2008年07月20日

「Wの悲劇」

「Wの悲劇」
1984年製作 日本
監督/脚本:澤井信一郎 製作:角川春樹 プロデューサー:黒澤満、伊藤亮爾、瀬戸恒雄 原作:夏樹静子『Wの悲劇』 脚本:荒井晴彦 撮影:仙元誠三 美術:桑名忠之 編集:西東清明 音楽久石譲 音楽プロデューサー:高桑忠男、石川光 助監督:藤沢勇夫
出演:薬師丸ひろ子、世良公則、三田佳子、三田村邦彦、高木美保、蜷川幸雄、志方亜紀子、清水紘治、南美江、草薙幸二郎、西田健、香野百合子、日野道夫、仲谷昇、梨本勝、福岡翼、須藤勘一郎、藤田恵子

先日ひょんなことから公開時に劇場で観て以来、二十数年ぶりに夏樹静子さん原作の同名小説を澤井信一郎さんが監督と脚本を手掛け、薬師丸ひろ子さん主演で映画化したサスペンス・ドラマ映画作品「Wの悲劇」を観ました。初めて観たときには、先に読んでいた原作に何というか匂いのある読み応えを感じるというような本格ミステリという印象を得ていただけに、原作が劇中劇として描かれてしまっていることに物足りなさを感じたりもしたものですし(同時上映の森村桂さんの同名小説大林宣彦さんが監督/潤色/編集を手掛けて、原田知世さん主演で映画化したロマンス作品「天国にいちばん近い島」も観る前に原作を読んでいたこともあって、本作以上に物たらなさを感じた覚えがあります...大林監督作品ということできたしていましたし、キャストも面白いと思ったのですが...原田知世さんはカワイイですし、彼女が歌う主題歌もイイです...)、薬師丸ひろ子さん扮する"三田静香"が研究生として在籍している劇団『海』の看板役者の一人、"五代淳"を演じている三田村邦彦さんや"静香"が女優としての幅を広げるために先輩である"五代"と一夜を過ごした翌朝の帰り道に自宅近所の公園で知り合った不動産屋に勤める"森口昭夫"役の世良公則さんらのアッサリしているのかくどいのか良くわからなかった演技や演出も今見てみると時代や当時風の角川映画的リアリティーが懐かしさと共に感じられながら観れてしまいますし、構成もしっかりして、そつなくて中々見応えがあって結構惹き込まれもしていました。雰囲気や空気感に不思議な緊張感が漂って感じられているのも面白い気がしますし、何気ない日常的なシーン、"静香"が住まうアパートとその部屋、静香が所属する劇団『海』の劇団員たちが居酒屋に集い、舞台上演することとなった『Wの悲劇』の台本を読み上げるシーンや静香と森田昭夫が偶然再開する銭湯のコインランドリーのシーンなぞも何だか惹かれるものがある気がします。上述の"静香"と"昭夫"が出逢うシーンも何だかイイと思います。稽古のシーンは三谷幸喜さんが脚本を手掛ける人気シットコム『やっぱり猫が好き』シリーズのもたいまさこさん、室井滋さんと小林聡美さん扮する恩田三姉妹が素人探偵として活躍するコメディ・サスペンスドラマ『やっぱり猫が好き殺人事件』のそれが想起されてならなかったりしますが...。

薬師丸ひろ子さんは、魅力的かどうかはともかくとして、コクのある印象的な存在感を醸した見応えを感じる演技を魅せてくれているやに思いますし、ともあれ、嫌いではありません。劇団『海』の看板女優、"羽鳥翔"役の三田佳子さんや劇団『海』の次回公演作『Wの悲劇』で準主役である娘役を射止める"静香"と同じ研究生の"菊地かおり"を演じている高木美保さんも、個人的には魅力的かどうかはともかくとして、見応えある演技と存在感を魅せてくれているやに感じます。

人生、人間ドラマとして、パッション、壮絶さ、残酷さ、(情熱的)諦観や一過程性が当時風の意外とさらりとしたタッチで描かれた興味深い映画に思えなくもない反面、そつなくまじめに撮られ過ぎている嫌いも否めない気もして、もう一つ面白味にも重厚さにも欠ける気がしてしまうのは残念な気もするのと、もう一つアクセントなり癖なりのある演出をもって露に描くなり、作品の世界観からすると異質のタイプのインパクトのあるというか、惹きのある魅力的な登場人物もしくはキャストの存在が加味されなぞしていたら、もう一つ面白く、印象的な作品と感じられたやも知れないなぞと思ったりします。青春期に観たこの手の作品を観返してみて、ありがちな気恥ずかしさは感じませんでした。劇中劇のシーンは劇団『海』の演出家、"安部幸雄"を演じている蜷川幸雄さんが演出を手掛けているだけあって見応えありそうな舞台に映ります。それと巧いかどうかは別にして、蜷川さんの何気ない微妙なディテールの演技は何となく興味深くて惹かれものがある気がします。

