2008年07月25日

「水の女」

「水の女」
2002年製作 日本
監督/脚本/編集:杉森秀則 製作:河村光庸、猿川直人 プロデューサー:甲斐直樹、根岸洋之 製作総指揮:中村雅哉 撮影:町田博 美術:林田裕至 衣装:北村道子 音楽菅野よう子 ラインプロデューサー:大里俊博 証明:木村太郎 整音:杉山篤 録音:林大輔 助監督:猪腰弘之
出演:UA、浅野忠信、HIKARU、江夏豊、大浦龍宇一、塩見三省、大久保保鷹、流山児祥、川又邦広、町田忍、樋口圭太、谷崎亜門、杉山りん、都家歌六、松島一夫、頭師佳孝、石井光三、ぼんちおさむ、YUKI、小川眞由美

*おことわり*
この記事には、まだ本映画作品を見ていない方が読まれると多少とも作品の面白さを損なう可能性がある内容が含まれているやも知れません。気になる方はお読みにならないことをお勧めします。


この映画はファンである菅野よう子さんが音楽を担当されているということと、浅野忠信さんが出演しているということ以外には殆ど予備知識がないまま近所のレンタルビデオ店でDVDを借りて観ました。本作がスクリーンデビューとなる主演のシンガーソングライター、UAさんについても殆ど知りませんでした。俳優の村上淳さんの元奥様だったのですネ。

何というかファンタジックで精霊的な雰囲気と題名が「水の女」というだけに、瑞々しく生々しく苛烈、壮絶で危ういリアリティーが感じられて、興味と不安に胸をさわさわと掻き立てられるような気もする作品です。この危うい感じが何とも嫌だけれども、また強く惹き付けられもしてしまいます。私にとっては目にしたことがあるような日常の非日常的風景や情景、ノスタルジアというよりも日常の片隅感というか異世界感を感じる気がします。"水"、"火"、"風"と"大地"をモチーフにしているそうですが、それについてはチョッとスタイリッシュな描写に過ぎるところがある気もしてしまうせいか、ストンとはこないものもあります。"水の女"と"火に取り憑かれた男"の宿命の出会いと恋についても、ジュワッとはくるのかも知れませんが...惹かれ合い、求め合うということの意味...命...生きること...。

銭湯に雨というのは、流石にややくどくてうっとしいイメージを抱きそうなものでもありますが、結婚直前に大浦龍宇一さん演じる婚約者の"ヨシオ"を交通事故で、そして共に関西の小さな町で銭湯"ひかり湯"を営んでいた江夏豊さん扮する父親の"清水忠雄"を心臓発作で失ってしまい天涯孤独となってしまった身の回りで何かが起こる度に雨が降ることから、いつしか"雨女"とあだ名される"清水涼子"を演じているUAさんが醸す不思議な魅惑的(セクシャルでもないのかしら...)な雰囲気と存在感もあってか、観てみると全く違和感を感じることなく観ることができます。

唯一の家族を失ってしまい、しばらく銭湯を閉めて旅に出て戻った"涼が"釜場を任せることになる勝手に家に上がり込んで食事をしていた見知らぬ謎だけれども、不思議な魅力を感じさせる火を眺めていると心が安らぐという男、"宮沢優作"を演じている浅野忠信さんは正しく謎の不思議な魅力を漂わせていて、決して押し付けがましかったり、うるさかったりもせずに、自然に、印象的にスクリーンに溶け込んでいて、もはや演技云々ではない(浅野さんが演じている役の中では、どちらかというと演技を魅せてくれているようにも感じられますが...)、何か凄さと恐さを感じる気がします。優作についていえば、同じ"火に取り憑かれた男"でも佐藤卓哉監督/脚本の私が大好きなテレビSFコメディアニメ作品『NieA_7』の舞台となる宇宙船が着水した港にある、小さな町、荏ノ花唯一の銭湯”荏ノ花湯"の釜炊き、安全第一、シャイな憎めない男、"吉岡稔侍"みたいだったらな〜なぞと思ったりもします。恐いといえば、荏ノ花クレーター地区の宇宙人の地位向上と社会的認知を訴え、元+5で、自らをエリート宇宙人と称するプライドが高く高飛車な中華風宇宙人の女の子、"カーナ"がその自慢の超高性能アンテナで変な電波を受けてトリップしてしまうとき保けた顔が恐いです。

"涼"が傷心の旅先の富士山の樹海の奥で出逢い、後にひょんなかたちで再開を果たすことになるモデルのHIKARUさん演じる風のように自由奔放に生きるバイカーの女性、"ユキノ"というのは、作品のモチーフからしても重要な存在なのだろうけれど、"涼"との絡みも含めて何となく私にはピンとこないものがあったりします。風のようなというのでは、そうなのかも知れませんし、精霊的な雰囲気の漂いは感じなくもないですが、何だか実態がない気がして...それが主人公の"涼"を生々しくバイタルに見せるのに効果していたりするのやも知れませんが...何というか何だかチョッと唐突というか、取って付けたような気もして...。

"忠雄"役の江夏さん、ほんのチョッとしか登場しませんが、犬の散歩をさせている男を演じているぼんちおさむさんや時々"あさひ湯"に訪れては"涼"に風呂に入れてもらう自分は"涼"の母親だと思い込んでいているホームレスの女性、"翠"に扮している小川眞由美さんらも生々しくリアルな危う気さを漂わせた味がある素敵で見応えがある演技を魅せてくれているやに感じます。

私としては、事故や災害などの異常事態、本作ではそれが阪神淡路大震災なだけに、被災者が被った被害や人害について、虚実は別として痛烈に突きつけられ、考えさせられる思いをする作品でもあります。

そして何といっても...ある意味、私が最も恐怖したシーンがある映画でもあるのです..."ひかり湯"の煙突に上り、雷にうたれて炎上しながら落下するチョッと変てこな映像のあの浅野さんの表情と姿には震撼を覚え、今でも目に焼き付いて離れなかったりします...。煙突といえば、小沼勝監督、金子修介脚本/助監督、五月みどりさん主演の日活ロマンポルノ作品「ファイナル・スキャンダル 奥様はお固いのがお好き」を思い出したりなぞします。

銭湯の壁といえばお馴染みの富士山の絵が壁いっぱいにペンキと筆で見事に描き変えられるシーンは圧巻で目を奪われてしまいます。ちあきなおみさんの『雨に濡れた慕情』も素敵に響きます。

お話やストーリーテリングの上手さや面白さはさておき、上述の繰り返しになりますが、危うい微妙なバランスの雰囲気が私にはうざったく感じられるのではなく、嫌だけれど魅力的な緊張感、緊迫感に感じられて惹かれてもしまいます。感覚の素敵さなのか、愛称の良さを感じる気がします。ただ、何度も観たいかというと...。

allcinema ONLINE 映画データベース

時効事案も含めて未解決事件が一つでも多く早期の解決を見ることを望むものです。
posted by ウォルター at 08:17| ☁| Comment(0) | TrackBack(1) | 鑑賞映画について(邦画) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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