2006年04月13日

「乱れからくり」

「乱れからくり」
1979年製作 日本
監督:児玉進 製作:田中文雄 原作:泡坂妻夫 脚本:永原秀一 撮影:上田正治 美術:樋口幸男 編集:池田美千子 音楽:大野雄二 助監督:今村一平
出演:松田優作、篠ひろ子、野際陽子、沖雅也、峰岸徹、岸田森、結城しのぶ、田中邦衛、山西道広、北見治一

この映画作品公開当時まだ中学生の私は丁度本作の著者である泡坂妻夫先生仁木悦子先生都筑道夫先生、佐野洋先生、大藪晴彦氏の小説を読みはじめた時分であります。原作:『乱れからくり』(創元推理文庫/日本推理作家協会賞受賞作全集 (33) 双葉文庫)は既にもう読んでいた気がしますが、映画は観ておりませんでした。何年か後にビデオもしくは名画座で初めて観ました。その後も何度となく観ております。優作さんの出演映画の中でも割り方多くの回数観ている作品です。原作とは設定、ストーリー等若干〜かなり異なる部分があり、趣も異にしておりますが、私には現在はビデオかテレビ放映でしか観れないこともありますので(残念ながらDVD化はされていないと思います)劇映画作品として十分面白いです。松田優作さんのファンということも多分にあるやも知れませんが...。只、正直なところ当初は当時の優作さんの野性味溢れるイメージからするに本(ミステリー)作に出演というのは、些か突飛な感じ(違和感?)を抱いたのも事実です。初めて観た時よりもむしろ後に観返して、異色な感じも含め、より面白く感じる様になりました。

冒頭の競輪場のシーンや焼き鳥屋さんでご飯を食べるシーンなどは大好きです。白地に青の襟袖、三本線のジャージにオーバーコートを羽織りマスクをした出で立ちは最高です。興信所の面接で野際陽子さん演じる所長に志望動機として「フィリップ・マーロウのような探偵になれたらいいなと思いまして」とのはにかみながらの台詞も面白いです。

キャストもかなり豪華にして個性的です。野際陽子さん、田中邦衛さんをはじめとしたトータルコーディネートされない役者陣のチグハグな演技が、また何ともたまりません。妖艶な魔性の美女の篠ひろ子さん、蛇の様な目をし、冷血そうな人形フリークの峰岸徹さん、あやしすぎて笑える岸田森さん、駆け出しの松本刑事な山西道広さんと劇中でも...て涅槃に逝ってしまったスコッチ刑事な沖雅也さんの共演も愉快です。

野性味溢れる長身痩躯と長い手足、(鋼の肉体、)ユーモア、クールさとホットさ(情の厚さ)を野暮ったいジャケットと探偵といえばのトレンチコートに包み、その精悍な顔立ちの眉間に皺を寄せる優作さんが何とも好いです。張り込み中に飲んでいた三角牛乳も今や懐かしいです。体を動かすシーンでは野生を垣間見せます。力強くしなやかな躍動が美しいです。大野雄二さんの音楽も”ルパン三世のおじちゃん”に合っていて好いです。

原作はタイトル通り”からくり”やトリック”みだれ”る奇想天外な推理小説として評価も高く面白いですが、本作はミステリー映画としては如何なものでしょうか。事件の裏にある、江戸後期の加賀の豪商、銭屋五兵衛と彼の財宝がかくされているねじ屋敷の秘密や茶運び人形を作ったからくり人形師、大野弁吉に因む話、数々のからくりにまつわる話についての描写が不足気味な感はあります。

泡坂妻夫先生は本作で第31回日本推理作家協会賞長編を受賞している他、受賞はなりませんでしたが第79回直木賞候補にもなっております。因に『蔭桔梗』で第103回直木賞を受賞しております。

妖艶で哀しい魔性に魅惑され...。

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posted by ウォルター at 20:11| ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 鑑賞映画について(邦画) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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