"モルダー"に爆破されたビルに"連中(一連の事件と宇宙人たちと内通する謎の組織)"の陰謀の証拠が隠されているということを告げる"アルビン・カーツウェル博士"をマーティン・ランドーが演じているのも見所です。ビル爆破事件後、ワシントン.D.CにあるFBI本部の職務監査部で行われる事件の責任の所在を明らかにさせる審問会見でジリアン・アンダーソン扮する"ダナ・スカリー捜査官"と"モルダー捜査官"に事件の事情を聴くJana Cassidyを演じているブライス・ダナーはグウィネス・パルトローのお母さんです。先週の金曜日、11月7日からは『X-ファイル』の劇場版第二作「X-ファイル:真実を求めて」が全国劇場にて公開されてもいますので、劇場版第一作目の本作をこの機に(また)観てみてはと思ったりします。

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2008年11月03日

「ゼロ時間の謎/L'HEURE ZERO/TOWARDS ZERO」

「ゼロ時間の謎/L'HEURE ZERO/TOWARDS ZERO」
2007年製作 仏国
監督:パスカル・トマ 製作:ユベール・ワトリネ、ベルナデット・ザンク 原作:アガサ・クリスティ『ゼロ時間へ』(クリスティー文庫刊) 脚本:フランソワ・カヴィリオーリ、ナタリー・ラフォリ、クレマンス・ドゥ・ビエヴィーユ、ロラン・デュヴァル 撮影:ルナン・ボレ プロダクションデザイン:カーチャ・ヴィシュコフ 衣装:カトリーヌ・ブシャール 編集:カトリーヌ・デュボー 音楽;ラインハルト・ワーグナー

出演:メルヴィル・プポー、キアラ・マストロヤンニ(マルチェロ・マストロヤンニとカトリーヌ・ドヌーヴの娘さん)、ローラ・スメット、ダニエル・ダリュー、アレサンドラ・マルティネス、フランソワ・モレル、クレマン・トマ、ジャック・セレ、ザヴィエ・ティアム、エルヴェ・ピエール

『ミステリの女王』アガサ・クリスティーによる野心作『ゼロ時間へ』を以前の投稿記事で取り上げています同じアガサ・クリスティーの人気キャラクター『おしどり探偵トミー&タペンス』の活躍を描いた長編小説『親指のうずき』の舞台を英国から仏国に移して映画化した「アガサ・クリスティーの奥さまは名探偵/MON PETIT DOIGT MA DIT...」の監督/製作/脚本を務めているパスカル・トマが監督を手掛けて、舞台を英国から仏国に、時代設定も現代に移して映画化した作品とのことで、近所のレンタルビデオ店でDVDを借りて観ました。残念ながら、こちらも原作は未読です。

どっぷりと惹き込まれるというのでも、見所満載、見応え充分というのでもありませんが、108分と短めの尺ということもあってか、そつの無い締まった作りに感じられて、最後まで飽きることなく、ついつい観れてしまいます。サスペンスフルな緊張感・緊迫感に満ちているという風ではありませんが、締まった雰囲気や空気感をしているやには感じられます。クリスティ流のミステリの伏線、仕掛けやミスリードの仕方が微妙に滲ませて描かれているやに感じられて、程好く堪能出来る気がします。登場人物の微妙な距離感やそこに漂う雰囲気や空気感は不思議な感じがします。監督のテイスト、妙や趣は特に感じられず、インパクトには薄い気がしますが、細かい(微妙な)演出・描写には、うむうむとうなずいてしまうところもあったりしますし、構成、(ある意味意表を突かれるやの)展開(やエピソードの絡め方)は巧妙に面白く思えます。クリスティ好きなのだろうことはわかる気がします。原作小説を読んでいないので、わかりませんが、時代設定や舞台の変更による雰囲気、空気感、テイストや趣の原作を読んで受ける印象との違いは気になるところではあります。しっとりとシックで上品な印象で、(意表外にも)仄かに感動を覚えたりもする作品です。もう少し映画としての毛連味があっても好いかななぞと思ったりはします。犯人は誰かなぞと推理を巡らせながらでなくとも、飽きずに観れるやに思います。

