2007年11月05日

「妖女の時代」

「妖女の時代」
1988年製作 日本
監督:長崎俊一 製作:巻幡辰男 プロデューサー:相原幹、神野智 製作総指揮:村上七郎 企画:中島英郎、宮坂進 原作:遠藤周作『妖女のごとく』(講談社刊) 脚本;大森一樹撮影:安藤庄平 美術:小川富美夫 編集:大島ともよ音楽:本多俊之 音楽プロデューサー:梶原浩史 助監督:松本泰生
出演:名取裕子、片岡鶴太郎、小西博之、沖田浩之、蟹江敬三、田中邦衛、内藤剛志、賀来千香子、山田辰夫

唐突ですが、遠藤周作さんの原作小説、『妖女のごとく』を名取裕子さんと片岡鶴太郎さん主演で映画化したサスペンスドラマ作品「妖女の時代」というのがあります。この作品が映画初主演の鶴太郎さんが公開された年に受験資格30歳までのボクシングのプロテストを日本ボクシングコミッション(JBC)の特例措置(合格しても試合には出場できない)により33歳にして受験を認められ、見事合格し、ライセンスを取得したことや山田太一さん原作の同名小説を大林宣彦監督、市川森一脚本、風間杜夫さん主演で映画化したファンタジードラマ映画作品「異人たちとの夏」で主人公、"原田英雄"の亡くなった父親、"原田英吉"役を演じて話題となっていたこともあり、ロードショーではないのですが、かかっていたニ番館だったか、三番館を探して観に行きました。この作品の二年前に公開された熊井啓監督/脚本、奥田瑛二さんと渡辺謙さん主演で映画化された私にとっては衝撃的だったサスペンスドラマ映画作品「海と毒薬」原作者でもある遠藤周作さんの原作小説の映画化(但し、同氏の原作小説『闇を呼ぶ声』を野村芳太郎監督/製作、小林薫さんと小林麻美さん主演のミステリー映画作品「真夜中の招待状」は余り好きではありません...ある種の雰囲気は感じられる作品やに思いますが...)、脚本を手掛けているのが大森一樹さんでキャストもまずまずの顔ぶれということもあり、かなり期待して観に行ったのですが(期待した私が悪いのかも知れませんが...観たときのコンディションや気分が優れなかったせいもあったのやも知れませんが)、実際に観て、かなり愕然としてしまい、以来山本周五郎さんの原作小説『町奉行日記』を市川崑監督、同氏と黒澤明さん、木下恵介さん、小林正樹さんによる共同脚本、長田千鶴子さん編集、役所広司さん主演で映画化された痛快娯楽時代劇作品「どら平太」での何とも味のあるイイ演技を観るまで、俳優としての鶴太郎さんは好きになれませんでした。お話自体は二重人格を扱ったりしていて(前述の「真夜中の招待状」も精神・心の闇を扱っています)を悪くはない気もしましたし、友人の依頼で恋焦がれる名取裕子さん演じる怪・妖し気な麻酔科医、"大河内葉子"の身辺調査をする主人公の元製薬会社社員、"辰野吾郎"に扮する鶴太郎さんはボクシングで培ったパンチをチョッとながら披露したりもしていますが、見応えがない印象でした。残念ながら"葉子"と双子の姉で精神科医の"宮沢裕子"の二役の難しい役を一人でを演じている名取裕子さんの印象も薄く、むしろ"辰野"の恋人、"仲田君子"を演じている賀来千香子さんの印象の方が残っていたりします。DVDはリリースされていませんし、ビデオは絶版のようですし、また観る機会があるかしら...。

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2007年10月28日

「悪夢探偵/NIGHTMARE DETECTIVE」

「悪夢探偵/NIGHTMARE DETECTIVE」
2006年製作 日本
監督/プロデューサー/脚本/撮影/美術/編集:塚本晋也 プロデュサー/助監督:川原伸一 プロデュサー:武部由実子 エグゼクティブプロデューサー:牛山拓ニ 撮影:志田貴之 音楽:石川忠 VFX:GONZO REVOLUTION エンディングテーマ:フジファブリック『蒼い鳥』 音響効果:北田雅也 特殊造形:織田尚 黒木久勝
出演:松田龍平、hitomi、安藤政信、大杉漣、猪俣ユキ、村木仁、ふせえり、鈴木卓爾、原田芳雄、塚本晋也

前評判にしては劇場公開後の評価や反響にはかなりばらつきが見受けられた気がしましたので、些か不安な気持ちを抱きつつ観ましたが、まずまず面白かったです。
 
お話は斬新とは思えませんが、アプローチと切取り方というか、設定やキャラクター設定は興味深いですし、塚本晋也監督のテイストが感じられて、まずまず面白いと思います。ただ、エンターテイメント作品ですし、ロードショー作品ということもあるやも知れませんが、映像が醸す陰惨、殺伐とした雰囲気や描写は控え目というか、寸止めな感じが、私としては、かなりグロテスクで痛い凄惨な描写もありますので、怖くなり過ぎずに済む分、救いではありますが、塚本監督作品の魅力という意味ではやや物足りない気がしなくもありません。主要な登場人物が少な目なのは好いやに思います。勘所意外のシーンにより塚本監督のテイストが感じられる気がします。第9回ローマ国際ファンタスティック映画祭グランプリを受賞した塚本監督の初期サイバーパンク・ホラー映画作品「鉄男」は私には不快極まりなく好きな作品ではありませんが、かなり衝撃的ではありました。この作品を見たお蔭で、次第に肉体が金属化していくサラリーマン、"鉄男"を演じている田口トモロヲさんが暫く嫌いでした。塚本監督は顔つきがチョッとミュージシャン、作曲家、音楽プロデューサー、音楽評論家の近田春夫さんに似ている気がします。

事件の起因である"0(ゼロ)"の"ヤツ"の悪夢の囁き(が明かされる段で)は(矛盾も含めて)そうでもないです(弱い気がします)が、事件の結末や終いには説得と納得、そして何となくカタルシスというか、シンパシーを感じてしまう気がします。残酷な仕方だけど、...気づかせられる気がします。

悪夢の描写は過激、不気味、不快でスピード感ある気がしますが、迫り来る恐怖には緊迫感というよりもめくるめくような不快感、焦燥感と昏倒感を強く覚える気がします。

アンパンを食べたくなってしまったから不思議です。

警察署内の雰囲気や課員の一風変わった顔ぶれなど、面白さはどうかわかりませんが、遊び心・ユーモアは忘れていない気がします。

ちらつかされる"影沼"と"霧島"の曰くありげな過去の暗示にも興味を惹かれる気がします。

俳優としても活躍されていて、これまでも自身の作品に主演・出演している塚本監督ですが、本作にも出演しているというのは知りませんでしたので、その登場には役も含めて、少しオヤッと思いましたが、インパクトある演技と存在感を見せてくれているやに思います。
立て続けに発生した不可解な自殺事件の捜査に当たる警視庁キャリアの女性刑事、"霧島慶子"を演じている歌手のhitomiさんについては、まだその演技を観慣れていないこともあってか、特に独白っぽい台詞回しと声のトーンに芝居じみたというか、取って付けたような違和感を感じてしまいます。異質な感じが面白いのかも知れませんが、かなり重要な役所を演じていますので、彼女に対する印象評価が作品の印象評価を多分に左右する気がします。どうしても引っ張られてしまう気がします。
安藤政信さん扮する"若宮刑事"は可哀相な気がします。
"関谷刑事"を演じている大杉漣さんの役どころはありきたりなようでいてありきたりになっておらず、役も大杉さんの存在も作品のクッションとして効いている気がします。大杉さんは意外に薄味だけど、しっかり(面白)味がある重宝な役者さんやに思います。
冒頭のエピソードと登場する"大石恵三"を演じている原田芳雄さんの演技は面白く感じます。
上で触れている"0(ゼロ)"の"ヤツ"の悪夢の囁きよりもここで描かれ語られている思・想いの方がより辛辣かつ平明で印象的な気がしたりします。悪夢に苛まれる父親の恩師である"大石"を救うために彼の夢の中に入る他人の夢に入ることが出来る因果な特殊能力を有する青年、"影沼京一"、又の名を"悪夢探偵"を演じる松田龍平さんと原田さんとのツーショットは嬉しいです。
龍平さんは役にピッタリやに思います。他人の悪夢を共有することのよる精神的苦悩を見事に表現しているやに思います。悩まし気でぶっきらぼうで妖しく繊細な雰囲気には惹かれます。苦悩、ひるみや感情の吐露などの表情、微妙な表情の変化や演技は何とも魅力的に感じます。思い詰めた表情が美しく綺麗で様になって映ります。どうしてもついついお父さんの優作さんの面影を探してしまいますが、それは宿しつつも、クール・寂し気・悲し気な妖艶さに独特のユーモラスさを垣間見せる魅力的な存在感と雰囲気を感じます。登場時間は意外と短い気がします。

悪夢に気づかされる自分もあるやも知れません...。
呪縛と思えば思う程、逃れられなかったりするのやも知れません...。

2作目の製作が既に始動しているとのことで、まずまず楽しみです。

怖い怖い、苦手苦手といいつつ、最近ホラー系の映画作品を立て続けに観てしまっています。

*心覚え(作品中に登場する台詞・人物・言葉・事物等)
「ああ、いやだ、ああああ、いやだ。ああ、いやだ...」

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昨日何気なくTVを観ていましたら、お風呂で手鼻をかむのかまないのという話題が出ていて、チョッと汚い話ですが、そういえば、中学生の時、手鼻を器用に飛ばし、自らの半径50cm〜1mくらいのところにかなりの精度で当てることができる同級生がいたのを思い出しました。
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2007年10月21日

「どろろ」

「どろろ」
2007年製作 日本
監督/脚本:塩田明彦 アクション監督:チン・チウトン アクション始動:下村勇二 プロデューサー:平野隆 原作:手塚治虫『どろろ』(講談社刊) 脚本:NAKA雅MURA 撮影:柴主高秀美術監督:丸尾和行 編集:深野俊英 音楽:安川午朗、福岡ユタカ 音楽プロデューサー:桑波田景信 VFXディレクター:鹿住朗生 VFXプロデューサー:浅野秀二 コンセプトデザイン:正子公也 スクリプター:杉山晶子 衣装デザイン:黒澤和子 共同プロデューサー:下田淳行 照明:豊見山明長 特殊造形:百武明 録音:井家眞紀夫 助監督:李相國
出演:妻夫木聡、柴咲コウ、瑛太、杉本哲太、土屋アンナ、麻生久美子、菅田俊、劇団ひとり、きたろう、寺門ジモン、山谷初男、でんでん、春木みさよ、インスタントジョンソン 、中村嘉葎雄、原田芳雄、原田美枝子、中井貴一

手塚治虫さん原作の映像化困難といわれた漫画作品を最新のVFXにワイヤーワークを駆使し、今をときめく若手実力派スターの妻夫木聡さんと柴咲コウさんを主演に日本発のスケールの大きなエンターテイメント作品として満を持して映画化したという心意気は感じられなくもないですし、そうしたことが発揮されている仕上りとなっているか否かを別にすれば、まずまず面白く楽しめる作品やに思います。原作漫画は小学生の時分に読みましたが、余り良くは覚えていませんし、TVアニメ版は観たことがない気がします。ただ、小学校高学年だったか、中学生の時分だったか、手塚治虫アニメ特選の第1巻にあたるアニメ版のムックのようものなどを購入して、興味深く読んだ記憶があります(まだ家のどこかにあるかも知れません)。

2時間18分の長丁場も、飽きさせることのない展開で、上手くまとめて見せてくれているやには思いますが、反面心なしか窮屈過ぎる嫌いがあり、散漫に感じてしまうところがある気もします。それからこれは多分に好みの問題やも知れませんが、妖怪の造形は頂けない気がします。個人的に余りワイヤーワークアクションをフィーチャーした演出は好みでないのですが、前宣伝で受けた印象程はこれ見よがしな感じはせず、鼻につくという程でもなく、私としては、適度な気がしますし、アクションは、主人公の"百鬼丸"を演じている妻夫木さんも殺陣やワイヤーワークをかなり訓練されたとでもありますし、面白味あり、まずまず見応えあるやに思います。ただ妖怪たちとの闘いのシーンは、アクションそのものよりも、上述の妖怪の造形の頂けなさについつい気を取られてしまいます。

