2007年05月19日

「スクラップ・ヘブン」

「スクラップ・ヘブン」
2005年製作 日本
監督/脚本:李相日 製作:井澤昌平、川城和実、竹中功、松野恵美子 プロデューサー:久保田傑、柳原雅美、河野聡、吉田晴彦 企画;佐々木史郎 撮影:柴崎幸三 美術:仲前智治 編集:今井剛 音楽:會田茂一 エンディングテーマ:フジファブリック『蜃気楼』 照明:市川元一 録音:柿澤潔 助監督;久万真路
出演:加瀬亮、オダギリジョー、栗山千明、光石研、森下能幸、田中哲治、鈴木砂羽、団時朗、山田辰夫、柄本明

前半はまずまず面白く楽しんで観れますが、後半に入ると何をかを言わんとはしているやに思いますが、違和感も強く、今一つ釈然としないところがあります。

オダギリジョーさん扮する偶然バスジャック事件が起きたバスに乗り合わせていた三人の主人公の一人"葛井テツ"の入院している父親役を青柳裕介さんの同名コミックを中原果南さんを主人公の中居、"はるちゃん"役にTVドラマ化した『はるちゃん』シリーズで"和田"支配人を演じている山田辰夫さんが演じています。加瀬亮さん演じるもう一人の主人公で"正義の味方"を夢見て警察官になった"粕谷シンゴ"が慕う先輩刑事"薮田"を演じる柄本明さんの肩に力が入っていないような、入っているような、癖のある演技は好いやに思います。オダギリジョーさんも加瀬亮さんもニュアンスを上手に表現した演技を魅せてくれているやに思います。本作におけるオダギリジョーさんの思い詰めた感じの演技は良いやには思いますが、好みでないところも見受けられる気がします。加瀬亮さん浮ついてジレンマティックな感じの演技は好いやに思います。オダギリジョーさんと加瀬亮さんは感じがチョッと似ている気がしたりします。もう一人の主人公で片目が義眼の謎の女性"サキ"を演じる栗山千明さんは、役に合っているとは思いますが、役柄については今一つ掴みどころがない気がします。

デヴィッド・フィンチャー監督、エドワード・ノートンとブラッド・ピット主演のアクション・ドラマ映画作品「ファイト・クラブ」を彷彿とさせるという指摘もあるようですが、長谷川和彦(ゴジさん...オードリー〔斉藤とも子さん〕は今何処...)監督/脚本、沢田研二さん主演の犯罪サスペンス映画作品「太陽を盗んだ男」のようにも感じますが、振り切れた(力技の)痛快さ、ボルテージやインパクトに低い気がします。現代的なのやも知れませんが、そのせいか、菅原文太さん演じる" 山下満州男警部"のようなキャラクター(今観ると可笑しくて仕方なかったりもしますが...)が存在しないのは寂しい気もします。

仕方なく思えないでもないですが、自ら勝手に思い描いた幻想に飲み込まれ、ご都合主義では消化し切れなくなってしまった帰結の幾つかを描写しているやにも感じられてしまいます。ただそれは、主人公たちがいけないとかというわけでもないやに思います。彼らの憎む世の中の糞は"テツ"が吐き叫ぶところの想像力のなさや絶望によるものやそれらと理想と現実とのジレンマによって引き起こされているものではないやに思います(もしも世の中の糞は、想像力が欠如していると蔑み憎むばかりなのだとしたら、それ自体想像力の欠如によるのではと思わなくもなかったりします。良し悪しはさておき、想像力があり過ぎても生き難かったりするのやも知れません)。上述の通り、自らが勝手に思い描いた幻想に飲み込まれ、ご都合主義で消化してしまっている糞に対してフラストレイトしているやに感じられます。総体として、この世の中は糞である、それは自分以外の誰かのせいだけによるものであると妄執し過ぎてしまうとするならば、私もそうなら他者も全知でなく、大方曖昧であろうことをあらためて思い返す必要があるやに思ったりします。

彼らは世の中の消し方は見つけたのでしょうが、何のためにそうするかはそもそも抱いていなのやに思います。

どうしても助けを必要とするときに頼れると思っていた会社や同僚、仲間に見放され、裏切られるのは、寂しく辛いものやに思います。他者には中々わかり難い傷を持っていたりする人は少なくないのやも知れません。

漫然・漠然とした満たされぬ思い、不平不満、恨み、憎しみ、敵意の集積と幻想とのギャップが、別の思いを生み出す。世の中に対する不満というよりも、もとかしさや苛立たしさの静かで一途な暴走といった感じがします。

色々考えさせられるというか、色々考えることの出来る興味深い作品やには思います。

良くわからなければ、良くわからないと書くか、記事になぞせねば良いとも思いはするのですが...。

オダギリジョーさんは、現在自らが監督/脚本/編集/音楽を手掛け、小学校の同級生でお笑いコンビ次長課長の河本準一さんらが出演する「さくらな人たち」という映画作品を撮影中(?)とのことですし、これまでも未公開ながら短編映画なども撮っているようですし、今後は監督としても楽しみな気がします。

allcinema ONLINE 映画データベース

いくら経験を積んでも、人と深く関わったとしても、少なくとも私には人のことが"わかる"ようになるとは思い難かったりしもします。わかろうとしないということではありませんが...。
posted by ウォルター at 05:46| ☔| Comment(0) | TrackBack(2) | 鑑賞映画について(邦画) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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