2008年05月29日

「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」

「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」
2007年製作 日本
監督/脚本:吉田八大 プロデューサー:柿本秀二、小西啓介、鈴木ゆたか 協力プロデューサー:吉田博昭、遠藤日登思 原作:本谷有希子『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』(講談社刊) 撮影:阿藤正一、尾澤篤史 美術:原田恭明 編集:
岡田久美 音楽:鈴木惣一郎 音楽プロデューサー:日下好明 主題歌:チャットモンチー『世界が終わる夜に』 スタイリスト:藤井牧子 ヘアメイク:佐藤光栄照明:藤井隆二 録音:矢野正人 助監督:芦澤康久
出演:佐藤江梨子、佐津川愛美、永作博美、永瀬正敏、山本広司、土佐信道、上田耕一、谷川昭一、芳本菜穂、湯澤幸一、ノゾエ征爾、米村亮太郎、大原真理子、高橋睦美、金沢まこと、大川婦久美

桜沢エリカさん(綺麗な方だったのですネ)の漫画『天使』と『天使の巣』を宮坂まゆみさんが、深田恭子さん主演で映画化したファンタジー・ロマンスドラマ作品「天使」以来の永瀬正敏さんと永作博美さんの共演ということと、題名の語呂が町田康さんの小説『屈辱ポンチ』に所収されている同名作品を須永秀明監督が永瀬正敏さん主演で映画化したコメディドラマ作品「けものがれ、俺らの猿と」に似ている気がして、近所のレンタルビデオ店でDVDを借りて観てみました。因に本谷有希子の同名舞台劇は観たことがありません。

シニカルで、アイロニカルで、哀しくて、滑稽で、ドラマチックで、戦慄を覚えるようで、痛々しくて、苛立たしく感じたりもしますが、とても面白いと思います。設定、登場人物の性格設定に配置、主要な出演者の皆さんの演技や不穏から緊張へ、緊張から緊迫へ、緊迫から開放へ、開放から緊迫へ、そして緊迫から不確かで危ういきもする鎮静なのかへの展開とお話の持って行き方やシフトチェンジは絶妙に感じます。クライマックスでの小癪なほど妙を得て感じられて、嬉しくなってしまう意表を突かれるドラスティックな展開と仕掛けはとても興味深く素敵で見応え十二分と思います。寒気を漂わせた暑い夏の空気感や雰囲気も妙味あるやに感じます。

両親の訃報を受け、北陸の山間部の村に帰省する女優になることを夢見て上京したものの、その自意識過剰な勘違いも災いして、泣かず飛ばずな”和合”家の長女”澄伽”を演じている佐藤江梨子さんは、気負い過ぎなように見受けられないでもないですが、そのギリギリ感が面白くてイイと思います。面白い存在感を放って感じられますし、相変らずスタイルは抜群です。"和合"家の長男で"澄伽”の義兄である"宍道"を演じている永瀬正敏さんの思い詰めてどこか虚ろな何ともいえない表情と一貫してシリアスな抑制を利かせた演技は見事に感じます。優しさは弱さなのかしら...やり切れなさ、情けなさ、不甲斐無さ、後悔、恐れや思・想いなのかがひしひしと滲み出て感じられる気がします。"宍道"のお嫁さんで、孤児として育った過去を持ち、家族に憧れながら家族の一員として溶け込めず、"宍道"が”澄伽”と交わしたある約束を守らんとしているがゆえに、本当の夫婦にすらなれないでいる"和合待子"役の永作博美さんのとぼけていながらも凄みが感じられる演技と存在感はとても魅力的で興味深く感じます。かなり効いていると思います。そして、何といっても実の姉である"澄伽”に怯えながらも、心に沸き上がる抑え難い姉の痴態をホラー漫画にして描きたいという創作の衝動を膨らませる可憐で、か弱くて、健気で、いじらしく何かを秘めた(腹に一物ある?)"清深"を演じている佐津川愛美さんの大人しやかであったり炸裂したりするような微妙な演技と憂いを帯びた存在感は興味深く、素敵で見応え十二分に感じます。佐津川愛美さんか細い声でつぶやく"いいよ"の台詞回しにはノックアウトされてしまいます。メガネの奥の瞳が魅惑的な素敵で可愛らしく今後更なる活躍が期待出来る女優さんと思います。

うまくいい表せないのですが、同じシーンにおける異なる質の演技の混在や、それによって生じるズレのようなものを力技ではなく、微妙・絶妙な間やバランスにして繋ぎ合わせて、不思議さを漂わせつつも、自然な流れにせしめている脚本、演出と演技には妙を感じる気がします。また、そのことは、微妙に異なる作品の世界観の要素のいくつかを同じ画面の中に混在させ、その中で生じる微妙な変調を見せることにより不思議な印象を受けさせてくれている気もして、興味深く感じたりします。微妙な寸止め感も好きです。

”澄伽”は本人が"あたしは絶対、人とは違う。 特別な人間なんだ"と思い込み言い張るように、確かに彼女は人とは違う、特別な人間には違いないと思います。それが良いのやら悪いのやらはわかりませんし、根拠のない自信を抱くことも大切やにも思いますが、間違った、誤った仕方をしている気はします...仕方ないのやも知れませんが...。私としては、”澄伽”をして面白いとする"清深"は大したものと思ったりしてしまいます。

思・想っているのか、騙されているのか、騙されていることに気づいているのか、思・想っていると思ているだけなのか、騙されていたいのか...

先の投稿記事で取り上げましたファブリス・ドゥ・ヴェルツ監督/脚本、ローラン・リュカ主演の異色ホラードラマ映画作品「変態村」と同じような何かを感じるところもある気もしますが、こちらの方が、面白味や趣が感じられる気がします。

エンディングに流れるチャットモンチーによる主題歌の『世界が終わる夜に』も印象的に響きます。橋本絵莉子さんのボーカルには心を揺さぶられるものがあります。

哀しく、愛おしいと思いさえしろ、蔑むなぞ出来ません...。

秘めたる思・想い...。

今回もまたまたかなり支離滅裂な取り留めのない苦しい記事となってしまいました。

allcinema ONLINE 映画データベース

時効事案も含めて未解決事件が一つでも多く早期の解決を見ることを望むものです。
posted by ウォルター at 00:10| ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 鑑賞映画について(邦画) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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