原作を意識してのことなのか、戦乱の世故により露になる人の業の深さ、愚かさ、非情とその不条理によって導かれる悲運、悲哀とそれらを切り開く思・想いなどをテーマに、普く描き込もうとされているやに感じられますが、エンターテイメントを見せたいわけですし、主人公が一人でなく、二人ということもありますので、本作でそれらを充分に描き込んで見せるのは色々な意味で難しく、実際おざなりに感じられなくもない面もある気がします。続編が製作されてもおかしくない作りにもなっていますし、その辺は割り切ってというか、滲ませ醸す程度に止めておいて、次作に繰り越すのも手だったかなと思ったりします。

もうチョッと小ぢんまりしても、まとまりがなかったとしても良かったので、もっと怪(妖)し気、あやう気だったりする独特の雰囲気や空気感を漂わせた癖のある濃い世界観で描き綴って欲しかった気もします。例えば、手塚治虫さんのご子息、手塚眞さんに監督して欲しかった気がします。ロケ地がニュージーランドということもあってか、スケール感はありますし、映像の明暗、色彩と色調はやや特徴的で好いやに思いますが、何かが足りないというか、失われているような気もします。作品の構成上仕方ないのやも知れませんが、大団円に行き着くまでに"百鬼丸"(と"どろろ")と闘いを繰り広げる妖怪たちはその造形の頂けなさのみならず、キャラクターが敵役としての魅力に薄く、記号的にすら映ってしまう気がします。特に"百鬼丸"に向けて吐かれるかどわかしの台詞の仕方は余り効いているとは思えません。

妻夫木さんは"百鬼丸"をアクションも含めてしっかり演じているやに感じます。柴咲さんのどろろ役も違和感なく映る気がします。

冒頭で描かれる"百鬼丸"の生い立ち、中井貴一さん扮する父、"醍醐景光"が天下統一を果たさんがために48体の魔神と取引し、身体の48箇所を生け贄と捧げられ、ヒルコとして生まれ川に流されてしまった彼を拾った原田芳雄さん扮する医者で呪い師の"寿海" が彼のその不憫さと、彼に抱く愛情から欠損部分をエレキテルなぞを用いた錬金術による義手・義足等で補い養育する段がどことなく変というか、不思議で温かいぬくもり(人間的だとか、感動的だとかというばかりではないのですが...)を感じて面白い気がします。原田芳雄さんの(静かで淡々とした抑制的な)演技とあふれ漂う存在感と何というか可笑しさが、不思議で素敵で面白いやに思います。"どろろ"の生い立ちについて描かれている場面は結構印象的で、演出も好きだったりします。チョッとしか登場しませんが、"どろど"の父親、"火袋"を演じている菅田俊さんの演技と存在感は、大袈裟でうるさく感じる向きもあるやも知れませんが、私はインパクトあり、見応えあるやに思います。菅田さんは、宇梶剛士を更に濃く粗くしたような感じがします。"百鬼丸"・"寿海"に妖刀"百鬼丸"を授ける琵琶法師役の中村嘉葎雄も味のある演技を見せてくれているやに思います。他にも"百鬼丸"の母親、"百合"役の原田美枝子さん、弟、"多宝丸"役の瑛太さんら脇を固める俳優陣もしっかりと役をこなされているとは思うのですが、どうも作品に溶け込んでいるようには見えないところがある気がします。"鯖目"を演じている杉本哲太さんに至っては、確かな演技は披露して暮れているやに感じますが、役不足は否めない気がします。"どろろ"の母親、"お自夜"をファンである麻生久美子さんが演じているのは嬉しいですが、役不足とは思わないものの、登場シーンが短いのは甚だ残念な気がします。

中井貴一さんの鬼気迫る迫真の演技(だとすれば...)を台無しにもしかねない、"景光"の破綻振りには唖然とさせられもしますが、滑稽ですし、もしかしたら深みがあるのかしらと思い過ごしてしまいそうに興味深く映る気もします。

今回もかなり苦しい記事となってしまいました...。

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パソコンのマウスの調子が悪く、マウスを操作してもカーソルが動かなかったり、反応が遅かったりします。光学式で、マウスの裏側のLEDセンサーはきちんと光っているようですし、一見何でもないようなのですが、故障だとするともう何台目になるのか...に葬られたネズミたちの怨念かもしれません。
昨日は『ぶらり途中下車の旅』をエアチェックし忘れてしまいましたし...。
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2007年10月14日

「春の居場所」

「春の居場所」
2006年製作 日本
監督:秋原正俊 原作:鷺沢萠『春の居場所』(新潮社刊『ビューティフル・ネーム』所収) 脚本/編集:落合雪恵 音楽:今関正子
出演:堀北真希、細山田隆人、柳沢なな、城咲仁、佐藤藍子、戸田幸延、青山倫子

2004年に亡くなられた小説家、鷺沢萠さん原作の未完の小説を以前の投稿記事で取り上げた宮沢賢治さんの名作童話『銀河鉄道の夜』を現代の東北地方を舞台に映画化した文芸青春ドラマ『銀河鉄道の夜 I carry a ticket of eternity』の監督を手掛けている秋原正俊さんが映画化した作品です。鷺沢萠さんの元の旦那様は俳優、映画監督の利重剛さんです。

透明感ある映像がどことなく寂しさを醸しているやに感じられます。堀北真希さん扮する主人公の女子高生、"柏尾芽衣子"が通う学校の廊下の静寂した雰囲気が何か心に来るような気がします。私は高校の屋上に上がったかとがあったかしら...。

堀北さんは、普通っぽくて可愛いやに思います。いじらしさがひしと伝わる気がします。この女優さんも不思議なテンションを持っていて、面白い気がします{『ケータイ刑事 銭形』(悪いオンナ『ルーズソックス刑事』も含め)シリーズ恐るべしという感じがしたりもします}。"芽衣子"の親友、"マッキー"こと"牧田泰子"を演じている柳沢ななさんは快活で愉快で好いやに思います。大人になってからの"芽衣子"を演じている佐藤藍子さんの登場は、役や雰囲気に合っているかどうかは別にして、嬉しい気がしますし、モノローグでは好い味を出しているやに思います。大人になった"ゼンコー"役を演じている城咲仁さんは演技も含めて今一つピンと来ない気もしますが、面白味はあるのかも知れません。"芽衣子"宅の家政婦、"臼倉"役の青山倫子さんも気になる演技と存在感を見せてくれているやに思います。

寒空にアイスというのも乙な感じがします。時には青春をクールダウンしてみるのも良いかしらなぞと思ったりもします。足音が効果的やに思います。

"芽衣子"と細山田隆人さん演じる同級生の"ゼンコー"こと"伊藤善行"の微妙な距離感や彼ら、彼女らが息が詰まるような緊張と沈黙の中で麻雀をするシーンは焦燥、恥じらい、戸惑い、危うさや不器用な心の昂りを感いる気がします。バレンタインデーに"マッキー"が作って来てくれた"ケーキ"を"芽衣子"が学校帰りの土手で食べるシーンでケーキを見せないのは憎いやに思います。

何だって悩みに出来るセンシティブな青春の感受性が捉える日常が瑞々しく、切なく、沈鬱・憂鬱に、気恥ずかしく、不安気で微かに危う気に、冷たく熱く、仄かな明るさと優しさをもって描かれているやに感じます。何でしょう...悲しいわけでもないのに涙が頬を伝います。

クラス替えというのもある意味残酷なものやに思います。

恋も失恋も、探すものがあるのも好いものやに思います。

原作小説は未読ですが、本作を観る前に著者については、若干ですが、調べていたので、気持ちのよいお話に感じるだけに心にずっしり来るものがある気がします。

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2007年10月07日

「ユメノ銀河」

「ユメノ銀河」
1997年製作 日本
監督/脚本:石井聰亙 製作:須崎一夫 プロデューサー:下田淳行、鎌田賢一 企画:伊藤靖宏、神野智 原作:夢野久作 撮影:笠松則通 美術:磯見俊裕、高橋栄香 編集:鈴木歓 音楽:小野川浩幸
出演:小嶺麗奈、浅野忠信、京野ことみ、嶋田久作、真野きりな、松尾れい子、鄭義信、池田武志、近藤結宥花、本阿弥周子

以前に一度今は無き近所のレンタルビデオ店でビデオを借りて観たことがあったのですが、もう一度作品が漂わせる幻想夢幻 に浸って観たいと思い、近所のレンタルビデオ店でDVDを借りて観ました。

怪奇幻想作家、夢野久作さん原作の連作短編小説『少女地獄』に所収されている『殺人リレー』を石井聰亙さんが監督と脚本を手掛け、小嶺麗奈さんと浅野忠信さん主演で映画化した幻想夢幻的恋愛ドラマ作品です。本作についても原作は未読です。江戸川乱歩さんの小説ですら苦手な私(映像化作品は結構観るのですが...)、夢野久作さんの作品は何ともいえずおどろおどろしい先入観、長さと難解との評価が邪魔して読んだことはありませんが、お気に入りリンクで紹介しておりますブログ『ふるちんの「頭の中は魑魅魍魎」』のふるさんが、以前夢野久作さんについて触れられているブログ記事でお薦めになっておられましたので、『ドグラ・マグラ』は是非とまでは申せずとも、何れ読んでみたいと思っています。『ドグラ・マグラ』の映画化ミステリー作品はDVDのパッケージの画が淫靡で不気味でレンタルビデオ店で借りれませんでした。先日の投稿記事で取り上げています宮沢賢治さんの名作童話『銀河鉄道の夜』を現代の東北地方を舞台に映画化した文芸青春ドラマ『銀河鉄道の夜 I carry a ticket of eternity』の監督を手掛けている秋原正俊さんが夢野久作さん原作の同名小説を監督をして映画初出演の畑野ひろ子さんを主演に映画化した「白椿」が10月6日(土)より全国で順次ロードショーされているとのことです。共演は加藤夏希さんや財津一郎さんらとのことです。

石井聰亙監督の映画作品は先の投稿記事で取り上げました浅野忠信さんと永瀬正敏さん主演のハイパーハイテンションでパンキッシュ且つスタイリッシュなバトルアクション映画作品「ELECTRIC DRAGON 80000V」をはじめ結構観ているつもりなのですが、本作におけるモノクロームの映像は、静かで端整、丁寧な落ち着きとノスタルジックというか、レトロクラシカルで、どう表現したら良いのか、情景的なイメージを抱かされるやの心理的緊迫感と幻夢夢幻的雰囲気や空気感を帯びた独特というか、とても印象的やに感じます。暑さや雨が臭って感じられる気がします。魅惑される気がします。映像と、沈黙の演出と演技のシンクロがサスペンスフルさを重苦しく引き立たせている気がします。ロケーションは素晴らしいと思います。相当苦労されたのではないかと思います。

戦後も間もない、ある地方都市。少女たちの憧れの職業である乗り合いバスの女車掌を勤める"友成トミ子"を演じている小嶺麗奈さんはその(古風な)装いもあって、レトロクラシカルで清楚に綺麗で、おぼこさがいじらしく可愛らしくて、思い詰めた感じがピュアで破綻めいた美しき危うさ、残酷さ、妖しさや恐さ漂わせてを感じさせる気がします。思い詰めた疑惑の表情、恨みがましい上目遣いは何とも魅力的やに思います。往年の映画女優さんのような雰囲気を醸しているやに感じられる気もします。女車掌さん役も堂に入っている気もしないではないですが...。手紙をしたためながら、五円玉を使って食べているあれは何かしら...。"黒トンビの男"を演じている嶋田久作さんは、芸名が原作者の夢野久作さんに由来していることもあってか、登場シーンこそ少ないものの、作品に怪しく溶け込んでいて、効果しているやに思います。"トミ子"の友人の"山下智恵子"役の京野ことみさんも純真無垢なおぼこさが可愛らしいですが、やはりこの役にもどこかピュアで美しき残酷さや恐さの漂いを感じる気がします。"トミ子"の勤めるバス会社、”玄海バス”に赴任して来た運転手で、黒谷友香さん扮する婚約者の運転するバスに同乗中に事故死した"トミ子"の親友、"月川艶子"の当の婚約者、"新高竜夫"を演じる浅野忠信さんはこうした役に良くマッチするやに思います。沈黙の演技を魅せてくれているやに思います。若くして落ち着いた雰囲気...年寄りむさくなくもないですが…と危う気で独特な趣の魅力を持ている役者さんやに思います。肩肘は入っては映らない演技も好いやに思います。本作でのトラッドで妖しく美しいハンサム振りはカッコイイです。浅野さんは、竹内スグルさん、実相寺昭雄さん、佐藤寿保さんとカネコアツシさんら監督陣により江戸川乱歩さん原作の小説をオムニバス映画化したホラー・ミステリー・ロマンス映画作品「乱歩地獄」で希代の名探偵"明智小五郎"を演じていますが、横溝正史さんが生み出したもう一人の希代にして愛すべき名探偵"金田一耕助"も演じてみて欲しい気がします。カネコアツシさんが監督/脚本を手掛けている「乱歩地獄」の四話目「蟲」での浅野さんの演技は、私にはとても興味深く映ります。竹内スグルさん監督/脚本/撮影による一話目の「火星の運河」の映像感覚は好きです。"トミ子"の同僚、"アイ子"を演じている真野きりなさんは不思議な存在感のキュートさを醸していて好いやに思います。

