2006年12月19日

『象と耳鳴り』

本作の著者である恩田陸さん著作の学園サスペンス推理小説でNHKで鈴木杏さん主演で連続TVドラマ化もされた『六番目の小夜子』に登場する関根秋のお父さんで元敏腕判事の関根多佳雄を主人公に、彼の長男で検事の春、長女で弁護士の夏、奥さんの桃代もがかわるがわる(安楽椅子)探偵となって(残念ながら秋は登場しません)、その豊富な経験と卓越した知力と観察力でそこにある鍵も見出し、事件を解決していく短編ミステリ集です。

恩田さんは私と同世代ですが、”ノスタルジアの魔術師”と呼ばれるだけあり、また都筑道夫先生の『退職刑事』シリーズが好きなこともあってか、推理小説である本作にもどこか懐かしさを感じ、傑出した作品とは思いませんが、惹かれてしまいます。著者自身が文庫本のあとがきで書いています本格ミステリの条件"納得"や"説得"についてはミステリとしての仕掛けやお話の展開はさておき、作品の醸す雰囲気、特に気象や天気の描写による空気感からすると申し分ないやに思います。着想と説得のさせ様との狭間にある危う気さに魅力を感じてそそられる気がします。本格ミステリの傑作たり得る条件としている"驚異"については然程感じられませんが...。

ミステリと意識しすぎずに読んだ方がすんなりとお話に浸れやすいやも知れません。
posted by ウォルター at 00:17| ☁| Comment(2) | TrackBack(2) | 読んだ本について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ちょっと怖さもありましたけど、面白かったです。

トラックバックさせていただきました。
トラックバックお待ちしていますね。
Posted by 藍色 at 2009年06月03日 03:36
藍色さんへ

またもや遅ればせながらコメント及びトラックバックありがとうございました。

本格ミステリを感じさせる雰囲気と空気感をした懐かしさ香る作品やに感じます。

今程こちらからもトラックバックさせていただきました。
Posted by ウォルター at 2009年06月07日 17:58
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