出演者は皆さん演技達者、芸達者で、そつのない演技と適度な存在感を披露してくれているやに思います。中でもメルヴィル・プポー演じるハンサムなテニスプレーヤー、"ギョーム・ネヴィル"の若く美しく奔放で我がままで嫉妬深い新妻、"キャロリーヌ"に扮するローラ・スメットの演技や存在感は、その良し悪しについては判断しかねるところがありますが、インパクトは強烈で、とても気になります(演技については独りよがりやに映る気もしますが...)。。ただ、彼女が演じる"キャロリーヌ"のようなキャラクターの存在が作品にどれだけ効果しているのか、必要不可欠なのかと思ったりもします。道化役の執事、"ウルトビーズ"とメイドの"エンマ"を演じているPaul MintheとVale´riane de Villeneuveは控え目ながらコミカルで効いていると思います。ダニエル・ダリュー扮する"ギョーム"の叔母の富豪の老婦人、"カミーラ"の付き人、"マリ=アドリーヌ"を演じているアレサンドラ・マルティネスは颯爽としつつも(どこか)悩まし気で陰がある感じが魅力的に映ります。"ギョーム"の別れた前妻、"オード"を演じているキアラ・マストロヤンニは眼の表情がとても印象的で魅力的に感じます。"バタイユ警視"と演じているフランソワ・モレルは魅力的とまではいきませんが、抑制的で好感が持てます。逮捕される"オード"が見せる仕草を目にしたときに中学生の娘の"シルヴィー"がある出来事で見せたそれとオーバーラップして、思わずはっとする彼の表情は印象的です。その"シルヴィー"が見せる表情も印象的です。"シルヴィー"のエピソードと事件との絡め方は微妙・絶妙に感じられて、思わずほろりと来てしまいます。観終わってみると、メルヴィル・プポーは"ギョーム"を控え目な演技と存在感をもって絶妙・微妙に演じているやに気づく気がします。

「私はー 推理小説が好きだがー どれも出だしがまずいー 必ず殺人からはじまる だが殺人は結果なのだ それ以前からある 要因の結果が殺人なのだよ ある人間たちが ある日のー ある時間 ある場所へ 行くというー 出来事が起きる そして沸点に達するとー フタが吹き飛び 犯罪が行われる そのときがゼロ時間なのだ 全員がゼロ時間に向かって近づくのだ ゼロ時間...」 「誰かが私の墓の上を歩いたようだ」 「血と犯罪の物語としたらー この瞬間から始めよう 暖炉の前に座る老人がー 手紙の封を切る 何も気づかずにー ゼロ時間に近づく 『拝啓 この夏当ホテルは改築のため...』 けしからん こいつは困ったもんだ 長年の習慣なのに..」という、冒頭でジャック・セレ扮する元検事の"トレヴォーズ弁護士"が語るとても興味深いお話のポイントとなる台詞からしても本(映画化)作に関しては仏語原題原題や英題の「L'HEURE ZERO/TOWARDS ZERO{英文原作の題名に同じ(=ゼロ時間へ)}」よりも邦題の「ゼロ時間の謎」の方がよりしっくりいく気がします。全ては終焉(犯罪の解決)のためにある...偶然も必然なのですから...。

アヘンの(ベトナム)土産というのも、何とも...。

自尊心なるものは大切で厄介なものだったりするのやも知れません...そもそも往々にして大切なものというのは厄介なものだったりするのやも知れませんが...。

今回もまた取り留めのない記事となってしまいました...。

結構噛観応えもある作品なのやも知れない気もします...。

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posted by ウォルター at 14:34| ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 鑑賞映画について(外国映画) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする