2008年05月15日

「自虐の詩」

「自虐の詩」
2007年製作 日本
監督:堤幸彦 製作:松本輝起、遠谷信幸、高橋一平、久松猛朗、島本雄二、渡邊純一、平林彰、長坂信人、山崎浩一、喜多埜裕明、大下勝朗 プロデューサー:植田博樹、石田雄治、中沢晋 エグゼクティブプロデューサー:北川淳一 製作総指揮:迫本淳一 企画:細野喜朗 原作:業田良家『自虐の詩』(竹書房刊) 脚本:関えり香、里中静流 撮影:唐沢悟 美術:相馬直樹 編集:伊藤伸行 音楽:澤野弘之 主題歌:安藤裕子『海原の月』 VFXスーパーバイザー:野崎宏二
照明:木村匡博 録音:鴇田満男 助監督:白石達也
出演:中谷美紀、阿部寛、遠藤憲一、カルーセル麻紀、ミスターちん、金児憲史、島田洋八、松尾スズキ、岡珠希、丸岡知恵、Mr.オクレ、佐田真由美、アジャ・コング、斉木しげる、業田良家、名取裕子、西田敏行

業田良家さんによる本作の同名原作4コマ漫画は、漫画を読むのが不得手な私が、同作が取り上げられているBS2(NHK衛星第二テレビジョン)で不定期に放送されている私の大のお気に入りの番組『BSマンガ夜話』の第29弾を観て、即文庫版を購入して読み、そのペーソスに溢れた笑いで綴る4コマの人生大河ドラマに笑い、号泣してしまい、ページを開くだけで条件反射的に涙がこみあげてきてしまい、容易に読み返せません。『BSマンガ夜話』第34弾が6月17日(火)、18日(水)と19日(木)の何れも24時から放送されるとのことです。ラインナップは一夜目が山田芳裕さんの『へうげもの』、二夜目が雁屋哲さん原作、池上遼一さん作画の『男組』で三夜目が羽海野チカさんの『ハチミツとクローバー』とのことです。私が読んだことがあるのは『男組』のみで、それも全部は読んでいません。

場面場面で、いちいち原作を想起しては、涙と笑いが込み上げてしまい、映画化作品としてどういう出来かなぞ二の次三の次と思えます。特に中谷美紀さん演じる主人公の"森田幸江"の中学生時代の回想シーンは堪らないものがあります。その中でも特に西田敏行さん演じる仕様もない父、"森田家康"が銀行強盗事件で逮捕されてしまったことで周囲から孤立してしまった岡珠希さん扮する"幸江"が、所詮上辺に過ぎないにも関わらず、憧れの"藤沢"さんグループのクラスメートに相手にされたいがために友情を蔑ろにしてしまった同じ貧しい境遇にありながら決して"幸江"のように卑屈さを人に見せることのない心強い丸岡知恵さん演じるクラスメートで唯一本当の友人といえる"熊本"さんと殴り合いの末劇的な仲直りを果たし、生涯の友情を誓うシーンや"熊本"さんの勧めもあり、中学卒業後単身上京する"幸江"をその"熊本"さんが駅で見送るシーンは涙無くしては観れません。その別れの際、"熊本"さんが"幸江"に渡す真鍮のお弁当箱に"豪勢なおかず"が詰められたお弁当と"せんべつ"にも泣かされます。熊本"さんが、"幸江"の心ない裏切りに傷つき、人知れず涙するシーンも号泣を誘います。原作同様本作でも、せめて"幸江"には借金取りのおじさんの優しさに触れさせてあげたい気はします。

冒頭の"幸江"の中学生時代の回想シーンで降りしきる雨は哀しく恨めしく映る気がします。タイトルテロップ表示後に"幸江"の内縁の夫、"葉山イサオ"に扮する阿部寛さんがゴミの山に突っ伏している様は、何故か笑えてしまいます。ちゃぶ台返しは豪快ですが、"でえ〜い"と引っくり返して欲しい気もしたりします。関西国際空港で"幸江"とアジャ・コングさん扮する"熊本"さんが再開を果たすラストシーンも感動的やに思います。エンドロール明けのシーンには止めを刺される思いがします。登場人物は皆愛おしく素敵に感じます。"幸江"と"イサオ"が住むアパートの隣の部屋に住むカルーセル麻紀さん演じる"福本小春"の部屋にカルーセルさんの若き日のポートレイトが貼ってあったりして面白いです。"幸江"役の中谷美紀さんのさり気ない所作、"イサオ"にちゃぶ台返しをされたときの飛び方、のけぞり方や"イサオ"役の阿部寛さんの目は面白くて印象的に感じます。幸せそうな表情の"幸江"を演じる中谷さんは、とりわけ美しくてカワイイと思います。"幸江"が昔ヘルズ・エンジェルスもどきに襲われそうになったときに"イサオ"が百人斬りならぬ六人斬りをして助けてくれたことを回想するシーンも好きだったりします。阿部さんの脚の長さにうっとりしたりもします。"幸江"が作るご飯やお弁当は美味しそうに映ります。遠藤憲一さん扮する"幸江"が働く食堂、あさひ屋のマスターが"幸江"に横恋慕する様は哀しくも愉快に映る気がします。遠藤さんはこの設定のこの役にピッタリですし、目に余り変化が見られない表情の演技は味があって素敵と思います。原作者の業田良家さんもどこかに出演されているのかしら...。あさひ屋のマスターが、哀しくも通い詰めるソープランドの"ユキエ"嬢を演じている信川清順さんはチョッとしか出演していませんが、何だか凄くてインパクトあるやに思います。中谷さんや阿部さんをはじめ、出演者の皆さんはとても愛おしく素敵で見事な演技を魅せてくれている感じがします。

USJとUFJ...。

水の中をふよふよ漂うクラゲには、黒沢清監督/脚本、オダギリジョーさん主演のドラマ映画作品「アカルイミライ」や、渡辺信一郎監督の連続テレビSFアクション・ドラマ・アニメ作品「COWBOY BEBOP」の映画化作品「COWBOY BEBOP 天国の扉」の蝶を思い出す気がします。

中学生時代の"幸江"と"熊本"さんを演じている岡珠希さんと丸岡知恵さんは役のイメージに合っていますし、とても素敵な演技を魅せてくれているやに思います。カワユクもそうではなくも映る気がします。岡珠希さんの走り方は面白くてイイやに思います。

"熊本"さんは、"幸江"をも凌ごうかという極貧生活の憂き目にあり、その粗野な外見や言動から周囲から冷たい目で見られるにも関わらず、何故にあれ程までに毅然として賢明で大きな心を抱いていれるのかしら...とても凄くて素敵に感じます。

最近観た映画では、最も泣いた作品と思います。それだけ原作の印象が心に深く刻まれているということなのだと思います。私にはもはや一個の映画作品として観るということは出来ませんし、コミカルというよりもややドラマチックにし過ぎてる嫌いがなくはない気もしますが、要所は押さえられていて、下手なうるさい細工(脚色や演出)も打たれておらず、さり気ない思い遣りが込められていたりもして、感動的で、かなり上手い具合に映画化されているやに思いますし、少なくとも原作を損なってはいない気がします。構成は絶妙な気もします。監督の堤幸彦さんの本領が発揮されているというよりも、映画監督としての堤さんの力量・才能が発揮されている作品やに思います。これならば今年8月30日より劇場公開される浦沢直樹さん原作の感動のSFサスペンス漫画『20世紀少年』の堤幸彦監督による実写映画化作品もまずまず期待出来る気もします。

安藤裕子さんが歌うところのエンディングで流れる主題歌の『海原の月』もとても素敵で涙を誘います。

人の心は、強くも弱くも、そのどちらにも、どちらでもなくもなり得る...独ぼっちなぞではない愛を感じられる幸せ...。

*心覚え(作品中に登場する台詞・人物・言葉・事物等)
『幸せになりてっすか〜』
『鍋燃えてんで』

allcinema ONLINE 映画データベース

時効事案も含めて未解決事件が一つでも多く早期の解決を見ることを望むものです。

今季これまで、アレックス・ロドリゲス選手やホルヘ・ポサーダ選手など主力選手を怪我で欠き中々好調の波に乗れないでいる好調松井秀喜選手所属のニューヨーク・ヤンキースは、5月15日(現地時間5月14日)、ここ11試合連続安打を放っている岩村明憲選手が所属する絶好調レイズ戦に、先発の200勝投手のムースことマイク・ムッシーナ投手が得意のナックル・カーブを武器に6回 1/3を1失点の好投を見せ、不振に喘ぐロビンソン・カノー選手が復調の兆しを感じさせる4打数4安打、貴重な先制点となる1打点の活躍.、守護神のマリアーノ・リベラ投手が9回を魔球カットファーストボールで見事零封し、そして松井選手も先制点の口火を切る2塁打を4回に放つなどの活躍により2対1で勝利を収めました。松井選手の活躍とヤンキースの今年こそのワールドシリーズ制覇を信じて応援しています。
posted by ウォルター at 11:51| ☔| Comment(2) | TrackBack(2) | 鑑賞映画について(邦画) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
西日が貧乏くせー
が一番心に残った台詞です。
Posted by ふる at 2008年12月23日 11:11
ふるさんへ

コメントありがとうございます。

映画では久しぶりに目にした私の地元出身の名取裕子さんのいかにも卑しく、嫌らしく、憎々しい台詞回しも印象的に感じます。
高村薫さんの同名小説を崔洋一監督が丸山昇一さんと共同脚本を手掛けて、中井貴一さんや萩原聖人さんら出演で映画化したサスペンスドラマ作品「マークスの山」で"高木真知子"を演じている彼女の大胆な演技もとても印象的だったりします...。
Posted by ウォルター at 2008年12月23日 12:25
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Excerpt: ... 水の中をふよふよ漂うクラゲには、黒沢清監督/脚本、 オダギリジョー さん...
Weblog: オダギリジョーの秘密
Tracked: 2008-05-16 07:48

映画『自虐の詩』
Excerpt: 業田良家による4コママンガがまさか映画化されるとは。連載されていた初期の頃は読んでいた。ビッグコミックスピリッツか何かで連載されていたのを読んだのだろうと思っていたら、週刊宝石に連載されていた..
Weblog: ふるちんの「頭の中は魑魅魍魎」
Tracked: 2008-12-23 11:11