原作が再現されているかどうかは、原作を読んでいないので何ともいえませんが、レトロクラッシックな幻想夢幻的世界の見事な映像化やに感じます。何だか良くわからなくもありますが、くどくどと説明じみていないのは、仄かにもどかしくもいじましいですが、もたれる感じはしませんし、どこか蜃気楼を観ているかの如く静かで危う気で残酷で美しく怪・妖しく恐ろしい緊張感を漂わせためくるめくやの淡々と単調ながらもサスペンスフルな恋愛(ごっご)の世界、焦がれる想いが抱かせ、見せる無垢・純粋で破綻を誘う残酷有情な幻夢妄想に迷い込むような感覚を覚える気がします。楚々とした上品な怪・妖しさというのというか、何となくそのような感じを受ける気もします。

恋をするというのは、かくも苦しき…というか、かくも残酷になり得るものなのかしらと感じたりします。生きておきながら、生きているからこそ、生の恐ろしさに絶望し、不条理にも死に美しさなぞを見出そうとし、魅了され、翻弄されてしまったりするのかしら....死も夢も幻...錯覚に過ぎぬとも...死は死でしかない...そこに何があろうと、存在し得ない...死は終着やも知れずとも、答えにはあらずやに思ったりします。

"艶子"の死との関わり(殺人)に疑いと恐れを抱きつつも"新高"に揺れる心で惹かれいく"トミ子"は"艶子"みたいにして欲しかった、なりたかっただけなのかも知れず、破滅的で不条理やも知れずとも、それが愛なのかはわかりませんが、憎しみや悪意ではない、純粋でかくも厄介な想い故やに思います。
そう、彼女は...なだけやに思ったりします。
気のせいなのか...どうも好奇や戯れ感を感じて仕方ありません。

"新高"の心の内を察すると、謎めいていて切なくて興味深い気がします。

「ユメノ銀河」とは洒落た巧いタイトルやに思います。

前回観たときは、今回程惹き込まれたかしら...。

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2007年09月18日

「神の左手 悪魔の右手」

「神の左手 悪魔の右手」
2006年製作 日本
監督:金子修介 製作:泉英次、関雅彦、中川滋弘、森重晃 プロデューサー:平田樹彦、成田尚哉、吉原勲 原作:楳図かずお『神の左手 悪魔の右手』 脚本:松枝佳紀 撮影監督:高間賢治 美術:及川一 編集:矢船陽介 音楽:Wataru Hokoyama 照明:上保正道 録音:岩丸恒
出演:渋谷飛鳥、小林翼、前田愛、清水萌々子、紗綾、かでなれおん、田口トモロヲ、菅原大吉、山本奈津子、根岸季衣、松金よね子、今井春奈、楳図かずお、小木成光

楳図かずおさん原作の同名コミックを監督に予定されていた那須博之さんが急逝されたため、助監督時代からの後輩で親交の厚かった金子修介さんがその遺志を引き継いで映画化されたホラー作品とのことです。原作コミックは未読です。

唐突・突飛な感じをはじめ、物語感は興味を惹かれるものがある気はしますし、結構不気味でグロテスクでえげつなく、残忍で惨たらしい描写もありますが、展開のテンポが妙に良い気がして、サスペンスフルさ、おどろおどろしさや殺伐とした嫌らしい感じは余り感じられず、意外とサラリと観れてしまう感じがします。絵本を道具として用いていることもあってか、ファンタジックな悪夢の童話を観てるような夢心地で不思議な、狐につままれたような感じもします。説明、説得や納得が敢えてなされていない風なのは、色々余韻として感じる気がして好いですし、何となく感じ伝わるものがある気はします。DVDの特典映像の『Making of Dark Fantasy 金子修介の黒い絵本』でも触れられていると思いますが、 トビー・フーバー監督/製作/脚本/音楽を手掛けて、実在の連続猟奇殺人犯エド・ゲインをモチーフにした殺人鬼"レザーフェイス"が登場するスプラッター・ホラー映画作品(トビー・フーバーはこの作品を単なるホラーやショッカー映画として捉えられるのには、些か不満なようでもあります)「悪魔のいけにえ」をマイケル・ベイらが製作し、マーカス・ニエベス監督でリメイク映画化されたスプラッター・ホラー映画作品「テキサス・チェーンソー」を想起し、幸い卒倒する程の怖さは感じません。

恐怖や狂気に垣間見える滑稽さをもう少し浮き立たせて欲しかった気がします。遊びや面白味は感じられますが、やや物足りない気もします。雰囲気や空気感が然程感じられないのも残念な気がします。

"久保田光一郎"役の田口トモロヲさんは迫真の怪演技を見せてくれているやに思いますが、どうしてもマスターカードのCMを思い出してしまいます(『プロジェクトX』は余り観ていませんのでしたので...)。ふっと抜けたところが面白い気がします。人間の悪意を夢で予知するという不思議な能力を持つ少年、"山辺ソウ"を演じている小林翼君はハキハキした台詞回しが可愛くて中々しっかりとした見応えある演技を見せてくれているやに思います。クライマックスでの決め口上のシーンは滑稽な気もしますが、中々様になっても感じられて好きです。主人公で"ソウ"の姉、"山辺イズミ"役を演じている渋谷飛鳥は悪くはないと思いますが、何となく印象に薄い気がします。クライマックスの格闘シーンでの演技は見応えあるやに思います。紗綾さん演じる行方不明になった仲良しの女子中学生("ヨシコ"が勤務している児童養護施設の児童かしら)、"アユ"を探す児童養護施設の職員、"ヨシコ"を演じている前田愛さんは思い詰めた表情がイイですし、趣を持った女優さんやに思います。チョッと可哀相な役な気がします。結構好きな女優さんです。久保田"の脚の悪い娘、"モモ"役の清水萌々子さんは無垢な少女の可愛らしさ、恐ろしさ、残酷さと父親への親愛の情を微妙に上手く表現しているやに思います。原作者でもある楳図かずおさんは中々演技達者やに思います。脇を固める"ソウ"と"イズミ"の母親、"山辺カオル"役の懐かしや山本奈津子さん、"ヨシコ"の母親、"谷ミワコ"役の根岸季衣さんや刑事役の小木成光さんしかり、作品を盛り立て締めてくれているやに思います。

兄弟の愛と絆と信頼(の描写)は(思わせ振りで、チョッピリ薄気味悪さのようなものを感じさせつつ)グッとくるものがあったりします。

上述の繰り返しになるようですが、不明瞭で釈然としないところもありますが、然程は気になりませんし、原作コミックを読んでいないせいもあるやも知れませんが、何となく何とか興味を惹かれて観れる作品のような気がします。

どこか物々しい趣を漂わせて感じられるDVDのジャケットデザインは出来過ぎな気もします。

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2007年09月12日

「ブルークリスマス/BLOOD TYPE:BLUE」

「ブルークリスマス/BLOOD TYPE:BLUE」
1978年製作 日本
監督:岡本喜八 製作:嶋田親一、垣内健二、森岡道夫 脚本:倉本聰 撮影:木村大作 美術:竹中和雄 編集:黒岩義民 音楽:佐藤勝 主題歌:CHAR『ブルークリスマス』 助監督:岡田文亮
出演:勝野洋、高橋悦史、沖雅也、岡田英次、竹下景子、仲代達矢、中条静夫、大滝秀治、新井春美、岡田裕介、八千草薫、天本英世、岸田森、神山繁、小川信司、稲葉義男、岡本みね子、松田洋治、大谷直子、草野大悟、小沢栄太郎、潮哲也、芦田伸介、中谷一郎、島田正吾、松本克平、永井智雄、田中邦衛

子供の頃に初めて観たときには、UFOとの遭遇に宇宙人の侵略といった前宣伝にもっとSFSFした作品を期待していたので、UFOは殆ど登場せず、宇宙人に至っては全く登場しませんし、UFOと遭遇したことで血が青く変色してしまうことも含めて、不明瞭な謎のままですし、何より救いのない暗い映画だなくらいにしか思わなかったのですが、最近ふとまた観てみたいなと思っていたところ、近所のレンタルビデオ店でレンタルしていたのを発見したので、借りて久しぶりに観ました。脚本を手掛けているのは倉本聰さんです。

指揮者の小澤征爾さんの息子さんで俳優の小澤征悦さんと本作の主人公、国防庁特殊部隊員の"沖退介"役を演じている勝野洋さんはチョッと似ている気がします。勝野さんのコート・ジャケットとジーンズの着こなしは、様になっているやに感じます。仲代達矢さん扮する京都で開催された国際科学者会議でUFOの実在を訴えた直後に謎の失踪を遂げた岡田英次さん扮する兵藤光彦教授を調査する国営放送JCB外信部員の"南一矢"の息子役を演じている子役時代の松田洋治さんは可愛らしくて懐かしいです。仲代さんが見せる怪訝気な表情は面白い感じがして好きです。岡田英次さんは格好良くて、魅せてくれます。"沖"の上官、"沢木"役を演じている高橋悦史さんの眉間に刻まれた深い皺は渋いやに思います。フィクサー役の天本英世さん、フィクサーの側近役の岸田森さんと病院の院長役の神山繁さんのスリーショットは何だか凄いものがある気がします。"南"の上司、"五代報道局長"を演じている小沢栄太郎さんは、いつもながら胡散臭さが何とも好いやに思います。"南"の友人で新井春美さん扮する青い血を持つ新人女優、"高松夕子"の恋人の雑誌記者、"木所"を演じている岡田裕介さんのモッサリ加減は味があって好いやに思います。

国営放送JCB局内の雑然とした感じが好いやに思います。竹下景子さん扮する"西田冴子"が恋人の"沖"に"沖"の実家に結婚を報告に行く道すがらにうらびれた駅のホームの待ち合い小屋で自分の秘密を打ち明けるシーンや"南”がニューヨークで兵藤教授の行方を調査するシーンはカット割、構図や木村大作さんのカメラワークが効果的な気がして、とても印象的です。演技をしているときの竹下さんは不思議な趣を放って感じられる気がします。CHARさんが歌う劇中"ヒューマノイド"なる人気ロックグループが放つ世界的大ヒット曲『ブルークリスマス』は中々好いやに思います。

プロットからして空恐ろしくて興味深いやに思いますが、特に前半のヒタヒタ、ジワジワと迫る謀略の描写は不気味さと空恐ろしさを増長し、作品を盛り上げているやに思います。後半は些か一面的に過ぎて力技な展開に感じ、説得や納得に弱い気がしなくもありませんが、人間の恐さ、残酷さと愚かさや、国家・社会・世界、メディアや集団心理の危うさの側面を浮き彫りにして、辛辣に批判しているのだと取ります。
異質なものへの恐怖(感)を煽動され、猜疑心や被害妄想ばかりを抱かされて、冷静に、理性的に考え行動する余地や感情すらも奪われてしま(うことを受け入れてしてしま)い...盲目となるばかりか、ここぞとばかりに様々な不の思いを不条理にもそこに集約させたがったりもし...後になって気づいたとしても、原因を究明するよりも言い訳探しに逃げがちで、何れまた忘れたかのように同じようなことを繰り返してしまったりする...このようなある種の特異な状況に乗じて画策される陰謀などに欺かれることなく、冷静...理性的な判断、思考と行動で事態に抵抗し、回避するというのは、普段ですら危うい気もしますし、中々難しかったりするものやも知れませんが...そういうときにこそ、深い思慮とせっかくの人類の英知とやらを働かせるときやに思ったりします。自分を見失わず、情理を踏またいものです。現実を悲観しているだけでは、否定しているだけでは...意味がないとは思いませんが...悲観と否定とでは、異なるものでもありますし...ならば…どうにかせねば...どうすれば...なんて考えているだけでも...絶望は避けたいところやに思います。
人間は完全ではないからというだけではなく、決して善い人間にも悪い人間にもなり切れないやに思います。そもそも人間を人間足らしめているのは、善(いと思うことと)悪(いと思うことだけ)であろうはずもないやに思います。勿論、善悪について考え、意識する(正義を信じながら疑い、疑いながら信じる)ことは大切で、蔑ろにするべきではないやに思いますし、人間というのは、その狭間で揺れ動いている存在やには思います。
わかっていないわけではないことでも...しがちだったりするのやも知れませんが...。
またしても...支離滅裂な戯言をつらつらと書き綴ってしまいました。

2時間13分も全く長くは感じません。

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I would like to express my condolence with all americans affected by the tragic events of September 11,2001.
Also I would like to give my thought and prayer to all who became innocent casualties and their families.
May god bless everyone in this of sorrow.
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2007年09月09日

「いちばんきれいな水」

「いちばんきれいな水」
2006年製作 日本
監督:ウスイヒロシ プロデューサー:盛夏子、松本整 企画;石田雄治、宇田川寧 原作:古屋兎丸『いちばんきれいな水』(イースト・プレス刊) 脚本:三浦有為子 撮影:蔦井孝洋 美術:須坂文昭 編集:茶圓一郎 アニメーション:小林淳夫 音楽:沢田穣治 CG:小林淳夫 VE:石上正治 照明;中須岳士 製作統括:宮下昌幸、安永義郎、渡辺淳一 録音:江坂強志 助監督:武正晴
出演;加藤ローサ、菅野莉央、カヒミ・カリィ、南果歩、田中哲司、松田洋治、峯村リエ、高谷基史

古屋兎丸(ふるやうさまる)さんという漫画家の短編漫画集『Wsamarus 2001』に収録されている同名の一遍をミュージックビデオ出身で本作が映画監督デビューとなるウスイヒロシが映画化したドラマ作品です。

とにかく11年間眠り続けていた現代の『いばら姫』"谷村愛"を演じている加藤ローサさんの可愛さ綺麗さに魅了されてしまいます。彼女の突き抜けた天真爛漫さというか、純真なお馬鹿っぽさが役にピッタリやに思います。演技の危うさも何のその、魅力に映ります。女優さんとして、とてもユニークなキャラクターをしているやに思います。荒俣宏さん原作の小説『シム・フースイ』シリーズを信本敬子他脚本、椎名桔平さん主演で映画化したSFホラー映画作品「東京龍」で"有吉ミヅチ”役を演じていた中山エミリさんを思い出したりします。小さな体で"愛"ちゃんをおぶる妹の"谷村夏美"役を演じている菅野莉央さんは健気で可愛いやに思います。イイ顔をしているやに思います。お二人とも目が印象的やに思います。二人の叔母でカメラマンの"真理子"役のカヒミ・カリィさんは歌い手さんとのことですが、とても綺麗ですし、イイ雰囲気を持っているやに思います。お父さんの"谷村薫"とお母さんの"谷村陽子"を演じている田中哲司さんと南果歩さんも何だかとっても好い感じやに思います。南さんはイイ女優さんと思います。

『カロリーヌとおともだち』は懐かしいです。

"愛"と"夏美"がいちばんきれいな水”のある場所でまるで人魚のように水と戯れるシーンは涼しげで幻想的に綺麗やに思います。

綺麗な『いばら姫』のたった一夏の束の間の目覚めが齎す8歳の姉と12歳の妹との綺麗で大切な思い出...大事な秘密を...真実を伝えたかった真心の想いの深い透明さと綺麗さに涙が頬を伝います。変わらないいものとチョッとした優しい勇気がホンノリ大人の香りをかぐわせたチョッピリ新しい自分にするのやも知れません。

胸騒ぎを覚えるような危う気でファンタジックでメルヘンチックな清涼感ある清々しく綺麗な映画やに思います。その他はさておきたい気持ちになります...。

ラストのカット大好きです。

ただそこに居てくれさえすれば...またいつの日か目覚める日をいつまでだって楽しみに、温かく待っていたい...。

*心覚え(作品中に登場する台詞・人物・言葉・事物等)
『お父さん、愛ちゃんの番お願いね』
『夏美ちゃん大きくなったね』
『愛ちゃんがお姉ちゃんでがっかりした?』
『この夏は一回だけなんだよ!楽しいいことしよ』

いちばんきれいな水:オフィシャル・サイト

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2007年09月07日

「雨の町」

「雨の町」
2006年製作 日本
監督/脚本:田中誠 プロデューサー:松浦強 エグゼクティブプロデューサー:小澤俊晴、林瑞峰、阪上仁志、栗田陽子、宇田川寧 原作/出演:菊地秀行『雨の町』 脚本協力:奥寺佐渡子 撮影:松本ヨシユキ 美術:安宅紀史 衣装:宮本まさ江 編集:大永昌弘 音楽:遠藤浩二 エンディングテーマ/出演:菊地成孔『愛の感染』 照明:矢部一男 助監督;武正晴
出演:和田聰宏、真木よう子、成海璃子、武重勉、長島弘宜、前橋聖丈、品川徹、光石研、安田顕、江口のりこ、内田春菊、桂亜沙美、土屋良太、北山雅康、永野哲志、清水昭博、渡部駿太、上田耕一、絵沢萌子、草薙幸二郎

未読ですが、以前の投稿記事で取り上げた川尻善昭監督/脚本/絵コンテのホラー・アクションアニメ映画作品「バンパイアハンターD」の原作者で伝奇小説家の菊地秀行さんによる幻想ホラー短編集『死愁記』に収録されている一遍『雨の町』をこちらも以前の投稿記事で取り上げた鳥肌実さん主演のコメディドラマ映画作品「タナカヒロシのすべて」で監督/脚本を手掛けている田中誠監督が同じく監督/脚本を手掛けて映画化した作品です。内容は原作と異なるとのことです。是非読んでみたい気がします。

かなり私好みの作品です。

恐怖に、惨さに、嫌悪感に目を覆い、眉間に皺よ寄せ、罵り、切なさに涙しながら観ました。特に序盤の目を覆いたくなるような大人たちの子供に対する酷く惨い仕打ちには、怒りと恐怖と哀れさと無力感の悔しさに反吐が出る気分になり、涙が込み上げます。私もそうではないとは言い切れないのやも知れませんが、ロクデナシ共をぶっとばしてやりたい気がしてしまいますが...。
怖くて、切なく遣る瀬なくて、怖い作品やに思います。もう一押しが切なく遣る瀬なくて怖くて堪りません。

怖いのは人の心...利己心と無関心と好奇心と無知と思い込みと畏れと恐怖...過疎と都会化...信頼と誤解と裏切り...責任と無責任...小鬼と鬼畜。

以前の投稿記事で取り上げた諸星大二郎さんの漫画、処女連載シリーズである『妖怪ハンター』の一作、『生命の木』をホラー映画作品「リング」シリーズ「呪怨」シリーズのプロデューサー・製作者でもある一瀬隆重さんのプロデュース、藤澤恵麻さんと阿部寛さん主演で映画化したミステリー・サスペンス作品「奇談 キダン」と同じような雰囲気をした作品やに感じます。市川崑監督、石坂浩二さん主演による映画作品「金田一耕助」シリーズに漂って感じるような切なさ、遣る瀬なさを感じる気もします。ジョン・バンダムの原作小説『呪われた村』をジョン・カーペンターが「スーパーマン」シリーズのクリストファー・リーヴ主演でリメイク映画化したSFホラー作品「光る眼」を想起させられる気もします。

主人公のルポライター、"兼石荘太"を演じている和田聰宏さんは浅野忠信さんに似た雰囲気を感じる気がします。役にとても合っている気がします。指がセクシーと思います。村役場の福祉課の職員の女性、"香坂文緒"役を演じている真木よう子さんは、本作では一応ヒロイン役ながら登場シーンが少な目な気もしますし、やや印象に薄い気がしますが、彼女らしい独特の存在感と演技で魅せてくれているやに感じます。どことなく思い詰めたような表情が悩ましく感じます。35年前に丙村で集団失踪した小学生の内の一人、"高橋絇子"を演じている成海璃子さんは切な気な微妙な表情が印象的な雰囲気を持った女優さんやに感じます。失踪した小学生の一人、"内田伸"の父親を演じている草薙幸二郎さんは久しぶりに観ましたが、相変わらず味のある存在感を放っていて、嬉しい気がします。内田春菊さんはリアルでインパクトある憎々しい演技を見せてくれています。上田耕一さんはチョコッとしか出演していませんが、存在感ある演技を見せてくれていて、作品を引き締めているやに思います。“伸"の弟で集団失踪した小学生唯一の生還者、"安場サダヒロ"役の武重勉さんと"伸"と"サダヒロ"の母親役の絵沢萠子さんも存在感と味のある演技を見せてくれていて、特に武重勉さんは結構気になります。菊地秀行さんの弟さん、菊地成孔さんが手掛けているエンディングテーマも中々好いやに思います。お二方共本作に出演されています。

スパゲッティとライスというのはどうかと思います。

民話・もののけ話と現実の現実のミクスチュアをモチーフにしていて、今市子さん『百鬼夜行抄』好きとしては堪らないですし、意味深く見応えあるとても興味深い作品やに思います。

人にも天ん邪鬼にも人格・天ん邪鬼格があるということやも知れません。

社会の、人の有り様を抉っている...人の卑しさや惨さの戒めを痛烈痛切に感じる気がします。恐れども目を背けず、見据え、向き合わねばならない(のに、そうし難い)事実が世の中にはあると思います。いつまでもは傍観者のままでいられるものでもないやにも思います。利己のために他者の存在を蔑ろにすることに依存し切ってしまうということは...。幸か不幸か全知全能ではない人による不情、不条理や矛盾に満ちた世の中とはいえ...。生き難かったり、都合が悪かったりするのは、悪い他者がいるいるせいばかりではないやに思います。
ならば…どうにかせねば...どうすれば...。

作品をどれだけ読みとれているのかわかりませんが、意味ありげな雰囲気や空気感は私好みで、とても惹かれるものがあるのは確かと思います。

*心覚え(作品中に登場する台詞・人物・言葉・事物等)
「見えない見えない何にも見えない」

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2007年08月31日

「最終兵器彼女」

「最終兵器彼女」
2006年製作 日本
監督:須賀大観 プロデューサー:北崎広実、松井俊之、竹本克明、伊東伴雄 製作総指揮:高橋浩 企画:森下孝三、黒澤満、坂上順 原作:高橋しん『最終兵器彼女』(小学館刊) 脚本:清水友佳子 撮影:藤澤順一 美術:中澤克己 編集:阿部亙英 音楽:安西実 音楽プロデューサー:藤田昭彦 主題歌:メレンゲ『すみか』 VFXプロデューサー:氷見武士 VFX監督:野口光一 音響効果:柴崎憲治 企画協力:遠藤茂行
記録:豊見山明長 装飾:平井浩一 録音:湯脇房雄 監督補:蔵方政俊
出演:前田亜季、窪塚俊介、木村了、貫地谷しほり、川久保拓司、二階堂智、津田寛治、渋川清彦、酒井美紀、伊武雅刀

原作コミックは未読ですし、オリジナルビデオアニメーション(OVA)版はテレビ神奈川で放送されていたのを何度か観ただけです。近所のレンタルビデオ店で借りて観ましたが、そもそも何故に本作を観てみようと思ったのか正直良くわかりません。

うがった見方かも知れませんが、渾身の映像描写・VFXとは見受けられませんし、恐らくそれを前面に押し出した作りもしてないやに思われますので、ドラマ部分の、せめて勘所だけでももう少し丁寧に描き込んで欲しかった気がします。どうしても陳腐に映る気がして、がっかりさせられてしまうところがあります。作品全体のバランスが多少崩れたとしても、もっとインパクト、アクセントや減り張りを利かせて欲しかったやに思います。(映画化)作品としての特色や見せ場、見所はさして見受けられず、面白味や魅力に乏しく凡庸にも映る気がします。お話の展開は、出だしも含めて、チョッと唐突、突飛な気もしますが、そもそもそうした特徴をした作品とのことのようですし、まずまずまとめられているやに思えなくもありません。上述の通り、私は原作コミックは未読ですし、OVA版もきちんと観ていませんし、それらとの比較も含めて、良い出来なのかどうかはわかりませんが、何となく説得され、納得してしまう気はします。またこれも敢えて描いていないのやも知れませんが、『最終兵器』とされてしまった前田亜季さん演じる主人公の女子高生、"ちせ"と"シュウジ"の不条理な現状の受け止めの方というか、受け入れ方というか、受け流し方が不思議というか、意味あり気というか、興味深い気がします。地に足が着いていないような不思議な(というか、変な)空気感と雰囲気が漂って感じられますし、主人公の二人の微妙にギクシャクというか、チグハグなやりとりも面白い気がします。ただ、設定や構成はとても興味深いものがありつつも、これをいっては元も子もないやに思いますが、私としては個と個と関係を描く上で、主に恋愛に焦点させていることと、主人公たちの年齢の若さが作品の世界観を構成する上で重要な要素とは思いながらも、やはり何かチョッと物足りないというか、勿体ない気もします。まあ、極端で突飛に過ぎる気もしますが、ほろっとさせられたりもしますし、繰り返しになりますが、上述の通り、原作は未読ですし、OVA版も殆ど観ていないこともあってか、それなりに観れる作品やには思います。

窪塚俊介さん演じる『最終兵器』とされてしまった前田亜季さん演じる主人公の女子高生、"ちせ"の恋人の高校生、"シュウジ"が校舎の傍らのベンチに寝転がり思いを巡らせるシーンは好きだったりします。

窪塚俊介さんは、"シュウジ"役のイメージからしてチョッと灰汁が強すぎる気がしなくもないですが、面白味は感じなくもない気もします。前田亜季さんは掴み所のなさがまずまず"ちせ"役に合っている気がします。不安定な面白さを感じる気がします。"ちさ"の幼なじみで親友の女子高生、"アケミ"を演じている貫地谷しほりさんは、演じている役柄云々は別にしても、しっかりした演技と存在感の魅力を魅せてくれていると思います。渋川清彦さん扮する自衛隊員、"テツ"の奥さん、"ふゆみ"を演じている酒井美紀さん、『最終兵器』の研究員、"ムラセ"を演じる伊武雅刀さんと同研究員の"白衣の男"を演じている津田寛治さんは役不足に感じなくもありません。

二人の恋は切なく、もどかしく、辛くも揺るぎなく、強い...そういう恋の新しくてオーソドックス・普遍的な壮絶な(ロマンス・)ファンタジーやに感じます。覚悟の拠り所が恋の想いであることの純粋な美しさと、切なさと、怖さと、強さと、惨さを感じる気もします。
女性の勘は鋭かったりするのやに思います...。
正に『最終兵器』とされてしまった"ちせ"とその恋人である"シュウジ"をはじめとした登場人物たちの本(映画化)作(品)では前面に描かれることのない、ジレンマ、葛藤、戸惑い、苦悩を敢えて慮るならば、愕然とさせられる気がします。

いつにも増して支離滅裂で苦しい記事となってしまいました...。

本作の監督である須賀大観監督、伊藤英明さん主演のSFコメディ映画作品「ブリスター! BLISTER」は結構好きだったりします。

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2007年08月30日

「銀河鉄道の夜 I carry a ticket of eternity」

「銀河鉄道の夜 I carry a ticket of eternity」
2006年製作 日本
監督:秋原正俊 原作:宮沢賢治『銀河鉄道の夜』 脚本:落合雪恵 音楽:梅津和時 
出演:谷村美月、市川男寅(7代目)、松田洋治、高橋武、源崎知枝、小橋めぐみ、古川悦史、清水美恵、斎藤洋介、勝野洋

宮沢賢治さんの名作童話『銀河鉄道の夜』を秋原正俊監督が以前の投稿記事で取り上げた川原泉さんの同名人気少女漫画をVFX畑出身の小田一生さんが監督、上野樹里さん主演で映画化した学園コメディアドベンチャー作品「笑う大天使(ミカエル)」で"沈丁花"役を演じている谷村美月さん主演で現代の東北地方を舞台に映画化した文芸青春ドラマ作品です。

『銀河鉄道の夜』は杉井ギサブロー監督の同名アニメ映画化文芸作品は観たことがありますが、宮沢賢治さんの原作小説は小学生のときに学校の図書館で『風の又三郎』『注文の多い料理店』『よだかの星』などとともに借りて読んだきりな気がします。

主人公の高校生、"ジョバンニ"を演じている谷村美月さんは力強い目と鼻孔の開きに意思の強さを感じさせる凛々しい顔立ちの魅力ある女優さんやに思います。存在感の強さと繊細さと、所作や歩き方などをはじめとして見受けられるぎこちなさのようなものとのアンバランスや芝居じみて感じられなくもない、クリアで力強い台詞回しは初々しくて、本作に於ける"ジョバンニ"役に合っているやに思います。思い詰めた表情やもまた魅力的やに思います。DVDの特典映像に収録されているインタビューの質問の答えは微笑ましくて面白いやに思います。チョッと加藤夏希さんに似ているかしら。斉藤洋介さんは、"鳥捕り"を寂し気で怪しげに演じているやに思います。鳥を捕まえるシーンは幻想感を引き立たせているやに思います。思い詰めた表情が情感に訴える気がします。味があって好い役者さんやに思います。DVDの特典映像に収録されているインタビューの質問の答えは些かくどい気がします。蜷川幸雄さんらの舞台に出演して鍛えられたせいか、松田洋治さんは面構えも精悍になり、演技もどっしりして、一段と好い役者さんになった気がします。ジェームズ・キャメロン監督のロマンス・パニック・ドラマ映画作品「タイタニック」で"ジャック・ドーソン"役を演じているレオナルド・ディカプリオの声の吹替えをしていることもあり、 乗っていた船が氷山に衝突して沈み、少年を助けようと海でもがいているうちに、『銀河鉄道』の乗員となって乗り込んでいた"青年"役にピッタリやに思います。今市子さん原作の私の大好きな妖怪・ホラー・ミステリー漫画『百鬼夜行抄』CDドラマで"赤間"の声を演じているとのことです。

ほの明るい列車中の温かだけれど、どこか安息と不安な気持ちを感じさせられる雰囲気や車窓から見える幻想的な風景が懐かしく素敵やに感じます。

麦茶を冷蔵庫に入れずに流し台に放置しておくのは、どうかと思います。

面白味というか、心を惹き付ける魅力を漂わせている作品やに感じます。あからさまにではないですが、危うさと残酷さを漂わせていて、暗くなりそうで、暗くなり切らない作品の微妙なニュアンスの世界観の表現が素敵で惹き付けられる気がします。(風景・心象描写らしき)映像の差し込み方、 切取り方、構図、色彩と濃度などにも惹かれるものがあります。デジタル映像とのことですが、透明感に加え、深みと趣が感じられて美しいやに思います。斬新とかではない気がしますが、不思議な(変わった)魅力を醸す映像描写、被写体の捉え方が色々とイメージを喚起させてくれる気もします。音楽はとても作品の雰囲気に合っていて、当て方もとても上品に上手く、情感をよりそそられる気がします。秋山羊子さんの透明で不思議な歌声は心を優しく温かく揺ったりと包み込んでくれそうな感じがします。

秋原正俊監督の映像表現は癖になりそうな気がします。秋原監督は太宰治原作の『富嶽百景』、芥川龍之介原作の『河童』や幸田露伴原作の『五重塔』などの文芸小説を映画化しているとのことですので、今度観てみたいと思います。

上映時間は1時間と短めなこともあり、アニメ映画化版で感じためくるめくといったような印象よりも、ゆったりとフラットな印象を受ける気がします。

美しく不思議な印象を抱かせるやの文学的映像が紡ぎ出す友への想いと現実が見せる未来への過去と交わる泡沫の寂し気、儚気、切な気で温かい幻想銀河鉄道旅行に浸れればと思います。

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2007年08月26日

「ELECTRIC DRAGON 80000V」

「ELECTRIC DRAGON 80000V」
2000年製作 日本
監督/脚本/タイトルロゴデザイン:石井聰亙 プロデューサー:仙頭武則 撮影:笠松則通 特殊メイク:原口智生 美術:磯見俊裕 衣装:高橋ハルカ 編集:掛須秀一 音楽;小野川浩幸、MACH1.67{浅野忠信、石井聰亙、小野川浩幸(映画音楽評論家)、佐藤久順(浅野忠信さんのお兄さんにして俳優でミュージシャン)地球の自転速度をバンド名にしているとのこです} アクションコーディネーター:齋藤英雄 ビジュアルエフェクトスーパーバイザー:古賀信明 メイク:柘植伊佐夫、浜野正明 刺青:MEGU 銃器デザイン:井上修次 照明:水野研一 製作担当:中村哲也 特殊造形:宗理起也、栄福哲史 録音:小原善哉 助監督:藤江義正 タイトルイラスト/タイトルロゴデザイン:浅野忠信 タイトルロゴデザイン:永瀬正敏 ナレーション:船木誠勝
出演:浅野忠信、永瀬正敏、有薗芳記、アリ・アーメッド、アベディン・モハメッド、ホセイン・アブドウル、清末裕之、井上潔、石井榛、長谷川恵司、中村哲也、宮村敏正、森羅万象

デザイン、ガジェットデザイン、衣装、特殊メイク、メイク、タイトルイラストやタイトルロゴデザインは、私にはガーベイジ(garbage)さが感じられたりもして、クールでかっこ好く映りますが、けったいに思う向きもある気はします。劇画チックなナレーションとロゴテロップは喧しく、うっとうしく聞こえ、映る向きもあるやには思いますが、ナレーションは船木誠勝さんがされていて、迫力、勢いと説得力をひしひしと感じてしまいますし、ロゴテロップはスタイリッシュでスピード感に溢れ、インパクトあるやに思います。

子供の頃に送電線に接触する事故にあい、80000Vの電気を受けて帯電していまった浅野忠信さん扮する爬虫類と心を通わせる爬虫類専門のペット探偵、"竜眼寺盛尊(りゅうがんじもりそん)"がストレス、フラストレーション、怒りを発散するためにギターをかきならすシーンのシルエットなど墨がかったようなチープさや危うさが漂って感じられるモノクロの映像が石井聰亙監督っぽく特徴的というか癖が感じられて、微かに嫌悪感や不安感を感じるようでいて、惹かれるものがあります。映像の彩度やアングルも面白いと思います。ロケ地やセットデザインも感じが出ていて作品にマッチしているやに思います。仕方ないとは思うのですが、"竜眼寺盛尊"が履いている靴の汚さが、チョッと気になります。有薗 芳記さん扮する"極悪人"が毛皮のコートを着て、携帯電話をいちいち拳銃のようにクルクル回して掛ける、出るのは気に障ります。

ある意味真っ向勝負のテーマを扱い、陳腐にも映るやのストレートな描写もわかりやすくて悪くないやに思います。55分という中途半端にも思える上映時間もこの作品にして適度な尺に感じられます。

子供の頃に20000000Vの落雷に打たれて、帯電してしまった半面の仏像仮面で顔を覆う怪電波に目を光らせる電気修理士、"雷電仏蔵(らいでんぶつぞう) "を演じる永瀬正敏さんは不思議で不気味で、怪しく謎めいた色気を放って感じられます。浅野さんと永瀬さんの(一風変わった)ダークヒーロー振りは魅力的やに思います。お二方共役にピッタリというか、双方の役共にお二方にピッタリな気がします。永瀬さんは、妙なくらい半面の仏像仮面が似合って映る気がします。浅野さんの走る姿も様になってかっこ好く映るやに思います。お二方共に危う気さは程々な感じで好いやに思います。

クライマックスで"竜眼寺盛尊"と"雷電仏蔵"が繰り広げる壮絶で遊び心が感じられる運命のバトルシーンをはじめ、アクションは中々見応えあるやに思います。

主人公、特に"竜眼寺盛尊"には何となくシンパシーを感じる気がするようで、わかったようなわからないような気もしますが、とにかく、それをどがえししたスピード感、迫力と勢いに結構惹き込まれてしまいます。唐突感も吹き飛んでしまう気がします。

ハイパーハイテンション、パンキッシュかつスタイリッシュな作品やに思います。喧しいのは喧しいですが...。

封印を解き放たれた本能に導かれ、翻弄され、自らの生きる道を模索し、見出す...。

人類の進化の結果齎されるのが文明なるものの発展とするならば、その進化や発展が齎す抑圧により(決して退化したのではなく、)埋没・封印された本能が感電を期に一挙に覚醒、爆発したのやに思います。いつの世もそうした側面を抱えているのやも知れませんが、現代に至った文明の発展が齎す抑圧によるフラストレーション、ストレスや怒りに対する本能的危機回避、反抗的反作用の象徴としているやにも思います。
何を言っているのやら、自分でも良くわかりません。

*心覚え(作品中に登場する台詞・人物・言葉・事物等)
「電気は大切にー」
「ギター買わなきゃな」

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2007年08月24日

「キリコの風景」

「キリコの風景」
1998年製作 日本
監督:明石知幸 プロデューサー:坂本忠久 製作総指揮:中村雅哉 脚本:森田芳光撮影:高瀬比呂志 美術:鈴木清倫 編集:三條知生 音楽:木根尚登
出演:杉本哲太、小林聡美、勝村政信、田口トモロヲ、木根尚登、利重剛、風見章子、中村久美、赤星昇一郎

