2009年01月03日

「白椿」

「白椿」
2007年製作 日本
監督:秋原正俊 原作:夢野久作 脚本:落合雪恵 音楽:福原まり
出演:畑野ひろ子、加藤夏希、志村東吾、新倉恵子、うえむらちか、辻玲花、財津一郎

怪奇幻想作家として知られる夢野久作さんの同名短編小説を拙ブログではお馴染みの秋原正俊監督が舞台を現代の広島県は福山市の鞆の浦にして脚色・加味し、映画化した文芸童話ドラマ作品です。本作については、何と珍しく原作を読んだことがあります。

神秘的で寓話的なお話が織りなす不可思議な魅力も然ることながら、秋原監督独特の、透明感があって、淑やかで上品なセンスが感じられる演出、映像とその描写・表現が織りなす不思議で微妙でデリケートな趣、雰囲気やテンションとそして体感しているかのように感じられる空気感をした(魅惑的な)魅力に惹かれて飽きません。福原まりさんによる音楽、テーマ曲の『le pas d'amour(機甲部隊のステップ)』は軽快なリズムをしているようで、アンニュイというか、幻想的というか、情緒的というかで、印象的で、耳に残ります。鞆の浦の景観、街並、風情の美しさと共に作品と作品の趣や雰囲気の魅力を盛り上げていると思います。

本作の主人公の一人で、押し寄せる受験のプレッシャーに押しつぶされそうで、心は現実を受止めるだけで精一杯で、疲弊し、ついつい重苦しく苦い現実から逃げてばかりの日々を過ごしてしまっていて、いつもつまらなそうにしている、そしてそんな自分に辟易している浪人生の"鈴"を演じている加藤夏希さんは力強い目と鼻孔の開きに意思の強さを感じさせる凛々しさと、その中に可愛らしさを垣間見せる顔立ちと表情をしていて、エキゾチックな雰囲気を漂わせる、魅力ある女優さんやに思います。やはり、秋原監督が宮沢賢治さんの名作童話『銀河鉄道の夜』を現代の東北地方を舞台に映画化した文芸青春ドラマ作品『銀河鉄道の夜 I carry a ticket of eternity』を取り上げました投稿記事の中で加藤夏希さんに似ているかしらと記した谷村美月さんに似ているかしらと思います。"鈴"の母親、"澄子"を演じているモデルの新倉恵子さんはその不思議なおっとりしたテンションとテンポで作品の不思議で微妙な趣、雰囲気やテンションを更に盛り上げているやに感じます。本作のもう一人の主人公で、映画のオリジナルキャラクターである仕事に追われて、志村東吾さん扮する夫の"幸治"に家事・家庭をおろそかにしていると言われる小言に辟易しつつ、心の片隅では夫の言う家庭を守る良き主婦になるべきなのかしらと思いながら、いつも辻玲花さん演じる娘の"真琴"の面倒を喜んで快く見てくれる財津一郎さん扮する父親の"薫"の理解と応援もあって何とか忙しない日々を送って来た"知美"を演じている今回映画初出演にして初主演の畑野ひろ子さんは秋原監督もおっしゃられているように、気負いのない自然な演技を見せてくれていると思います。財津さんは演技・芸達者で存在感、遊び心と説得力が感じられる素敵な演技を見せてくれていますし、辻さんは笑い声や走り方も可愛らしい、しっかりした演技を見せてくれていますし、志村さんはそつのない演技を見せてくれていると思います。一見すると少ない登場人物ながら、出演者の皆さんの演技には統一感がないようにも感じられるのですが、その実、不思議で微妙なバランスというか、ハーモニーを見せている気がします。

現実逃避をしているばかりでも、もしくは現実へ逃避してばかりいても...それが生きるためならば、でなければ...綺麗と愛でる...綺麗さに魅せられる...白椿...残酷な仕打ちをして気づき、確かめをもたらす...気づき、確かめた...そのときは後の祭りなのだろうか...変化を、再生を遂げられたにせよ、促したにせよ、もたらしたにせよ、何れにせよ...(ありがた)迷惑な話ではないだろうか...シニカル・アイロニカルな(現代社会への)風刺を感じる気がします..."はっくしょん!!"とくしゃみをすると"ハクション大魔王"が飛び出てくるのだったらよかったとつくづく思ったりします...。
新年早々何が言いたいのやら私は...。

フランツ・カフカの代表小説の一作、『変身』にみるような衝撃的な不条理感や不安感のようなものなぞはさして感じません。

"People need to live the life they want to live," Jesse said. "They can't live it the way somebody else wants them to."
Dix smiled and raised his eyebrows.
"Everybody knows that," Jesse said.
Dix nodded.
"And few people actually believe it," Jesse said.
"There's often gap between what we know and what we do," Dix said.
"Let me write that down," Jesse said.
              ロバート・B・パーカー著『 STONE COLD』より

allcinema ONLINE 映画データベース

時効事案も含めて未解決事件が一つでも多く早期の解決を見ることを望むものです。
posted by ウォルター at 03:37| ☀| Comment(0) | TrackBack(4) | 鑑賞映画について(邦画) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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