2008年05月12日

「変態村/CALVAIRE」

「変態村/CALVAIRE」
2004年製作 ベルギー/フランス/ルクセンブルグ
監督/脚本:ファブリス・ドゥ・ヴェルツ 製作:ミカエル・ジェンティル、エディ・ジェラドン=リュイックス、ヴァンサン・タヴェエ 脚本:ロマン・ブロタ撮影:ブノワ・デビエ 編集:サビーヌ・ユボー 音楽:ヴァンサン・カエイ
出演:ローラン・リュカ、ジャッキー・ベロワイエ、フィリップ・ナオン、ジャン=リュック・クシャール、ブリジット・ラーエ、ジジ・クールシニー、フィリップ・グランダンリー、ジョー・ブレスティア

随分以前にF氏に東京スポーツより本作が紹介されている記事が載っているという情報を得て、恐いもの見たさも手伝って、早速近所のレンタルビデオ店で在庫しているかとうか確認しに行ったところ、本作及びヴィンセント・ラノーという人が監督、製作と脚本を手掛けたサスペンス・ホラー映画「変態男<未>(原題はOrdinary Manとのことで、邦題とは正反対といえるタイトルです)」というタイトルの作品がありましたが、そのときは勇気がなくて、借りて観ることが出来ず、ようやく今回本作のみ借りて観てみることにしました。タイトルがタイトルだけに棚にさしてあるパッケージからDVDの入ったケースを抜き出してはみたものの、カウンターに持って行くまでかなり逡巡しました。

アブノーマル、インモラルというか、私には甚だ疑問ながら、倒錯した愛故なのかによるグロテスクで猟奇的な暴力に性行為{獣姦、強姦(男性が男性をレイプした場合、日本の刑法の定義では強姦罪は成立せず、強制わいせつ罪が適用されるとのことです...法律の不備のような気がしますが...)や同性愛(同性愛自体は倒錯した愛とはいえないやに思いますが}などの描写はありますが、題名からイメージする単なるキワモノ映画にとどまらぬ、あから様に過ぎない巧みで微妙な映像描写、人物設定、演出により、しっかりと撮られている作品で、不思議なことに、恐怖、不快感や気持ち悪さよりもむしろ心なしか、ファンタジックというか、ユーモラスというか、滑稽さと悲惨さを感じる気がして、思いの外すんなり観れてしまいました。冒頭を除き、女性が一切登場しないのも、その要因の一つやも知れません。次の仕事先の南仏へ向かう途中、土砂降りの雨の中、森に覆われた辺鄙な場所で車が故障をして立ち往生をしてしまったローラン・リュカ演じるどさ回りの歌手、"マルク・ステヴァンス"が宿泊することになってしまったペンションのジャッキー・ベロワイエ扮する主人、"バルテル"の徐々にエスカレートしていく異常の描かれ様には、ドキドキさせられたりもします。映像・雰囲気・空気感の変調の仕方、微妙な伏線の敷き方や展開の持って行き方をはじめ、見せ方は上手いと思います。感情移入、同情なり、共感なりをそらしたり、ぶらしたりする仕方が上手い気がします。ただ、そのせいか、私には好ましいことに、恐怖や不快感もそらされたり、ぶらされたりして感じられます。効果音が余り使われていないのは、面白い気がします。原題の「CALVAIRE」は(キリスト教の)受難を意味するフランス語とのことで、正しく受難・災難ですが、変態村には違いないと思います。私には余り好ましからざる監督の趣味と過去の作品へのオマージュに満ちた二番煎じの上手さは感じる気がします。

空気感や雰囲気が感じられるところとそうでもないところがある気がします。土砂降りの雨の感じはイイと思います。村の酒場でヒステリックなピアノの伴奏と、それにあわせて繰り広げられる男衆の奇怪な(ポルカ)ダンスや猪豚の鳴き声が不安、不快で滑稽で印象的です。ラストは静かに寒々とした恐怖というか、虚脱感、虚無感、空虚感を感じる気がします。

何の因果か、不運にも悲惨で惨めで酷い目に見舞われることとなってしまう"マルク"を演じるローラン・リュカの傲慢で情けなく微かに挙動不審で、何となく掴みどころなく感じられる微妙な演技と表情はとても効いている気がします。味わいがあるというか、癖があるというか、何ともいえない顔つきと歌はどうなのかわかりませんが、声はイイと思います。

DVDに特典映像として収録されていますメイキングとして監督のファブリス・ドゥ・ヴェルツが本作について四の五のと語っているのは観ない方が良かった気がします。些か興ざめを覚える気がしてしまいました。同じく特典映像として収録されています同監督の20分程の短編映画作品は、目新しさはさして感じられず、やはり二番煎じの感じはしますが、本作同様、やはり見せ方は上手い感じがします。不快で気持ち悪いですが、恐さは然程でもありませんし、どこかユーモラスでとぼけた感じがします。倒錯した主人公の"Lara"に扮しているÉdith Le Merdyの異様な演技は不気味、不快で見事にも映る気がします。

何せタイトルからして「変態村」ですし、F氏に情報提供を頂きでもしない限り、好んで観るタイプの映画ではありませんし、ましてや人に薦めようとは思えない作品ではあります。

辺鄙な山間の村を舞台に繰り広げられる狂気・変態沙汰の絵空事とばかりはいえない、日常、もしくは日常と隣り合わせにある、あり得ることであるなぞと思ったり気づいたりすると人というものの危うさ、脆さや弱さなのかに奥深い不安、恐怖、危機感、不快感、虚脱感や哀しみを覚える気もしないではないのですが...。

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時効事案も含めて未解決事件が一つでも多く早期の解決を見ることを望むものです。
posted by ウォルター at 00:15| ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 鑑賞映画について(外国映画) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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