静かに淡々と緩やかで優しく温かく、チョッピリダークで切なくやり切れずブルー、そしてファンタジックで、味わいは薄目も、ジム・ジャームッシュやヴィム・ベンダースの監督映画作品(や、狩撫麻礼・作、たなか亜希夫・画による同名小説を松田優作監督/主演で映画化したサスペンスドラマ「ア・ホーマンス」)のようなテイスト、空気感や雰囲気を感じる気がします。特に音楽は、ヴィム・ベンダース監督のドラマ映画作品「パリ、テキサス」を思い起こさせられます。それが鼻につくという向きもあるやも知れません。北海道の街並がとても美しく映ります。脚本を手掛けているのは本間洋平さんの同名原作小説を松田優作さん主演で映画化したブラックコメディドラマ「家族ゲーム」の監督/脚本を手掛けた森田 芳光さんです。因に「家族ゲーム」の助監督は金子修介さんが務めています。

函館の街にやって来た思議な力を持つ男、"村石陽介”を演じる杉本哲太さんの抑制的で、静かに危うさを漂わせた演技と存在感には惹かれるものがあります。抑制的、感情を露にしない演技に微妙な表情の変化が絶好やに思います。以前にも記したやも知れませんが、連続TVドラマ『茜さんのお弁当』を楽しみに観ていた身としては、哲太さんは好い役者さんになったな〜とつくづく思います。好い目をしているやに思います。マンションを探して街を巡る"村石"を乗せるタクシーの運転手、"西川洋一”を演じる勝村政信さんの内に込めた演技と案内のため同行する"西川"の友人の地元の不動産屋の"海田勉"を演じる利重剛さんの飄々とした演技にも惹かれます。利重さんはとても気になる俳優(・監督)さんです。しかし、何といっても"村石"の元奥さん、"霧子"を演じる小林聡美さんのしっとりと仄かな艶っぽさと、チラリと垣間見みせるお馴染みのコケティッシュでチャミーング、ユーモラスな親しみ易さに魅了だれます。初めて本作を観たときは、失礼ながら、小林聡美さんはこんなに綺麗だったかと驚き見とれてしまいました。

カメラの揺れによる心理描写や過去の記憶の描写は目新しいものとは思えません
が、効果しているやに思います。"村石"と"西川”と"海田"の三人の男性の普通っぽいけれど、一癖あるキャラクターと親密で危なっかしい、不思議で絶妙な関係の距離感にとても興味を惹かれます。

再生し、新生のため置き忘れた過去を追い求めさすらい、たどり着いた過去に過去と決別たらしめられ、新生への道を歩みだす。

心を病んで、罪を過ちを犯してしまった人々を癒すものと病んだ心を治すものとは...。透き通った空気に漂う淀みに静かに揺ったりと吹き流れる優しく温かく切ない風の如く...。

杉本哲太さんと小林聡美さんと顔合わせはとても興味深く感じます。

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ニューヨーク・ヤンキース、打撃好調の松井秀喜選手のチームメイトで22歳の新人右腕リリーバー、ジョバ・チェンバーレイン投手は逸材やに思います。100マイル近い威力あるストレートに変化球もまずまずコントロール出来てとても魅力的やに思います。苦しい投手事情のヤンキースにあって、デビュー6戦で未だ無失点ですし、救世主となってチームを逆転地区優勝に導いて欲しいです。同じくヤンキースの26歳の新人右腕リリーバー、エドワー・ラミレス投手のチェンジアップは武器になるやに思います。チェンバーレイン投手はチームメイトで今日まで通算353勝を誇り、大リーグ史上5本の指に入る投手といわれる"ロケット"ことロジャー・クレメンス投手にチョッと似ている気がします。因にクレメンス投手は現在45歳で、今季これまで5勝5負の成績を残しています。
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2007年08月08日

「パビリオン山椒魚」

「パビリオン山椒魚」
2006年製作 日本
監督/脚本:冨永昌敬 製作:松下晴彦、御領博 プロデューサー:西ケ谷寿一、スージュン エグゼクティブプロデューサー:甲斐真樹 協力プロデューサー:齋見泰正 撮影:月永雄太 美術:仲前智治 編集:大重裕二 音楽菊地成孔 照明:大庭郭基 録音:山本ヤカアキ
出演:オダギリジョー、香椎由宇、高田純次、麻生祐未、光石研、KIKI、キタキマユ、斎藤陽一郎、杉山彦々、津田寛治

奇想天外な物語といえばそうですし、馬鹿馬鹿しくもあり、アヴァンギャルドだったり、フィルム・ノワール的だったりもする雰囲気を醸して感じられるところもありますが、観る前はもっと奇抜な作品かと思っていましたので、箍が外れているとまでは感じませんし、思いの外まっとうな、しっかりとした作りの作品との印象です。とりとめのないようで、 何となくまとまっていて、不思議な感じもします。原作ものでなく、(監督自身による)オリジナル脚本ものというのは、何となく意外な感じがします。音楽のせいなのか、文学的雰囲気を微かに漂わせて感じられる気がしたりします。

光石研さん扮する第二農饗会長の"香川守弘"から偽物疑惑が浮上している伝説の動物国宝で、国民の血税が注がれ続けている大山椒魚の"キンジロー"を管理している"サラマンドル・キンジロー財団"から盗み出し、嘗て出品されたパリ万博で負った骨折の治療の跡が残っているかどうか、レントゲンで調べて欲しいという奇妙な依頼を木村分さん扮する妹で助手の"甲斐"の結婚資金を報酬に引き受けるウィルヘルム・コンラード・レントゲン博士を尊敬して止まない主人公の自称"21世紀の天才レントゲン技師"、"飛鳥芳一(とびしまほういち)"を演じるオダギリ ジョーさんは、何となく地に足が着いていないというか、宙ぶらりんな感じがしなくもありませんし、楽にというか、楽しんで役をこなしているような感じを受けます。存在感も光っているようなやや薄いような、判然としない感じがします。口髭に髪を撫で付けた山賊サルバトーレ・ジュリアーノ気取りの姿は様になって映る気がします。何故かバク転をしながら姿を表すシーンは、私的には見所です。
高田純次さん演じる先代の財団代表者で、父親の"二宮四郎"から物心ついた頃に行方不明となった母親に会わせてあげるから、悪い奴らに狙われている"キンジロー"を財団から連れ出してくれと頼まれた"ニ宮あずき"を演じる香椎由宇さんは、クールで大人な雰囲気を醸すエキゾチックな容貌とマイペースに映る演技の中に垣間見せる可愛らしさがまた魅力的だったりする気がします。18才にして、あの大人びた色気と気品には貫禄さえ感じる気がします。"わかんないけど、何かやだ"の台詞は、わからないけれど、何か好い響きに感じる気がします。高田純次さんは、普通にまともに演技されているやに映ります。
KIKIさん演じる財団の現代表、二宮家の次女で"あずさ"の姉の"みはり"のオカッパ頭のような不思議な髪型にクールな眼差しが魅力的だったりします。KIKIさんは、佐伯日菜子さんに雰囲気がチョッと似て映ります。
"香川"と結婚する予定で、妹の"あずさ"達に父"四郎"がこさえた借金返済のため"財団"を"第二農饗"に売却するよう勧める二宮家の長女で女優の姉、"アキノ"を演じる麻生祐未さんの物憂気で気怠気な演技は何となく惹かれつつも、かったるくてみすぼらしく映る気もします。
二宮家の三女の"日々子"を演じているキタキマユさんは、良し悪しはさておき、演技して魅せてくれてるやに思います。因に私は吃る演技も含めて悪くないやに思います。
"香川"の手下で"日々子"を襲撃する"ひばり"役を演じる津田寛治さんは、相変わらず奇異で危うい雰囲気を醸しながら、何処か安心出来る気がして、好いやに思います。
"みはり"に盗まれた"キンジロー"の捜索を指示される"財団"の"亀田一志"を演じる杉山彦々さんの演技と存在感は結構印象的な気がします。

"芳一"がレントゲン車の中で、"あずき"と語らいながら"キンジローが入っている水槽の水おもむろにをポットに汲んで飲みかけるシーンは気持ち悪くも、面白くもあり、不思議に印象的な気がします。続く二人のラヴ・シーンはチョッと変態チックで素敵な気がします。"キンジロー"が傍らの水槽の中で興奮の泡を噴出するのも可愛らしくて面白い気がします。ヌルヌルしているのは気持ち悪い気がしますが...。所々で差し挟まれる富士山の遠景、都会や日常の風景描写は目を惹かれるものがある気がします。画の感じが微妙に異なって映るのも気になります。"みはり"の幼娘"ミチ"が可愛らしいです。浅野 泰徳さんと福津屋兼蔵さん扮する笛午村の義族、"望月"兄弟が話している方言は何弁なのかしら...。

作品も出演者の演技も弾けそうで弾け切らない、箍が外れていそうで、外れていない、煮え切らなさそれももしかしたら旨味なのやも知れませんが...。

何だか良くわかりませんが、まるくおさまって(家族を一つにして)、大した"キンジロー"という感じです。とんだ大芝居というか、茶番劇なのか、はたまた泡沫の幻なのかしら....。観客の目なのかしら、心の映し鏡なのかしら....。"本物とか、偽物とかじゃなくて、どっちでもいいの"と"あずさ"が口にするように、嘘でも真でも、他愛もないことやものでも人は心動かされ、幸せにも不幸にもなるのかも知れないと思ったりします。深いのやら、どうなのやら...他愛ない愛が語られているような気もします。側にいたとしても、気づかなければ、感じれなければ寂しいものやに思います。

山椒魚の照り焼きの缶詰(缶詰でなくとも)食べたいとは思えません。

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2007年07月21日

「あの、夏の日 〜とんでろ じいちゃん〜」

「あの、夏の日 〜とんでろ じいちゃん〜」
1999年製作 日本
監督/脚本:大林宣彦 制作/企画:芥川保志、大林恭子 原作:山中恒『とんでろじんちゃん』(旺文社刊) 脚本:石森史郎 撮影:阪本典隆 音楽:學草太郎、山下康介
出演:小林桂樹、厚木拓郎、勝野雅奈恵、佐野奈波、宮崎あおい、久光邦彦、芥川志帆、小磯勝弥、入江若葉、上田耕一、石田ひかり、山本晋也、林泰文、天宮良、ベンガル、根岸季衣、ミッキー・カーチス、大前均、大和田伸也、嶋田久作、松田美由紀、菅井きん

若草の香るような熱く、濃く淡い、切な気な想いの思い出と想・思いやつきまとう苦い記憶と悔恨の念などの想・思いの継承のファンタジックな描写は絶妙な気がします。ノスタルジック、ロマンティック、ミステリアスさが、決してあからさまではなく、仄かに散りばめられた寸止め感にも惹き付けられる気がします。大林宣彦監督もDVDの特典映像で話されていますが、尾道の空の色の青さをはじめ映像が瑞々しく鮮やかで、趣きも感じられる気がします。大林監督お得意の映像技巧・技法も抑え気味な施され方、もしくは表出のされ方に感じられることもあり、独特とも感じられる気恥ずかしさや違和感は程良く感じられて、ある意味安心して観られて、好いやに思います。色々な想・思いや気持が作品の中に自然に盛り込まれ、表現されていて、決して説明じみてもいず、心にすっと伝わって来る気がします。未読ながら、原作の良さもあるのでしょうが、演出と演技の巧さもあるやに思います。お約束事も、大林監督の作品特有と思われるやの遊びも過ぎていず、エキセントリックさも程良く、とても上手い具合いに作品に馴染んでいて、素敵で見応えある作品やに思います。『新尾道三部作』の最終作にふさわしい作品やにも思います。

おじいちゃんの"大井賢司郎"とひいおじいちゃんの"大井賢之助”の二役を演じられている小林桂樹さんの誠実な妙演は、何とも素晴らしいと思います。ふんどしを翻して空を泳ぐ姿も剛毅、勇壮で楽しいです。おじいちゃんと不思議で素敵な夏休みをおじいちゃんの住まう尾道で過ごす"ボケタ”こと孫の"大井由太"を演じる厚木拓郎くんのキャラクター、演技、仕草、ナレーションも含めた台詞回しや笑顔が面白くて、可愛らしいです。本作がスクリーンデビュー作となる長恵寺の娘、"小林ミカリ”役の勝野雅奈恵さんの溌剌とした朗らかさと漂わせる純朴なエロスが何とも魅力的で好いやに思います(山本周五郎原作の同名小説を市川崑監督、岸恵子さん主演で映画化した時代劇ドラマ作品「かあちゃん」での彼女も好いやに思います)。おばあさん、"大井亀乃"役の菅井きんさんの温かさ、優しさや愛情が感じられる演技も素敵やに思います。小磯勝弥さん演じる"ホラタコの多吉”の無垢で粗野な卑しさや林泰文さん演じるほくろの先生、"久保勝彦”のほくろの嫌らしいさも印象的だったりします。"あずき屋治助”を演じる山本晋也さんも味わいが感じられて好いやに思います。大林監督は、本作でも映画デビューとなる宮崎あおいさんを起用し、その(新たな)女優さんの起用、発掘の手腕をまたしても発揮されています。彼女も脱がされていますが、切なる切ない気持ちがとても良く伝わって来るやに思います。他の出演俳優の皆さんも素敵な演技と存在感を放っていいいるやに思います。

