2008年11月16日

「けものがれ、俺らの猿と」

「けものがれ、俺らの猿と」
2000年製作 日本
監督/編集:須永秀明 プロデューサー:小澤俊晴、長谷川真澄、平田樹彦、小椋悟原作:町田康『けものがれ、俺らの猿と』(文藝春秋刊『屈辱ポンチ』所収) 脚本:木田紀生、久保直樹 撮影:北信康 音楽プロデューサー:曾田茂一
出演:永瀬正敏、鳥肌実、小松方正、車だん吉、ムッシュかまやつ、松重豊、田口トモロヲ、立川志らく、手塚とおる、石堂夏央、鮎貝健、中山マリ、山本ふじこ、阿部能丸、ゴリ(*猿)、降谷健志(友情出演)

町田康さんの小説集『屈辱ポンチ』に所収されている同名作品をミュージック・ビデオ畑出身の須永秀明監督が私がファンである永瀬正敏さん主演で映画化した作品です。

シュール、アバンギャルド、アングラで、パンキッシュなインパクトがあり、癖のあるドライブ感というのかトリップ感に溢れて、不条理感漂う奇矯というか下手物趣味というかのニヒルでシニカルな痛々しい笑いとファンタジックさをした作品やに感じます。不快感をもよおさせる映像・音響描写やバラエティに富んだ音楽が作品を煽っているやに感じます。妙や趣はさして感じられない気がします。何をか言わんやについては、何かは伝わって来る感じはしつつも、書き記せるほど良くはわかりません。私にとってはいちいち面白かったりして、何だか癖になる作品で、ついつい何度となく観返してしまいます。石橋義正さんなる監督が脚本、撮影監督、美術、編集、照明、製作をも手掛けているコメディ・モンド・ミュージカル映画作品「狂わせたいの」のような感覚をしているやにも感じます。

家の柱に画鋲で無造作にとめられたしわくちゃの紙っぺらに、"私はもっと有意義な人生を送りたい"、と殴り書きされた書き置きを残して妻が英国に留学してしまって以来、自堕落な生活が故に仕事はほとんど途絶え、車だん吉さん扮する"義父"に借りて住む閑静な住宅街にある廃屋寸前の一軒家は荒れ放題、近所の人たち、仲間たちからすらも疎まれ、家の壁には"ナイス害"なぞといった誹謗の落書きをされ、庭にはゴミを不法投棄される始末で、部屋の中は無法地帯と化し、得体の知れない奇怪な肉食中まで繁殖しているようなひどい有様の日常を送る中、その上"義父"からはその家からの即刻退去するよう命じられて、いよいよにっちもさっちも行かなくなる廃人寸前のしがない脚本家の"佐志"を演じている永瀬正敏さんは私がファンだからやも知れませんが、エキセントリックな役を緩急微妙なバランスをコントロールした抑制的な演技(と存在感)をもって自然に、かつ魅力的で見事に演じて魅せてくれているやに感じます。ヘッドギア、ライダースーツ、ゴム長、ゴム手袋に身を包んだ姿もカッコイイと思います。着ているシャツが気になります。
"佐志"にゴミの処分場を巡る社会派サスペンスにして美男美女が活躍する娯楽作品でもある映画のシナリオの執筆を依頼する邦画界の至宝にして半世紀に渡る映画人生の足跡は正に偉大な社会派プロデューサーという何とも胡散臭い"楮山"をひょうひょうと怪演している小松方正さんをはじめ、脇を固めるキャストの面々もエキセントリックだったり、シュールだったり、ファンキーだったりする役を個性的でインパクトのある演技と存在感で演じて見せてくれていると思います。そして何といっても地元出身のセメント会社の会長が資材を投じて建設したというツートンカラーの巨大大仏のいる涅槃パークの駐車場で卒倒してしまった"楮山"のために助けを呼ぼうと電話を探していて道に迷ってしまった"佐志"を助け、自宅に招きもてなす"田島"を演じている鳥肌実さんです。油で撫でつけた髪もギラギラと、不気味でアブナイ魅力炸裂でインパクト強烈、とにかく可笑しくて堪りません。F氏の大学の先輩にあたる車だん吉さんは本作で唯一ともいえるまともな登場人物に思える"義父"を味のある微妙な演技と存在感で演じていると思います。ゴミ処分場のあるある町(このロケ地が気になります)をシナリオハンティングで訪れた"佐志"を立ち寄った本屋で暴れたとして防音設備が整った部屋に監禁し、"あーたは私に.."と警棒でいたぶる自警員を演じている松重豊さんの演技もオカシクてインパクトあると思います。草村で倒れていた"佐志"を助けるゴミ捨て場の青年を演じている降谷建志さんは存在感ある演技を見せてくれていると思います。八つ墓村な田口トモロヲさんも何だか良くわかりませんが、オモシロイです。石堂夏央さんがゴミ処分場のあるある町の本屋の女店員役で、『ROCK FUJIYAMA』のKENNY GUYこと鮎貝健さんが終盤クライマックスに喫茶店のお客さん役で出演しているのも私的には見所だったりします。

"俺がいったい、何をした!?どいつもこいつも、なめやがって!"と恨み言を吐く(自分にツバを吐きつけていることに気づかない)俺自らが見せる(一種の逃避的)ファンタジックバッドドリーム(ファンタズム)なのやも知れません...正体の曖昧な俺という迷宮に落ちる..."楮山"も..."田島"も...猿の"アンジー"も皆、俺自身、もしくは自分と同じなのやも知れません...現夢...。

...トンボ...鈴木清順監督作品っぽかったりもするかしら...。

*心覚え(作品中に登場する台詞・人物・言葉・事物等)
活写 (スル)物事のありさまを生き生きと描き出すこと。

allcinema ONLINE 映画データベース

時効事案も含めて未解決事件が一つでも多く早期の解決を見ることを望むものです。
posted by ウォルター at 17:36| ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 鑑賞映画について(邦画) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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