個人的には自覚的にかどうかはいざ知らず、切なさを決然と振り払う唯一無二の女優としてというより、一人の女性としての"静香"の明日に興味をそそられるカーテンコールポーズのラストもカッコ良く素敵でチョッピリ胸熱くなったりもしますし、エンディングで流れる薬師丸ひろ子さん歌うところの主題歌『Woman〜Wの悲劇〜より』も懐かしく素敵で涙してしまいます{本作ではこの歌が一番好いかも知れないなぞとはいいませんが...(笑)レコードも買いましたっけ...}。”静香"を拍手で見送る”昭夫"の男振りも演じる世良さんも私は好いと思います。"さよならはわかれのことばじゃなくて ふたたびあうまでのとおいやくそく"とも歌ってますし...。

悪い印象ではなく、ある意味微妙に馬鹿が入っていて怖くも感じられる明日向きな性格の"静香"もまた(観ている分には)不思議に興味深く素敵で魅力的に感じたりします。このことにもよって生じて映る他の登場人物達との微妙なミスマッチも面白い気がします。

久石譲のスコアも効いてますし、聴かせてくれます。

allcinema ONLINE 映画データベース

時効事案も含めて未解決事件が一つでも多く早期の解決を見ることを望むものです。
posted by ウォルター at 00:12| 🌁| Comment(2) | TrackBack(0) | 鑑賞映画について(邦画) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ごぶさたしています。読み逃げのfighter-kです。薬師丸ひろ子さんと言えば、いい演技はするのですが、華がない。1番インパクトがあったのが、私の中ではいつまでも「野生の証明」です。
もう少し華があれば、テレビの「古畑任三郎」に犯人役で抜擢されたりしたでしょうね。そういう意味では主役を張るには、もともと無理があるのかも知れません。
Posted by fighter-k at 2008年07月20日 10:35
fighter-kさんへ

コメントありがとうございました。

薬師丸ひろ子さんは、正に私の青春時代のアイドルです。彼女が出演している角川映画製作の映画作品は全て観ましたし、出演映画作品も殆ど観ています。角川書店の映画雑誌『バラエティ』は毎月欠かさず買っていたりもしました(イラストの投稿もしていたりしましたが、採用された記憶はありません...)。今でも好きな女優さんの一人ですが、そういわれてみますと、fighter-kさんがおっしゃられるように"華"があるタイプというのとはチョッと違う気もします。若い時分はその清楚で正統派な可愛さと歌声、コクのある印象的・魅力的(本作に於いてはその限りではないな気がしますが...)な存在感を醸した危うさも感じられる気がする面白い演技に魅せられていて、私にとっては輝いていた存在でしたが、"華"のあるなしを意識して観たことはありませんでした。演自体上手いのかどうかも良くわからなかったりしますが、fighter-kさんがおっしゃられる、"いい演技をする"には大いに頷くものです。fighter-kさんにとって彼女の出演映画作品の中で一番インパクトがあったのはスクリーンデビュー作品でもある「野生の証明」とのことで、私もこの映画には作品自体としてはかなり衝撃を受けましたが、まだどうちらかというと主演の高倉健さんの方に目がいっていました。彼女が主演しているという意味での印象度からすると、ややミーハー趣味やも知れませんが、やはり「セーラー服と機関銃」です。最も好きな彼女の主演映画作品は、ファンである松田優作さんが共演しているということも多分にありますが、それでも「探偵物語」です。柴田恭兵さんと共演している「野蛮人のように」も好きですし、今観返してみると本作も悪くないと思えます。「メイン・テーマ」は観る前に読んでいた片岡義男さんによる原作小説からして良くわからなかったこともありますが、森田芳光監督/脚本ということと、中々ユニークなキャストをしていることもあって期待して観に行って大いに裏切られた覚えがある作品です。
そもそも彼女は『古畑任三郎』の世界観には馴染まないような気もしますし、何れにせよ『古畑任三郎』に犯人役で抜擢されることは叶いませんが、ここに来て映画やテレビドラマ出演もまた増えていますし、いい演技をこれからも見せて欲しいと思います。
Posted by ウォルター at 2008年07月22日 00:53
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/103211158

この記事へのトラックバック