語部が子供で、視点も子供であるということが、演じている厚木くんの台詞回しの旨さと相俟って、とても素直に作品を観れる気がします。気持ちの描写、吐露のさせ方が面白く絶妙な気がして心揺さぶられもします。 伝えよう伝えようしてばかりには感じられませんが、心にス〜と伝わっている 、伝わって来る気がします。

音楽もとても作品にマッチしていて、"あの、夏の日”の情景が思い浮かぶようです。

形あるものは何れ朽ち果てますが、想・思いは、疎通するのみならず、継ぎ継がれていかねば...いくよりないやに思います。

思考は、過去、行動は、現在...未来に向かって過去と現在を生きている...。

*心覚え(作品中に登場する台詞・人物・言葉・事物等)
「死んで思い出になったんよ」

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あなたが失った記憶を私が覚えているということもある...。
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2007年07月13日

「姑獲鳥の夏」

「姑獲鳥の夏」
2005年製作 日本
監督:実相寺昭雄 製作:荒井善清、森隆一 プロデューサー:小椋悟、神谷裕司企画:遠谷信幸 原作:京極夏彦『姑獲鳥の夏』(講談社刊) 脚本:猪爪慎一 脚本協力:阿部能丸 撮影:中堀正夫 美術:池谷仙克 編集:矢船陽介 音楽:池辺晋一郎 衣装デザイン:おおさわ千春 照明:牛場謙二 整音:瀬川徹夫 録音:藤丸和徳 助監督:勝賀瀬重憲、安原正恭 監督補:服部光則
出演:堤真一、永瀬正敏、阿部寛、宮迫博之、原田知世、田中麗奈、清水美砂、篠原涼子、松尾スズキ、恵俊彰、寺島進、堀部圭亮 、三輪ひとみ、原知左子(実相寺監督の奥様)、荒川良々、京極夏彦、すまけい、いしだあゆみ

原作を読んでいないので映画化にあたりどういった脚色がなされているのかわかりませんが、"怪奇"現象を学術的且つ陰陽道の要素も忘れずにエッセンスとして加味した切り口は画期的とまではいえないやも知れませんが、目新しく、作品に通ったオリジナリティーに富む世界観がうまく構築されているやに思います。キャスティングも面白いです。江國香さん原作の同名小説を映画化したロマンス作品「落下する夕方」での原田知世さんと菅野美穂さんの競演も嬉しかったですが、本作で事件の中心的役割を演ずる "久遠寺涼子・梗子"(二役)を演じる原田知世さんと堤真一さん扮する"京極堂(中禅寺秋彦)"の妹で”稀譚月報”の記者"中禅寺敦子"役の田中麗奈さんの共演は、絡みこそ殆どありませんが、嬉しいキャスティングです(フランク・ミラー原作の同名アメコミを自身が製作/脚本を手掛け、ロバート・ロドリゲス製作/脚本/撮影/編集/音楽とクエンティン・タランティーノ監督〔スペシャルゲスト監督〕で実写映画化したクライム・サスペンス・アクション作品「シン・シティ」でのブルース・ウィリスとミッキー・ロークやローレンス・カスダン監督/製作/脚本の西部劇映画作品「ワイアット・アープ」でのケヴィン・コスナーとデニス・クウェイドの共演同様)。"中禅寺敦子"と演じる田中麗奈さんの存在は良いクッションになっていて、少年探偵団みたいで可愛らしいと思います。 "涼子・梗子"の母親"菊乃"役のいしだあゆみさんは怖いです。主人公の一人、作家で事件の取材を依頼されることとなる永瀬正敏さん扮するところの"関口巽"のしとやかで控えめな奥方、"雪絵"役の篠原涼子さんの本作における控え目な演技は好いやに思います。登場人物の設定も極端にし過ぎておらず、説明過多にもなっていませんが、隠された背景がありそうで、それが事件とリンクしていたりと、ミステリーとしてうまく出来ているやに思います。原作者の京極夏彦さんが○○◯◯◯先生役でカメオ出演しているのも憎い演出やに思います。事件を解決に導く"京極堂(中禅寺秋彦)"役の堤真一さん、戦地での焼夷弾による目の負傷により不思議な能力を持ち、当初事件解決に協力するものの途中その特殊能力故に事件から手を引きかける私立探偵の"榎木津"役の阿部寛さんも事件の解決に臨むという点では堤幸彦演出・監督のTV連続ミステリー・コメディ『トリック』シリーズとミステリー・コメディ映画作品「トリック 劇場版」シリーズでの科学至上主義の日本科学技術大学の(助)教授、"上田次郎”役と同様ですが、役柄はクールでドライとまた一味違って興味深いやに思います。

何というか映画という昔読んだ怪奇ミステリー小説を観読むかのような不可思議、懐かし気でワクワクする感覚を沸き起こされる気がします。

タイトルバックデザイン、カット割、画面の構図、カメラアングルやレンズの種類の選択など映像演出・描写表現もテイスト、面白味、趣と洒落が感じられて好いやに思います。登場人物のキャラクター、その組み合わせとキャスティングがバラエティに富んで面白く魅力的やに思います。"京極堂"が語る現実の知覚、認識、意識と客観認識は不可能であることに関する科学的論法は、SF・サスペンス・アクションTVアニメシリーズと映画作品「GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊」「イノセンス」で語られるが如くやに感じられたりもします。

現実を曖昧にしか認識することが出来ない人の密やかな思・想いが心(脳)を惑わせ、認識を狂わせるのです。

古風で怪しげな和のロマネスクな雰囲気が漂って感じられるやに思います。趣味の良し悪しはともかくとして、遊び心も感じられるやに思います。

オショボ憑きの筋だとか妖怪というよりも民族学的なアプローチにもそそられるものがあります。民俗学というのも面白そうな気がします。久遠寺医院の館は雰囲気あるやに思います。

不思議なことなど何もない...直感・本能的認識力...呪いは脳に仕掛ける時限爆弾...多重人格症...認識しているのは仮想現実に過ぎない...思・想いは心(脳)を惑わせる...儚い架空。

不思議なことなど何もないこの世の不思議...全てを認識出来ぬ以上、不思議なことは存在するというか、とせざるを得ぬとしても不思議ではないやに思ったりもします。

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2007年07月07日

「時をかける少女」

「時をかける少女」
1983年製作 日本
監督/脚本/編集:大林宣彦 製作;角川春樹 プロデューサー;山田順彦、大林恭子原作:筒井康隆『時をかける少女<新装版>』(角川文庫刊) 脚本;剣持亘 撮影:坂本善尚 美術:薩谷和夫 音楽:松任谷正隆 主題歌:原田知世『時をかける少女』 音楽プロデューサー:高桑忠男、石川光
出演:原田知世、高柳良一、尾美としのり、上原謙、内藤誠、津田ゆかり、岸部一徳、根岸季衣、入江たか子、松任谷正隆

本作は赤川次郎さん原作の同名小説を根岸吉太郎監督が薬師丸ひろ子さんと松田優作さんで映画化したロマンス・サスペンス作品「探偵物語」と同時上映でしたので、当時中学生だった弟を連れ立って東京は銀座の丸の内東映まで観に行ったのを覚えています。先日の投稿記事で取り上げた細田守監督によるアニメ映画化作品を観て、久しぶりに観てみようと思い観てみましたが、以前観た時よりも何だかイイのです。

とにかく懐かしいです。主人公の女子高生、"芳山和子"を演じる原田知世さんは初々しく凛として懐かしいです。詩的な女優さんというような感じがします。冒頭満天の星空に抱かれる雪山に吹雪舞うモノクロームから列車の車中にシーンが転換して、次第に色づいて行く映像が何ともファンタジックで惹き付けられる気がします。大林宣彦監督が愛する古都尾道が暗いというか、落ち着いたトーンで描写されていて、美しくて、どことなく魅惑的というか、不思議な趣と風情を感じる気がします。ふと寅さんを思い起こさせられる情景描写があったりします。空気感や温度が余り感じられないの不思議な魅力やにも感じられます。

片隅とはいえ、他の生徒も大勢いる校庭での弓道の練習は些か危なっかしく心配してしまったりします。"和子"が弓道の部活中、矢を放つ前に突如矢が的に刺さるビジョンを目にし、練習を切り上げて校庭を立ち去る背後の怪し気な空模様(空の色)が印象的だったりします。"和子"の学校の行き帰りの道すがらにある竹藪や路地も幻想幻夢的で印象的です。高柳良一さん扮する"和子"の同級生、"深町一夫"が着るコートを肩に掛け、"和子"が"一夫"と肩寄せ合って『モモクリ三年の歌』を歌いながら夜の竹薮道を歩くシーンのほのかさと温かさは、特に印象深いです。上原謙さんと入江かか子さん扮する"一夫"の老祖父母が焚火を前にして過去と現在と未来を語らうシーンは感慨深く感じます。

ボーイッシュな原田さんの弓道着姿は凛々しく、体操着姿の若さは眩しく感じます。高柳さん(の演技)は小説的な雰囲気というか存在感を醸して感じられる気がします。貴重な俳優さんだったやに思います。現在はニッポン放送にお勤めとのことです。"和子”の通う高校の教師、"立花尚子"役の根岸季衣さんのムチムチっとしたおみ足の溌剌とした色気が眩しかったりします。"和子"の同級生で醤油やのせがれの"堀川吾郎"を演じる尾美としのりさんは、またまた微妙な立ち位置の役を巧く演じているやに思います。尾美さんの外連味あるようなないような微妙な演技は嫌味に感じそうで感じず、どこか親近感を覚えて好いやに思います。"和子"の担任で古典の教教師、"福島利男"役の岸部一徳さんの朴訥としてとぼけた演技がユーモラスで味わいがあって面白いやに思います。

ラベンダーと(思春期の)恋・純愛(の揺れる淡く深い想い)、そしていやらしくはないのですが、やはりエロスを香しているように感じられる気がします。

重複する時の記憶や思い出は辛いやも知れませんが、想いだけが...思い出を微かに、心に体に感じさせるのかも知れません。儚く叶わないから、恋する気持ちがより愛おしく思うものなのやも知れません。

利いた風なことをいうつもりはありませんが、私としては、大林監督独特の叙情感はたっぷりと、作家性は程好く堪能出来る切なくて密やかで、もどかしくピュアで素敵なジュブナイル・ファンタジー映画作品やに思います。エンドロールで原田知世さんが歌う主題歌『時をかける少女』を歌うカーテンコールは、ほのぼのとして微笑ましく、何だか嬉しい気持ちになる気がします。作品の締めくくりと、女優、原田知世のスクリーンデビューを飾る素敵な演出やに私は思います。ラストに彼女が駆け寄って来る姿も初々しくて懐かしいです。

DVDの特典映像に収録されている大林監督のインタビューは相変わらず興味深いですが、簡潔なのは良いようで寂しくて物足らない気もします。大林監督のブログ『雨撮晴記』、いつも楽しく、有り難く拝読させて頂いています。

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2007年06月16日

「亀は意外と速く泳ぐ」

「亀は意外と速く泳ぐ」
2005年製作 日本
監督/脚本:三木聡 製作:橋本直樹 プロデューサー:佐々木亜希子 撮影:小林元 美術:常磐俊春 主題歌:レミオロメン『南風』 音響効果:小川広美 照明:堀直之 録音:高橋義照 助監督;川村直紀
出演:上野樹里、蒼井優、岩松了、ふせえり、要潤、松重豊、村松利史、森下能幸、耕田康人、温水洋一、松岡俊介、水橋研二、岡本信人、嶋田久作、伊武雅刀

本作も大好きなTVドラマ『時効警察』と先週を持って惜しくも放送終了した『帰ってきた時効警察』の監督も務めている(『時効警察』では1、2、9話で『帰ってきた時効警察』では1、2と最終話)三木聡監督映画作品です。

