2007年05月13日

「ダ・ヴィンチ・コード/THE DA VINCI CODE」

「ダ・ヴィンチ・コード/THE DA VINCI CODE」
2006年製作 米国
監督:ロン・ハワード 製作:ブライアン・グレイザー、ジョン・コーリー 製作総指揮:トッド・ハロウェル、ダン・ブラウン 原作:ダン・ブラウン『ダ・ヴィンチ・コード』(角川文庫刊) 脚本:アキヴァ・ゴールズマン 撮影:サルヴァトーレ・トチノ プロダクションデザイン:アラン・キャメロン 衣装デザイン:ダニエル・オーランディ 編集:ダニエル・P・ハンリー、マイク・ヒル 音楽:ハンス・ジマー
出演:トム・ハンクス、オドレイ・トトゥ、イアン・マッケラン、アルフレッド・モリナ、ジャン・レノ、ポール・ベタニー、ユルゲン・プロフノウ、エチエンヌ・シコ、ジャン=ピエール・マリ、エール、セス・ガベル、サム・マンキューゾ

原作は未読ですし、クリスチャンではありませんし、クリスチャニティーについては通り一遍の知識しか持っていない身としては(以前にもどこかで書いたやも知れませんが、若い頃ニューヨークに語学遊学していたときに学校の授業で劇場公開中のマーティン・スコセッシ監督、ウィレム・デフォー主演の歴史劇映画作品「最後の誘惑」に対してキリスト教関連団体から抗議の声があがり、上映反対運動が巻き起こっていたことについて、ディベートをした際に今にして思えば軽率にも、イエス・キリストについてキリスト教信者に配慮を欠いた侮蔑的とも思えるやの発言をし、一部クラスメートから冷たい、刺すような視線を向けられた〔その状況下で、スペインのバスク地方出身のいつも元気な年長の男性に哲学者だと褒め称えられ、更に気まずい雰囲気となり、当惑したのを覚えています〕なぞということはあったりしましたが...)、壮大で深遠なテーマが描かれているんだろうとは思うのですが、実感としては今一つピンと来ないというのが、正直なところです。

次々と立ちはだかっては、大急ぎで解き明かされる謎についておつむが弱いせいか、噛み砕いて解釈する暇なく先へ先へと展開してしまい、その意味では、お話は今一つ、良くはわかっていず、入り込めないところもありますが、次第に、知らず知らずのうちに何となく惹き込まれてしまいはしました。終盤はほんのり感動すら覚えてしまいました。

上述の通り原作は未読ですので、さておくとして、本映画化作は宣伝文句にもなっているレオナルド・ダ・ヴィンチの名画に隠された暗号やキリスト教を巡る人類史上最大の秘密云々については余り深く掘り下げず、飽くまで一つの娯楽フィクション映画として観たままさらりと観れて、映画っぽさを楽しめたらまずまず満喫出来るやに思います。原書ハードカバー454ページを恐らく何とか苦心して150分に凝縮し、映画化したのやに思われ、もったいつけても言い訳がましくもない代わりにアクセントも抑揚も余り感じられず、ハイライトも盛り上がるといった風ではありませんが、もっと大味な作品かと思っていたこともあってか、緻密とは言えないまでも、抑制を利かせ、丁寧に撮られた何となくじんわり見応えのあるといった感じのするサスペンスミステリータッチの映画作品やに感じます。

フランス首都パリ・ルーブル美術館で殺害され、不可解な姿で発見されたジャン=ピエール・マリ扮する学芸員の"ジャック・ソニエール"の殺人容疑を掛けられ、フランス司法警察に追われる羽目となり、いやおうなく殺害現場に記された暗号を解読し、事件の裏に秘められたキリスト教をめぐる壮大な秘密の謎解き巻き込まれる主人公のハーバード大学教授で宗教象徴学の専門家である"ロバート・ランドン"を演じるトム・ハンクスは個性的でも掘り下げた人物描写がなされている役でもありませんし、演技を魅せるという役柄でもないやに思うだけに役から逸脱することなく、上手に演じていているやに思います。髪型も悪くないやに思います。"ロバート”と共に暗号解読と秘密の謎解きをする暗号解読官で"ソニエール"の孫娘である" ソフィー・ヌヴー"を演じている女優さんは、どこかで見た顔だと思ったらジャン=ピエール・ジュネ監督/脚本のロマンス・コメディ・ファンタジー映画作品「アメリ」で主人公のチャーミングで夢見る乙女、"アメリ"を演じているオドレイ・トトゥだったのですネ。彼女の出演作は青春コメディドラマ映画作品「スパニッシュ・アパートメント」以来と思いますが、随分大人びた印象を受けます。"ロバート"たちが助けを求める宗教史学者"リー・ティービング"を演じるイアン・マッケランの外連味あるようなないような、抑えて尚怪し気な雰囲気を醸す、存在感溢れる演技を魅せてくれているやに思います。他の登場人物の役柄も演じる役者さんたちとその演技もフランス司法警察の"ベズ・ファーシュ"警部と演じるジャン・レノや"コレ"警部補と演じるエチエンヌ・シコをはじめ、総じて派手さや華やかさはないものの、渋くて味のあるしっかりした演技を見せているやに思います。

クリスチャニティー(教会)の背景や歴史などについての知識や実感がもっとあったら、当然ながら、また違った印象を抱くやに思います。

キリスト教やキリスト教を取り巻く諸々の状況・事象に興味を持つとっかかりにはなり得るやに思います。

原作を読んでみたくなりましたが、文庫版で上中下巻ということで、上下巻の『ハンニバル・ライジング』でさえ、買ったきり、読まず終いのままですし、当面は無理そうです。

秘密を守り通そうとすればこそ、沈黙は守れないものなのやも知れません。沈黙は金なりと申しますが、雄弁は銀なりとも申しますし...金を得るには、まず...。

キリスト教にまつわるミステリー映画作品では、ウンベルト・エーコ原作の同名小説をジャン=ジャック・アノー監督がショーン・コネリー主演で映画化した歴史劇ミステリー作品「薔薇の名前」なんてのもありましたが、中世のミステリアスで暗澹たる雰囲気を漂わせる中々趣のある作品だった気がします。

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posted by ウォルター at 00:46| ☁| Comment(6) | TrackBack(4) | 鑑賞映画について(外国映画) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
>クリスチャニティー(教会)の背景や歴史などについての知識や実感がもっとあったら、当然ながら、また違った印象を抱くやに思います。

私見ですが、ヨーロッパ特にイタリア旅行を楽しむには、クリスチャニティを理解しておくと
美しい教会や絵画をただ見物して終わる ということにならないかと思います。

私は映画は未見。原作は話題になるより前に読んでしまいました。
Posted by ふる at 2007年05月13日 19:39
ふるさんへ

コメントありがとうございます。

クリスチャニティーのみならず、何にせよ、(大抵のことについては、)理解を深めるということ、理解を深めようとする姿勢を持つことは有意義やに思います。クリスチャニティー(教会)の背景や歴史などについて学ぶというのはアレですが、先ずは、本作の原作は読んでみたい気がします。
ヨーロッパ、特にイタリア旅行なぞ、優雅でイイですネ〜。
Posted by ウォルター at 2007年05月13日 22:07
文化の違いをある程度理解しないと、作品の良さは見えない。キリスト教とはどういうもので、どういう歴史なのかを避けては、英米文学も映画も音楽も、その魅力の半分も理解出来ない。大学に入学した時(英文科)、ネイティブの先生全員に言われた言葉です。以来、勉強しました。

そういう知識を持っていれば、見るものの深さが変わります。

しかし、この映画は純粋にミステリーとして楽しむ方が良い映画だと思います。ちょっとテーマが壮大すぎていますが。せめてお宝探しの規模にしておけば映画的には成功したでしょうが、社会現象にはならなかったでしょうね。でも所詮は商業主義に乗っ取った作品ですよ。これは。
Posted by imagine-peace at 2007年05月14日 02:30
コメントありがとうございました。

おっしゃられる通り、クリスチャニティーに限らず、各々の文化・宗教的差異、固有性や共通性について理解を深めることで、文学にしろ、映画にしろ、音楽にしろ、何にしろ、より深みに触れることが出来易いのやに思います。とても有意義なことやには思うのですが、なおざりにしてしまいがちになってしまいます。もっと留意せねばなりませんネ。

ハリウッド資本、それもメジャースタジオにより製作される映画で商業主義に乗っ取っていない作品がどれくらいあるのだろうかとも思いますが(笑:商業主義に乗っ取って映らない作品はあるやに思いますが...作り手の思いはともかく、マーチャンダイズとしてより、映画性、作家性や芸術性が優先される作品というのは...)、本作も御多分に漏れていないのは、確かやには思います。未読ではありますが、これだけ壮大なテーマを扱い、その上、大きな話題を呼んだ原作を映画化、ましてや作家性等々を加味するというのは、至難やに思います。その意味でも癖がなくて腕のあるロン・ハワードを監督に起用したのは無難な選択やに思います。こじんまりした感じは否めませんが、まずまずまとめられていますし、映画としての印象や肌触りは感じれますし、フィクションと割り切って、あれこれ考えねば、さらりと観れて、まずまず満喫出来るサスペンスミステリータッチの娯楽映画作品やに思います。
Posted by ウォルター at 2007年05月14日 19:54
今晩は!

この作品は、確かに原作を読んでないとちょっとわかりづらい映画なんだよね。

でもさ、なかなかロマンがあって私は好きなんだよね。それと、私トム・ハンクスに非常に弱いので、彼が出てるだけでとりあえず許してしまうっていうのもあります。(汗)

ふるさん、imagine-peaceさんがおしゃってる様に、西洋文明を理解するためには、キリスト教の理解が必至ですよね。私も、あれこれ関連書籍読んでるんだけど、日常の観念にないものだから、なかなか体で理解出来ない部分っていっぱいあります。

そういう事も含めて知的好奇心をくすぐる作品ではありますよね。
私ミーハーだから、ダ・ヴィンチの絵に隠された謎!みたいな本も買っちゃったよ〜。(笑)

私、ラストシーンが一番好きだな〜。


Posted by ごみつ at 2007年05月14日 23:55
ごみつさんへ

コメントありがとうございます。

やはり原作を読んでみねばなりませんネ(笑)。

娯楽フィクション映画としては、まずまず満喫出来る作品やに思います。トム・ハンクスのここ最近の他出演作は、余りパッとしない気がしないでもないですが、本作の主人公の"ロバート・ランドン"役は、控え目ながら上手に演じているやに思います。

おっしゃられる通り、クリスチャニティーについて、体感として理解するのは難しいやに思いますが、理解を深めることは西洋文化を理解する上で有意義なことやには思います。なかなか実践出来てはいないのですが...(汗笑)。

確かに好奇心はくすぐられますし、クリスチャニティーについて興味を抱き、理解を深める切っ掛けにはなり得るやに思います。ダヴィンチというのは偉大な芸術家にして科学者であるのみならず、ミステリアスな人物なのですネ。

正直、私はラストシーンには今一つピンと来ていないところがあります(汗笑)。
Posted by ウォルター at 2007年05月15日 00:52
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