主人公"片倉スズメ"を演じる上野樹里さんはこうした役によくマッチすると思います。 佐々部清監督の青春ロマンスドラマ映画作品「チルソクの夏」や犬童一心監督(何というか趣を感じる名前やに思います)、妻夫木聡さん、池脇千鶴さんとの共演ロマンスドラマ映画作品「ジョゼと虎と魚たち」でのシリアス系の役も中々しっかり演じられて好いですが、やはり矢口史靖監督青春音楽コメディ映画作品「スウィングガールズ」や本作のようなコミカルで一癖ありそうな役を飄々と可愛らしく演じるのも好いです。"スズメ"の幼なじみで剛毅な気質の"扇谷クジャク"を演じる蒼井優さんも、いつもとは一味違うこうした動的・型破りなタイプの役も上手く演じられるというか、合っていて好いやに思います。蒼井優さんは、歌手・女優のキタキマユさんに似ている気がします。

皆に見えていないと感じていて、石井さんちの犬だけが気付いてくれていると思っている"スズメ”がまた何だか愛らしいです。そこそこと思われて来た自分の人生がスパイとなったことで、特段何をしているわけでもないにも関わらず、一変して感じる"ズズメ"さんが何か愛おしく感じます。"ふぇっふぇっふぇっふぇっ"の笑いも可愛げで可笑しくて観ているこちらも"ふぇっふぇっふぇっふぇっ"と笑いたくなってしまいます。"クジャク”が拡声器を使って喋るのも彼女の人となりを表現するのに効果的に作用しているやに思われます。素敵で愛すべきバイプレーヤーの面々が脇を固めています。温水洋一さん扮する"永久パーマ"のおじさんが"スズメ"にパーマをあてている間ダンスを踊るシーンは可笑しくて好いです。バックミュージックを流すラジカセが懐かしや、ソニーのエナジーなのには、昔持っていたので嬉しい気がします。"スズメ”の学生時代の憧れの人だった"加東先輩"の作品と他の登場人物にも言えるやの微妙な役柄と演じる要潤さんの微妙な奇演ぶりも面白くて好いやに思います。ハゲ頭姿もチャーミングに映ります。公安警察のコンビ""中西”と”福島”と演じる伊武雅刀さんと嶋田久作さんも独特の雰囲気を緩〜くしつこく醸していて癖になるようで好いやに思います。ラーメン屋のおじさんを演じる松重豊さんは、相変わらずいい味を出しているやに思います。"ラーメンを美味しくするのなんて簡単だよ でも、妥協した時に食ってもいいなって思える妥協味を出すのって難しいいんだよね"との台詞は、とても印象的です。妥協味ラーメンを食べる"クジャク"の食べっぷりは見事やに思います。

ベンチババア、ストローで肝臓や百段階段などの可笑しくて愉快で憎めない人々と変なモノたちのような何気ない日常を切り取りデフォルメする仕方には勘所をくすぐられます。嫌味ないおとぼけ、ズレやスパイ募集の極小のポスター、止れまや足こぎ車でオーザックを踏んだり、コードネームがケルベロス 地獄の番犬だったり、小ネタの数々がベタな匂いしつつも、懐かしい遊び(心)も感じられて何となく...何とも可笑しくて面白いのです。『時効警察』シリーズの"熊本"課長役でもお馴染みの岩松了さん扮する某国のスパイと称する安アパートに住む無職の男"クギタニシズオ”の"ネ僕、生きるのが下手でしょ"の台詞が何やら哀愁とチャームを感じ、役柄にも演じる岩松さんにも似合っていて好いやに思います。こちらも『時効警察』シリーズの"又来"役でもお馴染みのふせえりさん演じる"クギタニシヅオ”の奥さんで普段は商店街のアナウンス嬢のスパイ仲間"エツコ”が"スズメ”を評して"平凡馬鹿”という台詞や足で雑誌を掴み拾って見せるのも面白いです。

レミオロメンが歌う主題歌『南風』も好いやに思います。

ほのぼのと清々しく前向きに元気が出る作品やに思います。

普通とは何なのかしらとか気がついてみれば何の変哲も無さげな各々の平凡な日常(の裏側)にあるそこそこの非日常や色んな思・想いの中に特別なことやものはあったりもするものなのかも知れないと思ったりします。

以前の投稿記事で奥田英明さんの同名小説を三木聡監督が脚本も手掛けて映画化した「イン・ザ・プール」と取り上げた際にも記しましたし、本作に限ったことではないやに思いますが、三木監督作品は小ネタと間が絶妙やに思います。かけあいにリズムやテンポがあったりなかったり、ずれていたりと抑揚というかアクセントがあるところも面白いやに思います。

『時効警察』には、またまた帰ってきて欲しいです。

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2007年06月13日

「女優霊」

「女優霊」
1995年製作 日本
監督/原案:中田秀夫 制作:仙頭武則、小林広司 脚本:高橋洋 撮影;浜田毅 美術:斉藤岩男 音楽:河村章文 音楽プロデューサー:高木健次 助監督:日垣一博 
出演:柳ユーレイ、白鳥靖代、石橋けい、根岸季衣、李丹、 大杉漣、高橋明、菊池孝典、サブ、小島なおみ、芹沢礼多、日比野玲、小林宏史、飯島大介、染谷勝則、吉田祐健

ホラー映画は不得手で、普段はあまり好んでは観ないのですが、本作は随分前にテレビ神奈川(TVK)で放映されているのを何の気なしに観て引き込まれてしまいました。とにかく私には、卒倒しそうに恐かった覚えがあります。最近、また久しぶりに観てみたのですが、初めて観たとき程ではないとはいえ、やはり背筋がぞくぞくと寒くなる思いをしました。お話、クライマックスや見せ場と思しきシーンの描写より何より作品全体、特に描かれている撮影現場に漂う仄かに陰鬱で不気味・不穏な雰囲気や空気感に大いに不安や恐怖を掻き立てられます。
役者さんたちの(演技はさて置き、)存在感や雰囲気は作品に合っていて、特に主演のお二人、初めて監督映画作品を手掛ける"村井俊男"を演じる柳ユーレイさんと映画に主演する女優、"黒川ひとみ"を演じる白鳥靖代さんは作品の世界観にとても良くマッチしていて、恐さを引き立たせているやに思います。ユーレイさんは、とても好い味を出しているやに思います。劇中で撮影される映画で"ひとみ"の妹役を演じる石橋けいさんは顔立ちが私好みの女優さんです。
"漠然とイメージしている恐怖を見事に映画、映像に滲ませられている気がしたりします。
中田秀夫監督の現場の雰囲気もとても明るくて良いとのことですし、つくづく映画が、映画の現場がお好きな監督さんなんだなと感じさせられますが、撮影現場が舞台のこんなに恐い映画を撮って、キャスト・スタッフの皆さんは、ふと、恐くなったりすることがないのかしらと思ったりもしてしまいます。

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2007年06月10日

「ベロニカは死ぬことにした」

「ベロニカは死ぬことにした」
2005年製作 日本
監督:堀江慶 プロデューサー:片岡公生、岡田和則 プロデュース/脚本:筒井ともみ 原作:パウロ・コエーリョ『ベロニカは死ぬことにした』(角川書店刊) 撮影:柳田裕男 美術:林千奈 編集:森下博昭 音楽:アンドレア・モリコーネ(巨匠、エンリオ・モリコーネの息子さんとのことです) 主題歌:nangi『こんな風に笑う。』 VFXアドバイザー:道木伸降 サウンドエフェクト:柴崎憲治 衣装デザイン:伊藤佐智子 照明:市川徳充 録音:安藤邦男 助監督:佐伯竜一
出演:真木よう子、イ・ワン、風吹ジュン、中嶋朋子、荻野目慶子、田中哲司、片桐はいり、多岐川裕美、淡路恵子、市村正親

お気に入りリンクで紹介していますごみつさんのブログ『ごみつ通信 MOVIE LOVER'S DIARY』の本作の原作についての記事を読んで、観てみようと思いました。

ごみつさんによる原作小説の印象批評を読んではいたものの、何分タイトルが結構ショッキングなもので、もっと暗く重々しい感じの作品かと思っていましたが、意外とサラリと観れてしまいますし、観後感は余韻を微かに残しつつ、スッキリといった感じです。簡潔に過ぎて、趣に薄い気がしなくもありません。もうチョッともどかしさや危うさが感じられたらと思ったりします。案の定終いは熱いものが込み上げてしまいました。一人の若い女性が苛まれる絶望とそこからの再生をたおやかに、微かで静かな諦観を滲ませて描かれているやに思います。さりげない社会風刺がじわりと辛い歯ごたえを感じさせる気もします。R指定となっていますが...。

映像の雰囲気や空気感にはお伽話チックというか、ファンタジックで深遠な世界観が漂って感じられるのには惹かれる気がしますが、登場人物が作品の世界にどっぷり浸かっている住人ばかりというか、設定がややティピカルというかステレオティピカルかなとも感じられるのが、チョッとだけ気になったりします。音楽は作品を情感豊かに盛り上げているやに思います。

退屈な人生と自分に嫌気が差して自殺を図り、一命をとりとめた主人公の若い女性、"トワ"を演じる真木よう子さんは、魅力が前面に出ているという感じでもないのですが、何というのか彼女らしい独特の存在感と演技で魅せてくれているやに感じます。風変わりなサナトリウムで目を覚ました"トワ"に"君はあと7日間の命だ"と宣告する風変わりな院長を演じる市村正親さんは、コミカル且つ迫力ある演技が大仰に映らなくもないのは、気にならなくもないのですが、何とも様になって見応えがあり、魅力的やに思います。 やりたいことをすることを周りの皆、身近な人にすら反対され、いったい私はここで何をしているのとの思いにさいなまれパニック症候群を発症してしまった元弁護士の療養患者、"ショウコ"を演じる風吹ジュンさんは存在感ありますし、安定した味わいのある演技を見せてくれてはいますが、何となくやや印象に薄い気がしてしまいます。個人的には役にシンパシーを感じ得ます。医師を演じる田中哲司さんの存在と演技は作品を引き締めている気がします。看護婦を演じる片桐はいりさんは、容姿のみならず、相変わらず独特の存在感と雰囲気を放っていて、チョッピリ不気味ながらも、箍を外さない微妙な演技は面白いやに思います。 "トワ"と同室の愛しているけどちゃんと愛せない、報われない愛のせいで変になってしまった療養患者、"サチ”を演じる中嶋朋子さんの確かな演技が醸すユニークさと危う気さは見応えありますし、可愛げがあり、愛おしさすら感じる気がします。自分のことが嫌いで死のうと思った過去を持つ婦長を演じる荻野目慶子さんの演技と存在感は、味わい深く惹き付けられもしますが、芝居じみて映らなくもないような気もしますし、どうしても重く痛くも感じてしまいます。ドキッとさせられます。療養患者の一人で、ずっと昔に引退していれのに今でも出演依頼を待ち続けている往年の大女優の"紅子"を演じる淡路恵子さんは役不足やに感じます。

サナトリウムで周囲と打ち解けなかった"トワ"が次第に心を開き、自分を見つけるためにどこか共感を覚えるイ・ワンさん演じる統合失調症で心と言葉を閉ざした療養患者の青年、"クロード”の前でマスターベーションをするシーンは、良くわからない気もしますが、美しく、哀しく、情感漂っても映り、見応えありやに思います。艶かしさや生々しさはさして感じない気がします。イ・ワンさんは役に合っていなくはないやに思いますが、配役や役どころは今一つピンと来ない気がしてしまいます。良い体をしていると思います。

"トワ”と"ショウコ”が立ち寄る映画館の雰囲気はどこか懐かしく、素敵に感じます。

退屈なばかりの人生は、辛い人生より辛いのやも知れません。退屈を楽しむというのは怠惰な人にすら難しいやに思います。自分が嫌いな人が自分を好きになるのも....。苦しみから逃れようとすることは、何も責められることではないやに思いますが...睡眠薬は眠るための薬ですし...死んでも大嫌いな自分と人生を好きになれるというわけではないですし...しようとすることもあれば、やめることもありますもの。 狂っている人なぞ、そうそうはいないやに思います。

既にされているやも知れませんが、舞台化しても面白そうな作品やに思います。

*心覚え(作品中に登場する台詞・人物・言葉・事物等)
『自分の世界を持って自分の世界に生きてる人はみんな狂っているってことにされちゃうの』
『何でもあるけど、何でもないから』
『あなたの目が私を見つめていてくれたから、私は私を見つけ出せたの』
『貯めておける未来なんてないの』
『楽しいことは最後の最後まであきらめない方がいいわ』

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posted by ウォルター at 17:18| ☔| Comment(4) | TrackBack(6) | 鑑賞映画について(邦画) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする