2007年06月06日

「おいしい殺し方 -A Delicious Way to Kill-」

「おいしい殺し方 -A Delicious Way to Kill-」
2006年製作 日本
監督/脚本:ケラリーノ・サンドロヴィッチ 監督/プロディース:波多野健 プロデュース:今井一、高垣佳典、一木広治 音楽:周防義和(周防正行さんの従兄弟です)
出演:奥菜恵、犬山イヌコ、池谷のぶえ、真木よう子、久ケ沢徹、長谷川朝晴、みのすけ、山崎一

監督・脚本を手掛けるのは、劇団"NYLON100℃"を主宰する俳優・劇作家・演出家・脚本家・監督・声優・絵本作家・ミュージシャン(KERA〔ケラ〕として『有頂天』その他で活動)と多才な活躍をみせ、大好きなTVドラマ『時効警察』『帰ってきた時効警察』の監督も務めている(『時効警察』では、8話で『帰ってきた時効警察』では4話)ケラリーノ・サンドロヴィッチ(小林一三)さんです。

BSフジとGyaOで放送されたサスペンス・コメディを監督自身が再編集した劇
場公開版とのことす。舞台劇をドラマ・映画化した感じで、制作も同じイーストですし、共同監督を務める波多野健さんは、三谷幸喜さんが脚本を手掛ける人気シットコム『やっぱり猫が好き』シリーズの演出/製作/プロデュースを手掛けているということもあってか、もたいまさこさん、室井滋さんと小林聡美さん扮する恩田三姉妹が素人探偵として活躍するコメディ・サスペンスドラマ『やっぱり猫が好き殺人事件』のようなノリやテイストを感じる気がします。ビデオ映像はライブ感があって悪くないやに思います。室井滋さんは今週6月9日金曜日23:15からテレビ朝日で放送の『帰ってきた時効警察』最終話『振り返らずに別れるのか?最後にもう一度振り返って別れるのか?それが問題だと言っても過言では無いのだ!』にメインゲストとして出演します。

見栄や嘘はついついついてしまうものですが、ご多分に洩れず、過ぎては体にも心にも毒やも知れません。デリカシーがないのも罪かしら...。堪えてただじっと見守るのも愛情なのやも知れません...(が)...。

久ヶ沢徹さん演じる人気料理研究家、"東大寺ハルキ"の曰くあり気な自宅マンションからの投身自殺事件を素人捜査する主人公の小学校教師で"東大寺"が講師を務める料理学校の生徒、"消崎ユカ"役の奥菜恵さん、"ユカ"の料理学校仲間、"白石カナ"役の犬山イヌコさんとその友人で同じマンションの住人、"山内キヨミ"役の池谷のぶえさんお三方のキャラクター、存在感と熱のこもったテンションの演技は興味深く見応えあるやに思います。堂々巡りというか、空回りというかの掛け合いも面白いやに思います。奥菜さんは生き生きと演技をしているやに映ります。見た目だけでなく、目に力がある気がします。 犬山さんは劇団"NYLON100℃"に所属する舞台女優さんで、その特徴的な声を活かして、テレビ・劇場アニメ「ボケットモンスター」シリーズの"ニャース"役やテレビ東京で毎週金曜日夜7時から放送されているバラエティ番組『ペット大集合!ポチたま』のナレーションを担当されるなど声優としても活躍されていていますが、演技も味があって惹き付けられる気がします。相槌や合いの手は絶妙やに思います。堤幸彦さん演出のミステリコメディドラマ『トリック2』の第一話『六つ墓村』では女流作家、"栗栖偵子"役を本作の監督にして、所属劇団の主宰者でもあるケラリーノ・サンドロヴィッチインパクトさん監督のコメディミステリードラマ『時効警察』の第8話『桜咲く、合格通知は、死への招待状?』では"多め亭"のオバチャン役を、『帰ってきた時効警察』の第4話『催眠術は、推理小説にはタブーだと言っても過言でないのに…』では"早め亭"のオバチャンにして、小出早織さん演じる"真加出"の母親役を演じています。麻生久美子さん扮する"三日月しずか"が『催眠術は、推理小説にはタブーだと言っても過言でないのに…』で歌う劇中歌『しゃくなげの花』、『月見そばのうた』と『たべもの』は何れも犬山さんの作曲作詞によるものです。インパクトある女優さんやに思います。可愛らしくも思います。素の時は男の子みたいに見えます。池谷のぶえさんは迫力と存在感を放つ中に、微かに不愉快さのようなものも感じられ、興味深く、妙に気を惹かれる気がします。彼女も『帰ってきた時効警察』の第4話『催眠術は、推理小説にはタブーだと言っても過言でないのに…』に占い師役で出演しています。"東大寺"の奥さん、"東大寺マリィ"を演じる真木よう子さんは綺麗と思います。活躍目覚ましい彼女も『時効警察』第8話『桜咲く、合格通知は、死への招待状?』でセーラー服のスカーフで絞殺された時効事件の被害者の女子高生、"立花律子"役を演じています。豪快さを感じる気がします。"東大寺"の料理学校のアシスタント、"米今"役の廣川三憲さんも同話では"森の荒熊"のマスター役で、『帰ってきた時効警察』の第4話『催眠術は、推理小説にはタブーだと言っても過言でないのに…』では完全密室殺人事件の遺体の第一発見者の一人である"七海"家の元使用人、"多胡敏吉"役を演じています。彼も"NYLON100℃"に所属しています。因に同話でオダギリジョーさん扮する主人公の"霧山修一郎"は"律子"の親友で桜井敦子さんが演じる大学数理学部助教授の"関ヶ原弥生にオイラーの定理を説明せよと促されて"オイラー霧山修一朗"と答えています。オダギリジョーさんは高知大学理学部に合格するも入学を辞退して渡米、カルフォルニア州立大学フレズノ校に入学し、2年間俳優養成コースを受講しています。犬山さんや池谷さんをはじめ、小劇場の舞台で活躍されている役者さんが多数出演されているようです。奥菜さんも『時効警察』第5話『キッスで殺せ! 死の接吻は甘かったかも?』に女医、"雪絵"役で出演しています。彼女は来年(全)米公開を控えている本国タイで大ヒットを記録したホラー映画作品「心霊写真/SHUTTER」を落合正幸監督、一瀬隆重製作、レイチェル・テイラーという女優さん主演でリメイク映画化した「Shutter」に出演しているとのことです。

お話は大したことない気がしますし、一応推理ものですが、推理は冴え渡るといった感じでもありませんし、趣や映像的面白さもさして見受けられないやに思いますが、主演のお三方をはじめ、出演者の演技、存在感と魅力が引き出されている気がしますし、小ネタ、遊びやおふざけが効いていて、中々興味深いセンスとテンションで笑わせてくれるやに思います。見せ方も上手い気がします。

「おいしい殺し方」といのは中々洒落たタイトルやに思います。

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2007年05月19日

「スクラップ・ヘブン」

「スクラップ・ヘブン」
2005年製作 日本
監督/脚本:李相日 製作:井澤昌平、川城和実、竹中功、松野恵美子 プロデューサー:久保田傑、柳原雅美、河野聡、吉田晴彦 企画;佐々木史郎 撮影:柴崎幸三 美術:仲前智治 編集:今井剛 音楽:會田茂一 エンディングテーマ:フジファブリック『蜃気楼』 照明:市川元一 録音:柿澤潔 助監督;久万真路
出演:加瀬亮、オダギリジョー、栗山千明、光石研、森下能幸、田中哲治、鈴木砂羽、団時朗、山田辰夫、柄本明

前半はまずまず面白く楽しんで観れますが、後半に入ると何をかを言わんとはしているやに思いますが、違和感も強く、今一つ釈然としないところがあります。

オダギリジョーさん扮する偶然バスジャック事件が起きたバスに乗り合わせていた三人の主人公の一人"葛井テツ"の入院している父親役を青柳裕介さんの同名コミックを中原果南さんを主人公の中居、"はるちゃん"役にTVドラマ化した『はるちゃん』シリーズで"和田"支配人を演じている山田辰夫さんが演じています。加瀬亮さん演じるもう一人の主人公で"正義の味方"を夢見て警察官になった"粕谷シンゴ"が慕う先輩刑事"薮田"を演じる柄本明さんの肩に力が入っていないような、入っているような、癖のある演技は好いやに思います。オダギリジョーさんも加瀬亮さんもニュアンスを上手に表現した演技を魅せてくれているやに思います。本作におけるオダギリジョーさんの思い詰めた感じの演技は良いやには思いますが、好みでないところも見受けられる気がします。加瀬亮さん浮ついてジレンマティックな感じの演技は好いやに思います。オダギリジョーさんと加瀬亮さんは感じがチョッと似ている気がしたりします。もう一人の主人公で片目が義眼の謎の女性"サキ"を演じる栗山千明さんは、役に合っているとは思いますが、役柄については今一つ掴みどころがない気がします。

デヴィッド・フィンチャー監督、エドワード・ノートンとブラッド・ピット主演のアクション・ドラマ映画作品「ファイト・クラブ」を彷彿とさせるという指摘もあるようですが、長谷川和彦(ゴジさん...オードリー〔斉藤とも子さん〕は今何処...)監督/脚本、沢田研二さん主演の犯罪サスペンス映画作品「太陽を盗んだ男」のようにも感じますが、振り切れた(力技の)痛快さ、ボルテージやインパクトに低い気がします。現代的なのやも知れませんが、そのせいか、菅原文太さん演じる" 山下満州男警部"のようなキャラクター(今観ると可笑しくて仕方なかったりもしますが...)が存在しないのは寂しい気もします。

仕方なく思えないでもないですが、自ら勝手に思い描いた幻想に飲み込まれ、ご都合主義では消化し切れなくなってしまった帰結の幾つかを描写しているやにも感じられてしまいます。ただそれは、主人公たちがいけないとかというわけでもないやに思います。彼らの憎む世の中の糞は"テツ"が吐き叫ぶところの想像力のなさや絶望によるものやそれらと理想と現実とのジレンマによって引き起こされているものではないやに思います(もしも世の中の糞は、想像力が欠如していると蔑み憎むばかりなのだとしたら、それ自体想像力の欠如によるのではと思わなくもなかったりします。良し悪しはさておき、想像力があり過ぎても生き難かったりするのやも知れません)。上述の通り、自らが勝手に思い描いた幻想に飲み込まれ、ご都合主義で消化してしまっている糞に対してフラストレイトしているやに感じられます。総体として、この世の中は糞である、それは自分以外の誰かのせいだけによるものであると妄執し過ぎてしまうとするならば、私もそうなら他者も全知でなく、大方曖昧であろうことをあらためて思い返す必要があるやに思ったりします。

彼らは世の中の消し方は見つけたのでしょうが、何のためにそうするかはそもそも抱いていなのやに思います。

どうしても助けを必要とするときに頼れると思っていた会社や同僚、仲間に見放され、裏切られるのは、寂しく辛いものやに思います。他者には中々わかり難い傷を持っていたりする人は少なくないのやも知れません。

漫然・漠然とした満たされぬ思い、不平不満、恨み、憎しみ、敵意の集積と幻想とのギャップが、別の思いを生み出す。世の中に対する不満というよりも、もとかしさや苛立たしさの静かで一途な暴走といった感じがします。

色々考えさせられるというか、色々考えることの出来る興味深い作品やには思います。

良くわからなければ、良くわからないと書くか、記事になぞせねば良いとも思いはするのですが...。

オダギリジョーさんは、現在自らが監督/脚本/編集/音楽を手掛け、小学校の同級生でお笑いコンビ次長課長の河本準一さんらが出演する「さくらな人たち」という映画作品を撮影中(?)とのことですし、これまでも未公開ながら短編映画なども撮っているようですし、今後は監督としても楽しみな気がします。

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いくら経験を積んでも、人と深く関わったとしても、少なくとも私には人のことが"わかる"ようになるとは思い難かったりしもします。わかろうとしないということではありませんが...。
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2007年05月10日

「自殺サークル」

「自殺サークル」
2002年制作 日本
監督/脚本:園子温 プロデューサー:富田敏家、川又誠矢、吉田精ニ、田中淳一、エグゼクティブプロデューサー:横濱豊行、沼田篤志 撮影:佐藤和人 美術:西村喜廣 編集:大永昌弘 音楽:長谷川智樹 照明:原春男 録音:西岡正巳 助監督:近藤俊明
出演:石橋凌、永瀬正敏、さとう珠緒宝生舞野村貴志ROLLY、萩原明、嘉門洋子、余貴美子、迫英雄、麿赤兒(マロアカジ)

*おことわり*
この記事には、まだ本映画作品を見ていない方が読まれると多少とも作品の面白さを損なう可能性がある内容が含まれているやも知れません。気になる方はお読みにならないことをお勧めします。


監督・脚本を手掛けるのは、大好きなTVドラマ『時効警察』や『帰ってきた時効警察』の監督も務めている(『時効警察』では4、6話で『帰ってきた時効警察』では今のところ3話)園子温さんです。

ショッキングでオドロオドロしいタイトルから観ようかどうしようか迷った挙句、ファンである永瀬正敏さんをはじめとした出演者の豪華さに負けて観てみたものの、わかりませんし、何よりも面白く思えませんでした。これだけのキャストでこれはないだろう、何かがあるに違いないとの思いで最後まで観ましたが、残念ながら、望みには叶いませんでした。大抵の作品はそれなりに楽しめる安上がりな性分にしても、頂けないと思わざるを得ません。ホラー、ショッカーやスプラッター物は元来苦手ですが、それらに対してとは異なる嫌悪感というか違和感を抱かせられ、拒絶反応が起きてしまいます。そもそもそうしたことが狙いなのやも知れませんが...コメディやパロディの類いなのでしょうか...世情風刺ともとれないではありませんが、何れにせよ私には受け入れ難いです。キワモノ映画とも思えませんし...。ストーリーも描かれる事象も、意図的やも知れませんが、どうも記号的に映るばかりでなりません。製作サイドと現場にとに於ける意見の相違に折り合いがつけられなかった結果なのでしょうか...。文章表現であるならば、読もうとは思わないでしょうが、もしかしたら、もっとわかったやも知れません。コリン・ウィルソンの一連の著書などに取り上げられている犯罪や犯罪者について、歯ぎしりし、悪態をつきながら読んだ時のような感情も湧き起こりません。俳優さんたちの演技や、作品の展開や未曾有の連続集団自殺の惨劇やそれに対する感心、無関心、当惑、狼狽や翻弄される様の描写や雰囲気の演出は悪いばかりではないやにも思いますが...。

デリケートでシリアスなトピックな上、研究者でも専門家でもありませんので、やたらなことは申せませんし、ケースバイケースであるやにも思いますが、自殺は極めて個人的であると同時に、多分に他者との関係性に起因する問題であり、そしてその個人により構成される社会の病理の一つであるとも思います。その意味に於いても、特に本作のテーマである集団自殺のメカニズムについて、そういうことはまずないやに思いますが、必ずしも行為者以外には、理解を超えた事象となしてしまうなら(自分のことですらわからないことがありながら、他者のこと、ましてやそれも本質的なことについてなどわかり得るのかと、懐疑的にもなろうやに思いますが)、それは不適正な感情論的死生観による思考停止でもあり得る気がしたりします。何がわかって、何をか講じることが出来るでもありませんが、個人も社会もチョッとずつでも自殺しなくて済むようになって欲しいと願います。自殺に思いが至るなら、試みるよりも前に、とにかくどう思おうと公然と、あからさまに、少なくとも誰かに目の当たりにさせるべく反吐をぶしまけてしまってみて欲しい気もします。
所詮戯言やも知れませんが...。

"死者にわかっていることは、ただ一つ、生きているほうがましだということだ”
                   ージェイムズ・エルロイ・フレッカーー                       (英国の詩人だそうです)

あえて自ら命を絶ってはいけないなどとは申すつもりはありませんが、生きているほうがましだろうが、いっそ死んだ方がましだろうが...それは死ぬまでに感じたり、思ったりすることに過ぎぬやに思います。生きていると、もういっそあのときに死んでいればとか、生まれてこなければ、などと感じたり思ったりすることもあるやも知れませんが、死んでしまったらあのとき死ななければとか、生まれてこなければとか、死んで良かったなどと感じも思いも抱くことは出来ず、生きているうちにそう思い信じることであるに過ぎぬやに思います。例えあの世があったとしても、同じやに思います。死は終いであることの外はわかりませんし、少なくともそれ自体が何れかの問題等の解決であるとは思い難いです。
何だってこんな支離滅裂なことを書いているのでしょうか...。 

各地で頻発する集団自殺事件を捜査し、食い止めようと奮闘するものの、上司である石橋凌さん扮する"黒田刑事”までが自殺してしまうという、ある意味意表を突く展開の中、永瀬さん演じる"渋谷刑事”と萩原明さん扮する恋人を連鎖自殺で失った女子高生"ミツコ”が最後まで死ななかったのは、せめてもの救いで、希望のような気がします。

映画についてまた一つ...チョッと学んだ気はします。鑑賞後色々考察を巡らすには至れました。

同じ園子温監督/原作/脚本/テーマ曲作曲で吹石一恵さん主演のミステリー・ホラー・コメディ映画作品「紀子の食卓」を観たら、本作を理解するヒントを得られるやも知れません。鬼才園子温監督映画作品、こんな筈ではないやに思います。

何がしかが暗に示唆されているとすると、そうなのかしらとも思いますが、それは不適当やに思います。 自殺についてというよりも、自殺を取り巻く暗澹たる現象・背景・雰囲気を描いている感じがします。シニカルでアイロニカルなイメージの作品なのかしら...。わざとらしく描いているのやにも思いますが...。
これじゃあ自殺してもな〜と感じられたらと思います。

狂っていることなどごく僅かに過ぎず、大抵の...は、犯した・犯された過・誤ちよるやに思います。そして、過・誤ちは、必ずしも犯さざるべきとも言えないやに思いますし、過・誤ちとしてばかりにあるとは限らない気もします。
一体何が言いたいのか...私は...。

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2007年05月04日

「SO-RUN MOVIE」

「SO-RUN MOVIE」
2002年製作 日本
監督/脚本:北村拓司「音声案内に従って走行して下さい」、吉田大八「男の子はみんな飛行機が好き」 エグゼクティブプロデューサー;柿本秀ニ、岡康道、畠中基博 
「流れよ我が涙、と探偵は言った」
監督/脚本:林海象 エグゼクティブプロデューサー;柿本秀ニ、岡康道、畠中基博 プロデューサー:加藤賢治、林あゆみ アシスタントプロデューサー:小宮山文昭、清水洋一、澤岳司 製作協力:映像探偵社 脚本協力:利重剛 撮影:柴主高秀 照明:高部嘉 録音:浦辺和治 美術:増本知尋 装飾:嵩村裕司 音楽:めいなCo. 助監督:金子功「流れよ我が涙、と探偵は言った」  
出演:鈴木京香、杉本哲太、伊藤敦史「音声案内に従って走行して下さい」 三浦友和、山崎一、ミッシェル・フェレ「男の子はみんな飛行機が好き」 北村一輝、夏生ゆうな、鈴木砂羽、清田正浩、ジェームス天願「流れよ我が涙、と探偵は言った」

*おことわり*
この記事には、まだ本映画作品を見ていない方が読まれると多少とも作品の面白さを損なう可能性がある内容が含まれているやも知れません。気になる方はお読みにならないことをお勧めします。


鈴木京香さん、三浦友和さんと北村一輝さんら豪華キャストで、林海象さんをはじめ気鋭の映像作家たち3人が送る3編の短編からなる49分のオムニバス映画作品です。

どれも秀作揃いやに思いますが、やはり何といっても3編目の私がずっと観たいと思っていた林海象監督/脚本の北村一輝さん扮する"私立探偵551"を主人公としたドラマ「流れよ我が涙、と探偵は言った」が一番のお気に入りです。以前、Yahoo!ムービーで無料配信されていたのは知りませんでした。

濱マイクも籍を置く探偵事務所の横須賀支部に籍を置く普通の調査は扱わず、人の心の謎には迫るため、普通であろうとする私立探偵"551"を北村一輝さんは、魅力たっぷりに演じているやに思います。異なったタイプやには思いますが、もしかしたら"濱マイク"よりもカッコいいかも知れません。愛車のスクーターをヘルメットを律儀に被って駆る姿も様になって映ります。お昼に海沿いでスクーターに腰掛けて食べる手弁当も美味しそうです。ラストの感慨を噛み締めた表情は素敵で心に染み入る気がします。感情を抑えた理性的な台詞回しはセクシーに響く気もします。とにかくカッコいいです。
ドブ板通りのスカジャンショップ『ジュピター』の奥にある551・探偵事務所にラジオから流れるAPネットワークニュースの9時の時報と共に出社してタイムカードを押した"551"に『調査依頼は』と訊かれた鈴木砂羽さん演じる事務所の女性、"ローズ"が調査依頼のファイルを括って『来てるわよ でもね どれも簡単な調査ばっかりね これは、横浜のマイクにでも回しましょう』と言う台詞には嬉しくて小躍りしていしまいます。鈴木砂羽さんには 仄かにキュートで悪戯っぽいセクシーさを感じる気がします。
ジェームス天願さん演じる米海軍兵、"レイモンド金子"による恋に落ちた人魚探しの依頼の夏生ゆうなさん演じる尋ね人、『ピンクサロン・フェアリー・テイル』のホステスで、足に負ったケロイドを鱗と信じ、自分は人魚だと言う、"リトル・マーメイド"はけったいで儚気で健気で可愛らしく映ります。何だか良くはわからないですが、『だって私、本当に人魚だもん』と言って海に身を投じる"リトル・マーメイド"の心と想いに、心の琴線を揺さぶられる気がして、涙が頬を伝います。

映像が醸す雰囲気はとても興味深く、魅力的に感じられます。ファンタジックにもオドロオドロしくも感じられて、凝縮された林海象監督テイストを満喫出来る気がします。チョッと実相寺昭雄監督テイストっぽく感じられる気もします。

タイトルもとてもカッコ好く響きます。

馴染みの景色や、見たことのある景色が映し出されるのは嬉しい気がします。横須賀基地に人魚が出るという噂は聞いたことはない気がしますが...。

忘れなかったし、忘れないでいたい...私の心は私に何を見せているのかしら、幻ではなく確かに...

18分ですし、おかわり何杯でも出来そうな作品です。

信用出来ないというのは、厄介なことのような気がします。懐疑的であるということとは、別な気もします。

*心覚え(作品中に登場する台詞・人物・言葉・事物等)
『私は毎朝九時に出社し、十二時に昼食を摂り、六時に退社する 探偵の私がまるでサラリーマンのようなサイクルで仕事をするのは、普通の人々と同じ環境に自分を置くためである 普通でいなければ、人の心の謎には迫れない』
『どうしたの まるで恋でもしてるみたい』

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2007年05月03日

「ラストシーン/LAST SCENE」

「ラストシーン/LAST SCENE」
2001年製作 日本
監督/脚本:中田秀夫 プロデューサー/原案:一瀬隆重 脚本:中村義洋、鈴木兼一撮影:前田米造 音楽:ゲイリー芦屋(胡散臭気な〔ヘンリー塚本[監督]ほどではないですが...調べないで下さいネ〕名前がそそります)
主演:西島秀俊、麻生久美子、若村麻由美、麻生祐未、大杉漣、竹中直人、笹野嵩史、柳ユーレイ、ジョニー吉長、生瀬勝久、小日向文世、小橋賢治、野波麻帆、坂田聡、水川あさみ、宮崎景子、星野有香、渡邊一志、小林隆、諏訪太郎、山本亘、坂本長利、根岸季衣

端役の代役を演じる日本映画界黄金期の往年のスター、"三原健"を演じるジョニー吉長さんの味のある演技と滲み出される雰囲気は何とも好いです。随分前のJCBカードだったかのTVコマーシャルでは、別れ別れに暮らして久しげな中山美穂さん扮する娘さんが訪ね来て再会するパリのうらびれた酒場で歌を歌う(ドラムは叩いていませんが...)父親を演じたりもしていましたネ。
若き日のスター、"三原"を演じる西島秀俊さんはジョニー吉長さん演じる年老いた"三原"との対比として浮き立ちつつも、過ぎ去った過去の出来事のように淡い印象を受けて、時の流れをより一層感じられる気がして、良いやに思います。
"三原"の妻”千鶴”と"三原"とのコンビで16本の作品に主演した花形女優で、斜陽の映画界に結婚を期に引退をする"吉野恵子"の境遇、境地と、演じる若村麻由美さんと麻生祐未さんの演技と魅力の対比が興味深く感じます。
覇気のない撮影所で小道具係として忙しなく働く"ミオ"を演じる麻生久美子さんは綺麗ですし、健気でいじましく恨めしい感じと映画への(熱い)想いが表現されていて好いです。
お話としては、かつて映画界が活況を呈していた頃から、斜陽産業となり、様変わりを余儀なくされている撮影現場の儚んだ、かったるいしらけた雰囲気が描かれていますが、俳優さんたち(中々豪華な顔ぶれです)の演技からは、実際の現場の生き生きとした良い雰囲気が感じられる気がします。それから先入観からやも知れませんが、中田秀夫監督で本作にも"ミオ"の恋人でチーフ助監督の"佐々木"を演じている柳ユーレイさん主演の恐い恐いホラー映画作品「女優霊」で描かれている撮影現場の雰囲気が微かに漂って、チョッと寒気を感じるようで、落ち着かなかったりします。
以前の投稿記事で「千年女優」を取り上げた際にも記しましたが、「千年女優」と相通ずようなかつての日本映画(界)への切なく愛おしいオマージュとノスタルジーが感じられる気がします。そうした時代のことなど知らないことばかりですし、大仰にドラマティックではないやに思いますが、心の琴線に触れるようで、何とも堪らない気持ちにさせてもらえて、好いです。ラストもこじんまりした感じやには思いますが、涙が溢れてしまいます。...知らないからかも知れませんが...。
自らと愛する人への贖罪と、人生の達成と映画への強い想いなのかしら...。
日本映画界、映画人の皆さんに、映画製作への情熱の炎を更に赤々と燃え盛らせて欲しいです。陰ながら応援し続けたいと思います。

ラストシーン:オフィシャル・サイト

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2007年05月02日

「サイレン FORBIDDEN SIREN」

「サイレン FORBIDDEN SIREN」
2006年製作 日本
監督:堤幸彦 製作:島谷能成、藤原正道、亀山慶二、亀井修、安永義郎、稲田一郎、古屋文明、岡田稔、水野文英、石川治 プロデューサー:阿部謙三、長澤佳也エグゼクティブプロデューサー:市川南、梅沢道彦、春名慶、釜秀樹 企画:山内章弘、川村元気 脚本:高山直也 撮影:唐沢悟 美術:相馬直樹 編集:伊藤伸行 音楽:配島邦明 音楽プロデューサー:北原京子 VE:吉岡辰沖 VFXスーパーバイザー:野崎宏二 エンディングテーマ:石野卓球『SIREN』 スクリプター:吉田久美子 音響効果:北田雅也 照明:木村明生 録音:白取貢 助監督:白石達也
出演:市川由衣、森本レオ、田中直樹、阿部寛、西田尚美、松尾スズキ、嶋田久作、高橋真唯、西山潤

*おことわり*
記事の続きには、まだ本映画作品を見ていない方が読まれると多少とも作品の面白さを損なう可能性がある内容が含まれているやも知れません。気になる方はお読みにならないことをお勧めします。


同名の大ヒットしたPS2のホラーアドベンチャーゲームを基にしてミステリーコメディTVドラマ『トリック』シリーズとミステリー・コメディ映画作品「トリック 劇場版」シリーズの堤幸彦監督により映画化された作品とのことですが、ゲームはしませんので、どんな内容のものなのか知りませんし、予備知識も殆ど無しに観ました。

冒頭、1590年に米国、ロアノーク島で発生した島民117名の失踪事件や1872年に太平洋上のマリーセレスト号で発生した船員失踪事件を紹介しつつ、1976年の海が赤く染まった嵐の夜、日本の夜美島で起きた謎のサイレンの音が鳴り響く中、全島民が消失した事件で唯一人救助隊により発見された阿部寛さん扮する民俗学者、"土田圭"が"サイレンが鳴ったら外に出てはならない"という言葉を鬼気迫る表情で、狂ったように何度も繰り返して発する様を観て、何だ...何が起きたんだろうと惹き付けられ、期待を膨らませたのですが...。

西山潤くん演じる息子、"天本英夫"の病気療養のため一家で引っ越す小さな島へ向かう船上から男やもめのフリーライター、"真一"を演じる森本レオさんがホッと安心出来そうでいて、怪し気な雰囲気を醸し出しているやに感じられて、期待に加えて胡散臭さが頭をもたげました。そして、到着した島と島民の雰囲気に怪しさと不自然さを感じ、胡散臭さが益々深まり、何となく嫌な予感もしはじめました。観終わってから振り返ってみますと意図的で堤監督ぽさとも受け取れますが、オープンセット(ロケセット)などに張りぼてのような不自然なわざとらしさというか、ごまかしっぽさというか、まやかしっぽさというかを感じ、胡散臭さを増している気がします。作品には何とか引き付けられつつも違和感と疑心が頭の中を覆い始めました。

"英夫”の姉で主人公の"由貴"を演じる市川由衣さんは、こうした役と演技も出来る女優さんとは知りませんでした。私は"天本"家の隣人、"里美"役の西田尚美さんのファンなので、曰くありげな薄気味悪さを程好く漂わせた演技で、好い味を出していると思います。彼女がぽつりと口にする思わせ振りな言葉"島には島の時間が流れている”は妙に印象的だったりします。田中直樹さんが演じる島の医師、"南田豊”はかなり効いていて、田中さんの演技も良いやに思います。

堤監督ぽさが感じられるのは悪くないやに思いますが、変に色濃く感じられたりもして、このお話にマッチして、効果しているようには映らない気がします。

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2007年04月22日

「LOFT ロフト」

「LOFT ロフト」
2005年製作 日本
監督/脚本:黒沢清 製作:ジェイソン・チェ、高田真治、細野義郎、気賀純夫、神野智、石橋健司 プロデューサー:佐藤敦、神蔵克、下田純行、レオ・キム 企画:奥田誠治 撮影:芦澤明子 美術:松本知恵 編集:大永昌弘 音楽:ゲイリー芦屋 VFXスーパーバイザー:浅野秀ニ 照明:長田達也 録音:深田晃
出演:中谷美紀、豊川悦司、西島秀俊、安達祐実、鈴木砂羽、加藤晴彦、大杉漣

黒沢清監督の他作品に感じられるピーンと張り詰めたような空気感というか、雰囲気は然程感じられない気がして、何となくスッキリした感じにも思えますが、嫌いではありません。因に本作の撮影を手掛けているのは、芦澤明子さんという女性の方です。

そこはかとなく感じる展開を最後まで変えずに見せているのは好いやに思いますが、クライマックスを盛り上げるのに効果しているように感じられないのはチョッと寂しい気もします。後半は特に同じ黒沢清監督で役所広司さん主演のサスペンスドラマ映画作品「カリスマ」やコメディ・ホラー・ドラマ映画作品「ドッペルゲンガー」と同じような取り留めのなさというか、破綻めいた感じに惹かれるような、戸惑い、困惑を覚えるような気がします。

随所に登場する安達祐実さん演じる"亜矢"の姿が影のようにぼんやりと浮かぶシーンにはこちらも同じ黒沢清監督作品で本作にも出演している西島秀俊さん主演のドラマ映画作品「ニンゲン合格」や以前の投稿記事で取り上げているホラー・サスペンス映画作品「回路」での描写程はゾッと、ハッとするような薄気味悪さが感じられずチョッと残念なような、恐い思いをせずに済んでホッとするような気がします。
黒沢清監督作品では、こちらも役所広司さん主演で未見のミステリー・ホラー映画作品「叫」を除いては、またこちらも役所広司さん主演のホラー映画作品「CURE キュア」と上述のホラー・サスペンス映画作品「回路」が恐く思います。ブラッド・アンダーソン監督/脚本、デヴィッド・カルーソー主演(ピーター・ミュラン主演と思っていました)のサスペンス・ホラー映画作品「セッション9」は「CURE キュア」を想起させられる気がしたりするのですが、「CURE キュア」に出演している萩原聖人さんとピーター・ミュランは、奇しくもというか、阪本順治監督の青春音楽ドラマ映画作品「この世の外へ クラブ進駐軍」で共演していたりします。
映像の構図を横向きにして見せているシーンは興味を引かれますし、恐らく効果しているやに思います。ゲイリー芦屋さんの手になる音楽は今回も作品を盛り上げてくれているやに思います。

ミイラにまつわる不可解な事象と別けて捉えるならば中谷美紀さん演じる作家"春名礼子"の担当編集者、"木島”の役柄の方が、西島秀俊さんのひょうひょうとしてクールというか、冷たく無感情な演技も相俟って恐怖や嫌悪を感じ、印象深い気がします。"礼子"の心境・心理の推移の描写は演じる中谷が発散する雰囲気や説得力のある表情とさりげなく自然な演技も相俟って見応えあるやに思います。豊川悦司さん演じる1000年前の女性のミイラを研究する大学教授"吉岡誠”は何となく捕らえ処がない感じがして感情移入もし辛く、今一つピンと来ない気がします。豊川さんの思い詰めた感じのクールで静かな表情・演技や軽やかな身のこなし、特有のスマート、セクシーでミステリアスな存在感、雰囲気は悪くないやに思いますが...。観る前には知らなかったこともあり、安達祐実さんが本作に出演しているのもこうした役を演じているのにも意表を突かれた気もしましたが、好いやに思います。”礼子”の友人"野々村"役の鈴木砂羽さんと教育映画社の"村上”を演じる加藤晴彦さんは何となく効いている気がします。

自己喪失、自己崩壊を来した心に忍び込む1000年の眠りから呼び覚まされた永遠の美を求めミイラとなりし女性の人を呪い惑わせ、狂わせ、破滅に導く情念なのか、執念なのか、怨念なのかといった思・想いの魔なのか、そうした魔に忍び込まれたことによる自己喪失、自己崩壊なのかがもたらす儚さなのか、何が言いたくて、何を書いているのか自分でも良くわかりませんが、とにかく思・想いとはやっかいで迷惑なものであることもあるやに思います。
...肝心なことほどわからない、気づかないでいたりすることもある気がします...少なくとも私は常にそうやに思います。

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2007年04月17日

「笑う大天使(ミカエル)」

「笑う大天使(ミカエル)」
2005年製作 日本
監督/脚本/VFX:小田一生 アクション監督:谷垣健治 プロデューサー:宮崎大、柴田一成 原作:川原泉『笑う大天使(ミカエル)』(白泉社刊) 脚本:吉本元希 撮影監督:岡田博文 美術:花谷秀文 衣装:北村道子 VFXアドバイザー:木村俊幸 ナレーション:広川太一郎
出演:上野樹里、伊勢谷友介、関めぐみ、平愛梨、松尾敏伸、菊地凛子、加藤啓、木村仁、伊藤修子、佐津川愛美、谷村美月、キタキマユ、宮下ともみ、松岡璃奈子、岩井七世、渕内希美子、早瀬英里奈、工藤春香、岡本奈月、手塚理美、北上史欧、大田ななみ、松本光生、西村敬喜、石垣光代、岩本淳也、三上瓔子、斉藤あきら、宮本聖也、斉藤ふみ、西岡徳馬

川原泉さんの同名人気少女漫画をVFX畑出身の小田一生さんが監督、上野樹里さん主演で映画化した学園コメディアドベンチャー作品です。本作もレンタルビデオ店でDVDのパッケージを手にするまで殆ど予備知識がなく、当然原作も未読で奇抜で過激な感じの作品なのかしらなどと些か不安を覚えつつ観てみたのですが、まずまず面白く、さらりと観れました。

ストーリーやテイストが原作にそぐっているものなのかどうかはわかりませんし、さしたる見所というのも感じられませんが、テンポや展開・変調(ブレ)は悪くない気がします。監督の十八番であろうVFXをはじめとした映像描写もこれといって特筆すべきもない気がしますが、まとめ方、加工の仕方や見せ方は悪くないやに思います。小ネタや遊び心も私としては、面白がれます。何だか良くわからなくもありますが、説明じみていないのも、嫌味なしと取ります。妙味や奇抜さまではいきませんし、世界観に浸れる感じもしませんが、気恥ずかしさや辛さを感じることもなく、面白味(ユーモア)も感じられる気がします。

主人公の天下のお嬢様学校、聖ミカエル学園に通う3人の女子高生、" 司城史緒"、" 斎木和音"、" 更科柚子"を演じている上野樹里、関めぐみ平愛梨さんの魅力が嫌味なく活かされて効いている気がします。アクションはVFXの効果もあってか、頑張っているやに映ります。"史緒"の兄、"一臣"を演じる伊勢谷友介さんや"一臣"のフィアンセ、"桜井敦子"を演じている菊地凛子さんも押し付けがましくなく魅力的で、興味を惹かれ、効いている気もします。伊勢谷さんは思い詰めたタイプの役柄を演じるのも良いのでしょうが、本作のようにコミカルだったり、普通だったりする役柄の方が魅力を活かせるやに思ったりもします。ついつい菊地さんの胸に目がいってしまう自分が恥ずかしかったりします。広川太一郎さんによる(名調子の)ナレーションの妙は堪能できます。若い女優さんが大勢出演されてもいますが、ファッションも今一つピンとは来ませんし、お嬢様の園といった風の華やかさは弱い気もします。つじあやのさんが歌う主題歌『そばにいるから』は好いやに思います。

四の五の考えずに観れたら、そこそこ面白く楽しめる作品やに思います。

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2007年04月07日

「獄門島」

「獄門島」
1977年製作 日本
監督/製作:市川崑 製作:田中収 企画:角川春樹事務所 原作:横溝正史 脚本:久里子亭(市川崑) 撮影:長谷川清 美術;村木忍 音楽:田辺信一
出演:石坂浩二、司葉子、大原麗子、草笛光子、東野英治郎、内藤武敏、武田洋和、浅野ゆう子、中村七枝子、一ノ瀬康子、佐分利信、加藤武、大滝秀治、上條恒彦、松村達雄、稲葉義男、辻萬長、小林昭二、ピーター、三木のり平、坂口良子、池田秀一、三谷昇、荻野目慶子、太地喜和子

ご存知横溝正史原作の"金田一耕助”シリーズの同名小説をこちらもご存知市川崑監督が石坂浩二さん主演で映画化した作品です。同タイトルはこれまで二度映画化されています。一度目は松田定次監督、片岡千恵蔵さん主演の「獄門島」「獄門島 解明篇」(未見ですが、探偵助手の"白木静子”〔「本陣殺人事件」に登場するヒロイン"久保克子”の親友で元同僚の教師〕を連れていてスーツ姿で、多羅尾伴内ではないですけれど、変装が得意な金田一耕助とのことです)で、本作は二度目の映画化作品です。

舞台が瀬戸内の孤島ということと、石坂さん演じる"金田一耕助”の大原麗子さん演じる可憐で芯の強い美女"鬼頭早苗”への淡い恋慕なのか思慕なのかと、坂口良子さん演じる天真爛漫で可愛らしい床屋の娘、"お七"の"金田一”に対する仄かな想いが描かれていることもあってか、市川崑監督、石坂浩二主演による映画作品「金田一耕助」シリーズの中でも異質な空気感と雰囲気を感じるところにも惹かれる気がします。

"勝野”を演じる司葉子さんの品ある美しさや"巴"役の太地喜和子さんの妖艶で物怖じしない豪胆さを備えた存在感と雰囲気は魅力的やに思います。"勝野”の少女期役は荻野目慶子さんが演じています。大原麗子さんのコケティッシュな美しさも素敵やに思います。"金田一"が想いを寄せるのもわかる気がします。"等々力警部"役の加藤武さんは、やはり、米国の総合格闘家、ドン・フライの親戚といった感じに思えたりします。"等々力"警部の部下"坂東刑事”を演じる辻萬長さんは、本作でも効いているやに思います。床屋の鏡にゆらりと写る"鵜飼章三"役のピーターさんが薄気味悪くも何となく竹久夢二さんの絵のようにも感じられます。"竹蔵”役の小林昭二さんはふんどしすがたも凛々しく、プロローグに陸に海に献身的な活躍をみせてくれています。アニメ史における画期的なSFモビルスーツアニメ「機動戦士ガンダム」シリーズの"シャア・アズナブル"などの声を演じている池田秀一さんが獄門島の千光寺のお小僧さん、"了沢”を演じていて、初々しく感じます。"了然和尚"役の佐分利信さんの渋い(というか)悪人面と声も魅力あるやに思います。

冒頭"金田一”が獄門島へ渡る連絡船の波止場への道を尋ねる三谷昇さん演じる"復員服の男”が踏切を渡り切っている筈なのに背中に列車を列車をやり過ごして立ち止まっているのは、何故なのかがチョッと気になったりもします。天狗の鼻と呼ばれる岬に置かれた釣鐘のシーンは今観ても怖いです。石坂さん扮する"金田一"は山や森を走っていますし、ターザンのように蔦にぶら下がって移動したりもしています。映像美はまずまずも、情景描写や市川崑監督の真骨頂であると思う編集やカット割の妙は、然程は感じられない気がします。"勝野”の過酷な少女時代を描いたシーンには胸が詰まる気がします。短いながらコンパクトでインパクトがあって巧いやに思います。田辺信一さんが手掛けている音楽も切な気ではあるものの美しいメロディや軽妙なリズムが耳心地良い気がします。
恋慕までいかないのかしら、仄かな思慕が切なくも温かに感じられて好いやに思います。淡い想いとしとやかな想い...。

戦争により逃れる術を、望みを絶たれし継がれる人の遺志・遺言として託された執念なのか怨念なのかにより引き起こされる悲劇が何とも切なく遣る瀬ない気がします。人の業の深さを感じる気はしますが...。

結末が原作と異なっているのは、気になるような気にならないような感じです。

何とNHK衛星第2テレビジョン(BS2)の衛星映画劇場でGWの4月28日から5月3日に横溝正史原作で市川崑監督、石坂浩二さん主演のミステリー映画作品「金田一耕助」シリーズ5作が一挙放映されるとのことです。NHKも中々粋なことをしてくれると嬉しく思います。

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2007年03月23日

「ナイスの森 The First Contact」

「ナイスの森 The First Contact」
2004年製作 日本
監督:石井克人、三木俊一郎、ANIKI 撮影:町田博 特殊メイク/VFXプロデューサー:伊藤太一 美術:いのうえしんじ スタイリスト:宇都宮いく子 照明:舟橋正生 
出演:寺島進、浅野忠信、池脇千鶴、吹石一恵、加瀬亮、尾野真千子、西門えりか、高橋マリ子、轟木一騎、三木俊一郎、菊地凛子、伴杏里、貫地谷しほり、夏帆、三浦葵、下田奈奈、坂野真弥、田中星児、森下能幸、庵野秀明、志賀廣太郎、津田寛治、水橋研二、大山健、嶺岸昭志、アンドリュー・アルフィエリ、下田佑司、森岡龍、佐藤貴広、伊藤二郎、谷本和優、アキちゃん、白仁裕介、森山開次

*おことわり*
記事の続きには、まだ本映画作品を見ていない方が読まれると多少とも作品の面白さを損なう可能性がある内容が含まれているやも知れません。気になる方はお読みにならないことをお勧めします。


監督の石井克人さん、三木俊一郎さんとANIKIさんのお三方共私と同世代ということもあってか、何だか良くわからないのですが、惹き込まれてしまう作品です。長いと感じられる向きもおられるのではと思いますが、私はもっと観ていたいと思います。

お話については、私としては斬新と評したい箍が外れていそうでいそうで、置いてけぼりを食うでもないやのナンセンスギャグ満載だったり、エキセントリックだったり、ファンタスティックだったりに感じられるバラエティー豊かな幾つものエピソードから織りなされていて、上述の通り、何だか良くはわかりませんが、多くの才能・感覚、(アニメーションも含めた)奇抜な映像(心情・心理・無意識・感覚)描写・表現が盛り込まれても見受けられ、何か微妙に琴線に触れるやの大変興味深い作品との印象です。登場人物の設定やクリーチャーのデザインなどにも何だか良くはわからないのですが、妙を感じる気がします。バイオレンスを仄かに匂わせる危うさを微妙に感じさせられるのにも惹かれる気がします。

これだけ豪華でバラエティーに富んだキャストで、こうした作品を撮れるというのも素敵な気がします。
モテない三兄弟(ギター・ブラザー)の長男、"田中勝一”を演じる寺島進さんの芸だか何だかの稽古での般若の面に似せた絶妙な作り顔、浅野忠信さん扮する次男、"田中マサル"の奏でる微妙なギター、三男、アンドリュー・アルフィエリが演じる"田中マサオ"が常にムシャムシャ食べているスニッカーズ、加瀬亮さん演じる"マサル”の後輩でアルバイト先の日高ダハ高校の英語の教師"タケフミ”が夢の中で踊るダンス、イチコオーガニックサプリメント有限会社の社長、"イチコ”を演じる池脇千鶴さんの弾けてなおかつ可愛げのある演技、元、幻の原画マン、現在はバイトで原画を描く日高ダハ高校花組の生徒"ハスダ”を演じる庵野秀明さんの真面目に演技に取り組むスタンス、同じく日高ダハ高校花組の生徒"ハタル少女”を演じる坂野真弥の相変わらずな可愛らしさや同校の保険体育教師、"津田”を演じる津田寛治さんが放つ人を惹きつける怪し気な危うさ等々見所・魅力満載で挙げれば枚挙に暇がありませんが、何といっても菊地凛子さん扮する日高ダハ高校花組の学級委員長"菊池"のホームルームでの担任教師"勝一”への一言...

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2007年03月01日

「廃市」

「廃市」
1984年製作 日本
監督/プロデューサー/企画/編集/作曲:大林宣彦 製作:佐々木史郎、大林恭子(監督の奥様です)、島田親一 プロデューサー:森岡道夫、多賀祥介 企画:桂千穂、内藤誠 原作:福永武彦(『廃市』) 脚本:桂千穂、内藤誠 撮影監督:阪本善尚 美術監督:薩谷和夫 編曲:宮崎尚志 助監督:内藤忠司
小林聡美、山下規介、根岸季衣、峰岸徹、入江若葉(共演の入江たか子さんの娘さんです)、尾美としのり、林成年、入江たか子

結局、鑑賞映画についての投稿記事100本を迎えるにあたり、書きはじめた私が最も好きな映画作品の一本である恩田陸さん原作の同名ミステリーの映画化「木曜組曲」の記事の執筆には行き詰まって、残念ながら、後回しとせざるを得ず、代わりに「廃市」大林宣彦監督映画作品で私が最も好きな「廃市」について記事を投稿することとしました。もしも気を持たせてと思われる方がおられましたら、申訳なく思います。

本作は観る前、江藤潤さん主演の青春エロティック・ドラマ映画作品「純」(この作品を初めて観たのは、リアルタムではなく、公開から数年後、確か高校生の時分に名画座だったか、ビデオでだったと思いますが、かなりビックリしました)の主人公"純”の出身地である長崎県長崎市南西海上にある島、端島、通称軍艦島のような所を舞台に思い浮かべていたのを覚えています。
本作も初めて観たのは、公開から数年後で、やはり名画座だったか、ビデオでだったと思いますが、その時はどちらかというと単調、退屈な映画との印象で、さして興味は覚えなかったのですが、不思議と印象には残っていて、かなり経ってから、あらためて観て、趣のある素敵な作品に映るようになりました。
大林監督お得意の仕掛けや効果は施されておらず、極めて飾り気無く正当的な撮り方の作品やに思います。

主人公の追想だからなのか、もどかしく、悲劇的とも思えるお話にしては、不思議とセンチメンタル過ぎたり、メランコリック過ぎたり感じられず、ファンタジックでなおかつ清々しく、ノスタルジック、ミステリアス、ロマンチック、青くエロティックで切な気な感じがします。どういうのか、映像も小説のような感じがします。たおやかさの中に漂う微妙に刺々く張り詰めた緊張感、緊迫感に惹き付けられる気がします。

プロローグにあるように幻想感漂う美しくたおやかな水の都、柳川をロケ地にしていることがこの作品の魅力をより一層引き立たせているやに思います。異界を垣間見るような感じもします。私が舞台である彼の地に赴いても映画で感じた趣は感じられるかどうかとなると甚だ懐疑的ではありますが、そそられる気はします。

"貝原安子・郁代”姉妹を演じている小林聡美さんと根岸季衣さんのお二方が綺麗なばかりか、陰のある色香というか、微かなエロチシズム・淫靡さを漂わせて映るのが、とても印象的です。"安子”役の小林さんは、アイスキャンディーは美味しそうに可愛らしく食べているのに...さながら、異界の地に満ち足りぬまま住まう孤独な姫君といった感じがします。甲斐甲斐しさが何とも愛おしく感じるられるだけに...やるせない気がします。今の様には洗練されてもいませんし、私にはバッと見は、美人さんには見えないのですが、上述のように可愛くてなおかつ妖艶にさえ映って来るから不思議な気がします。しっとりした演技も好いです。これも大林マジックなのでしょうか。"郁代”役の根岸さんのものうげ、はかなげで妖艶な美しさにも惹かれます。
主人公の青年"江口”役の山下規介さんは、朴訥として垢抜けなくもクールな諦観とたぎる想いを忍ばせて感じられますし、好青年振りが、新鮮で癖なく嫌味でもなく、面白く感じられて、好いやに思います。山下さんはこの"江口”役にビッタリやに思います。(私は無煙家ですが、)煙草の吸い方などの所作も、時代感が感じられて、さりげなく様になっているやに思います。"江口”が経験する静かで激しい内なる感情を高まりが、何となく伝わってくる気がします。『ザ!鉄腕!DASH!!』の観過ぎなのか、TOKIOの山口達也さんにチョッと似ている感じがします。
"郁代”の夫"貝原直之"役の峰岸徹さんは何でも演れるな〜と感心させれます。本作と同じく大林監督作品で薬師丸ひろ子さん主演の青春ファンタジー・サスペンス映画「ねらわれた学園」では奇天烈な白髪アフロ、白塗りでのコスチューム姿、以前の投稿記事で取り上げた泡坂妻夫さん原作、松田優作さん主演のミステリー映画作品「乱れからくり」での蛇の様な目をし、冷血そうな人形フリーク、そして本作では、女形を演じて見せたり、鼻に詰め物をしたりしてくれています。貴重な俳優さんやに思います。
"安子”と"郁代"の祖母、"貝原志乃”役の入江たかこさんは、以前の投稿記事で取り上げた「病院坂の首縊りの家」では可愛そうでしたが、本作では、怪し気な雰囲気を醸しているやに感じます。
"三郎”と演じる尾美としのりさんの微妙な立ち位置、表情と立ち振る舞いが好いやに思います。歯がゆい思いで"安子”たちにそっと寄り添い見守る無表情の中の微かな表情の変化も好いやに思います。

監督自身の手になる音楽の当て方も巧いやに思います。シーン転換や繋ぎ方にもチョッとした妙が感じられます。なにげなげに印象的なカットの差し挟み方は流石やに思います。

美しい情景には魅せられる気がします。お祭の芝居見物のシーンはなかなか壮観やに思います。水の都ならではなのか、屋内に舟が置いてあるというのにも何とも趣を感じます。まっさらな原稿用紙に万年筆で文字が綴られて行くのは、魔法の様にも思えます。

かなりの低予算で撮られたとのことですが、全く気になりません。16ミリで撮られた映像がかえって趣を増している気さえします。

"安子”たちの問題は人間関係にもあるのではと思いますが...彼女たちが彼の地では、時間の歯車が狂って感じられ、それが外界との比較でとするならば、外界では、人々が時計の針を速く回すために(早くこの世に別れを告げたいが如く)文明なるものの進歩に邁進しているからやにも思えたりします。良し悪しに関わらず、文明なるものが進化を遂げ、便利になったのに比例しては、必ずしも楽になっているわけではなく、忙しなくなっている面も多いやに思います。文明なるものから距離を置いたり、隔絶したり、持て余したり、追いつけずに置き去りにされることもあるやに思います。デカダンだろうとなかろうと人生は、ほんの暇つぶしなのかしらとも思えたりするところもあったりします。外界から訪れた青年"江口”は郷愁感、癒しや和みを感じ、そこに"安子”たちは、ジワジワと朽ち果てて感じられる空気に辟易し、嘆いているやに見受けられますが、朽ち果て(変化し)ていたのは外界の空気の方の様な気もします。人の思・想いと人と人との気持の齟齬がそう感じさせているような気もします。縛られているのは場所でなく、自らと人の想いなのかも知れないと思ったりもします。街が朽ちているのは伝わらぬ、叶わぬ願いが故なのかしら...。

媒介者たる"江口”が彼の地に足を踏み入れたからなのか...、お蔭でなのか...、鬱積していた想いが堰を切ったように表出したかやに思えたりもします。そしてその"江口”もまた、密やかな想いに浸っては、美しい水の都も再び容易には足を踏み入れ難いのやも知れません。

やはり別れは寂しいものです。たとえそれが未来への旅立ちだとしても。すえた空気が頬を撫でるのは、もうやり直せず、想いは募るばかりだからかしら...。崩れぬままなのも崩れ行くのも想いの中の街なのではないでしょうか。

また、生活上必要に迫られてすることが、慣習化し、必要が薄れるに従い、やがて慣習は束縛、更には呪縛ともなり得るし、言い訳や口実に摺り替えられ得るのやも知れません。

幻想の中で幻想を追い求め、やがて現実に直面するかのごとく...思・想いが大切であるということと、そうした思・想いに基ずく現実と直結するとは限らず、特に他者との関係性においては、例えお互い思・想いを同じくしたとしても、成就するかというと、必ずしもそうとは限らず、少なくとも、少なからず差異は生じ、時としてそれが、思・想いを変容させ、更には凌駕し、打ち砕いてしまう事すらあるやに思います。だからどうということではなく、そのしたことも思・想いの大切さ同様認識しておく必要があるのかも知れないと思ったりするのです。

退廃的かはいざ知らず、登場人物は端役に至るまで、人生を生きているやに感じられる気がします。

福永武彦さんの原作は未読ですし、彼についても良くは知りませんが、本作は小説全編を映画化したものではないとのことですが、見事に映像化がなされているのではと感じます。

本作DVDの特典映像の監督インタビューもまた興味深いやに思います。話は相変わらず長いですが...(笑)。

*心覚え(作品中に登場する台詞・人物・言葉・事物等)
「掘割」
「道楽が高じれば死ぬより他にすることはのうなりますたい。道行きと洒落たでしょうな〜」

今回は付け焼き刃で書いたこともあり、いつもにも増して支離滅裂な文章となってしまいました。

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2007年01月22日

「病院坂の首縊りの家」

「病院坂の首縊りの家」
監督/製作:市川崑 製作:馬場和夫、黒沢英男 企画:角川春樹事務所 原作:横溝正史『病院坂の首縊りの家』(角川書店) 脚本:日高真也、久里子亭(市川崑監督と和田夏十(市川監督夫人)の共同ペンネームで作家のアガサ・クリスティから命名されているとのこと) 撮影:長谷川清 美術:阿久根巌 衣装:長島重夫 編集:小川信夫、長田千鶴子 音楽:田辺信一 音楽プロデューサー:大橋鉄矢
出演:石坂浩二、佐久間良子、桜田淳子、入江たか子、河原裕昌、久富惟晴、三条美紀、萩尾みどり、あおい輝彦、加藤武、大滝秀治、岡本信人、中井貴恵、草刈正雄、小沢栄太郎、清水紘治、小林昭二、三木のり平、白石加代子、草笛光子、ピーター、林やたか、早田文次、山本伸吾、常田富士男、三谷昇、菊池勇一、林一夫、横溝正史

*おことわり*
記事の続きには、まだ本映画作品を見ていない方が読まれると多少とも作品の面白さを損なう可能性がある内容が含まれているやも知れません。気になる方はお読みにならないことをお勧めします。


先日、昨年暮れに無性に観たくなり、近所のレンタルビデオ店に借りに行ったものの、貸し出し中で観れなかった市川崑監督、石坂浩二さん演ずる金田一耕助シリーズ映画作品で一番好きな「病院坂の首縊りの家」が返却されていましたので、借りて観ました。金田一最後の事件にしてリメイク版「犬神家の一族」は別にして、上述の映画シリーズ最終作とされていますが、新たにシリーズに加えるべく、他作の映画化を望むものです。
  
冒頭、久しぶりに訪ねて来た"金田一耕介"に渡米するのに必要なパスポート用の写真を撮影するのに起こり来る惨劇の舞台の一つにもなる 本條写真館を紹介する老推理作家役の横溝正史さんと婦人役の奥様の夫婦共演が微笑ましいです。
写真館の助手、"日夏黙太郎"役の草刈正雄さんの大迎でわざとらしいくも聞える癖を持たせた台詞回しをはじめ、大袈裟でコミカルな演技が面白くて愉快です。写真背景用のスクリーンが落下して来て、転倒し、痛めた足の痛みに悶絶しながら歩く様も滑稽で面白いです。今でもハンサムですが、当時は本当に水も滴る良い男でした。本作では"金田一”のみならず"黙太郎”も走っています。
惨劇の舞台となる首縊りの家と呼ばれる明治から終戦直前まで繁栄した法眼病院跡を所有する法眼家に母を死に追いやった復讐せんとする"山内敏男”役のあおい輝彦さんは相変わらず声が好いです。米国CBSの人気TVクライム・サスペンスドラマ『FBI失踪者を追え!』シリーズでニューヨークのFBI失踪者担当班を率いる"ジャック・マローン"捜査官を演じるアンソニー・ラパリアに見えてしまったりもします。高圧的で強引な厳めしさも好いやに思います。怒りん坊のテンションも面白く感じます。
"法眼由香利・山内小雪"の一人二役を演じる桜田淳子さんのクールビューティーな高慢ちきさと激情、思い詰めた表情や演技は、情感が込もって見えて好いやに思います。一人二役による"由香利”と"小雪”の性格と境遇の対比表現は見事やに思います。桜田さんは、今となっては歌う姿も懐かしいですし、ジャズの歌声も好いやに思います。演技は臭い感じもしなくはないですが、上手いと思います。芸能界復帰も囁かれてはいるようですが、惜しい気がします。
"敏男”と"小雪”兄妹の母親で終戦の翌年、法眼病院跡の廃屋で縊死を遂げた"山内冬子”役の萩尾みどりさんは、市川崑監督、石坂浩二さん演ずる金田一耕助シリーズ映画作品では前作「女王蜂」にも出演されていますが、本作での彼女の綺麗さは正に殺人的やに思います。今ですと竹内結子さんに少し似てる気がしたりします。
"冬子"の事件を担当した"加納"巡査を演じる大滝秀治さんの驚き方が面白いです。
本條写真館の息子、"本條直吉"役の清水紘治さんは容貌が漫画アニメの『あしたのジョー』の"力石徹"のようにも映るやに思います。悪役面ですが、味わいが感じられます。
"由香利”の母、”法眼弥生”役の佐久間良子さんは着物姿も美麗ですし、気品が感じられて綺麗やに思います。
桜田さんも、佐久間さんも愁いが感じられる気がします。
お馴染み、加藤武さん演じる"等々力"警部の部下、"坂東”刑事役の岡本信人さんの淡々さが面白かったりします。
久富惟晴さん演じる"弥生”の義父、"五十嵐猛蔵"は全く以て酷い奴で、憎々しいです。
入江たか子さん扮する"弥生”の母親”五十嵐千鶴”を叩くのは可愛そうなので、止めて欲しいです。
"弥生”の祖父"法眼鉄馬”の愛人"宮坂すみ"役の白石加代子さんの独り語りはは見応えあるやに思います。
"敏男”と"由香利”兄妹と同じ旅回りのジャズバンド、アングリー・パイレーツのドラマー、"佐川哲”役の林ゆたかさんは『亜麻色の髪の乙女』で知られるヴィレッジシンガーズの元ドラマーで、現在再びビレッジシンガーズのドラマーとして活躍しているとのことです。草刈さんと再共演している大藪春彦原作のバイクアクション・ドラマ「汚れた英雄」での情けない男ぶりも懐かしいです。この映画では、主人公の孤高の一匹狼バイクレーサー"北野晶夫"を演じる草刈さんも然ることながら、レースシーンのスタントをした平忠彦さんもカッコイイです。1986年、この年平さんが250ccクラスにフル参戦をしたコンチネンタルサーカス(ロードレース世界GP)、イギリスGPを悪天候のシルバーストーンサーキットに観戦に行きましたが、平さんはあえなく序盤でリタイアとなってしまいました。八代俊二さんが500ccクラスのレースに出場していたと記憶しています。

"等々力"警部と"坂東”刑事が乗る車がカッコイイと思います。"黙太郎”が"金田一”に法眼家を取り巻く人物の相関関係一生懸命説明するのですが、"金田一”同様私も良くわかりません。食堂で"金田一”と”黙太郎”が玉子丼(エッグライスとポタージュ)を食べるシーンが好きです。ゆっくり食べさせてあげて欲しい気がします。 暗くてクールに輝く"金田一”の瞳が何とも好いです。

映像が洗練されて感じられ、強いトーンの色彩の暗さが作品を引き立たせている気がします。本作でもまた朱の赤の鮮血が飛び散りますが、狂気なのかは余り感じない気がします。所々に差し込まれておる情景映像には、やはりハッとさせられるものがあります。中井貴恵さん扮する老推理小説家の遠縁の娘で、彼の手伝いをしている大学で薬物学を専攻している"妙”ちゃんが、薬物による人体の処理について講釈するシーンや複数の登場人物にる電話での遣り取りのシーンのめまぐるしいまでのカット割りと台詞のリズムとのシンクロナイズも圧巻やに思います。真骨頂の台詞の被せも嬉しいです。ここぞの画面分割や小技も効いているやに思います。廃屋と化した法眼病院跡のうらぶれ加減が好いやに思います。天井から縊られ生首は、結構怖かったりします。ジャズの音はお話的には必要不可欠やに思いますが、作品にどれだけ効果しているのでしょうか。

人は自分の思・想いを何らかの形で遺したくもなるものなのやも知れません。時として災厄の火種と共に...。妄執を実現たらしめようとすることは、自他に不幸と犠牲を強いるものやに思います。不自由無しに自由を感じるのは容易ではないのやも知れません。

本作も酷い話で、過去の亡者の妄執に侵された悲惨で無意な一連托生の茶番惨劇といった感じもしなくはないですが、どうしても最後は心情に訴えられて何だか感じ入って納得させられてしまいます。情を感じさせられます。クライマックスは演出も見事と思います。ラストのラストの一押しも好いです。若かりし頃の草刈さんに"金田一”を演じて欲しかったです。本作にも"金田一"に限ったことでもありませんが、事件を推理、調査して全容を解明し、最後には犯人を自白せしめまはしますが、犯行=思・想いは完遂させて解決に至る(納得させる)というところも好いのやに思ったりします。

悲劇は複雑な家系、不幸な出生と境遇、そして血と思・想い故なのかしら。

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2007年01月13日

「かもめ食堂」

「かもめ食堂」
2005年製作 日本
監督/脚本:荻上直子 プロデューサー:前川えんま、天野眞弓 エグゼクティブプロデューサー:奥田誠治、大島満、石原正康 企画:霞澤花子 原作:群ようこ『かもめ食堂』(幻冬舎) 撮影:トゥオモ・ヴィルタネン 美術:アンニカ・ビョルクマン 編集:普嶋信一 音楽:近藤達郎 エンディングテーマ:井上陽水『クレイジーラブ』 照明:ヴィッレ・ペンッティラ 
出演:小林聡美、片桐はいり、もたいまさこ、ヤルッコ・ニエミ、タリア・マルクス、マルック・ベルトラ

最近観た映画作品では最もお気に入りです。

冒頭小林聡美さん演じる白夜とムーミンとエアギター世界選手権(The Annual Air Guitar World Championship競技会)の国、フィンランドはヘルシンキで女性一人でかもめ食堂という日本食堂を営む主人公"サチコ"がモノローグで語る子供の頃飼っていた太った猫と亡き母親の逸話には何やら強く感じ入るものがあります。 小林聡美さんはファンタジー・ロマンス・ドラマ映画作品「キリコの風景」での“霧子”役もそうですが、さっぱりした溌剌さもそうですが、何というか、さりげなくしっとりと仄かなセクシーさも魅力的に感じます。
かもめ食堂を手伝うことになる訳あり気な2人の日本人旅行者の女性、"ミドリ”役の片桐はいりさんと"マサコ”役のもたいまさこさんが醸す普通で不思議な雰囲気と存在感、そして微妙な演技は素敵やに思います。もたいさんは微妙にズレたかのユーモラスな凛々しさと貫禄も魅力的やに思います。
"サチコ”にコーヒーの美味しい入れ方を教えてくれる哀愁を帯びた中年の男性客"マッティ"役にはアキ・カウリスマキ監督/製作/脚本.のロマンスコメディドラマ映画作品「過去のない男」で主人公の暴漢に襲われ過去の記憶を失った男”過去のない男”を演じるマルック・ベルトラです。日本酒とお寿司に代わってコーヒーとおにぎりを味わっています。クレイジー・ケン・バンドの『ハワイの夜』は流れていません。蟹江敬三さんにチョッと似ている気がします。
かもめ食堂の初めてのお客さんでニャロメのTシャツを着てガッチャマンの歌詞を"サチコ”に尋ねるアニメ好きの青年"トンミ”の控え目なキャラクターが何となく可愛らしく、いい味を出していて好いやに思います。

小林さんの絶妙な間の台詞回しと片桐さんやもたいさんをはじめとした共演者との掛け合いの小気味よさは素敵やに思います。NHK教育テレビの『3か月トピック英会話 ジュークボックス英会話 歌詞から学ぶ感情表現』ではないですが、言葉には元々リズムがあるということも感じさせられる気がします。
"サチコ”が毎晩欠かさずしている合気道の膝行(しっこう)の所作が様になって見えます。
"ミドリ”が“トンミ”に漢字で自分の名前を書くよう頼まれて"豚身昼斗念"と書くのは可愛らしくて思わず温かい気持ちになり、頬が緩んでしまいます。
"マッティ”に服についたごはんつぶを取って食べる演出もうまいやに思います。
"マッティ”が"サチコ”にコーヒーについて語る言葉と件と"サチコ”が"ミドリ”と"マサコ”と"トンミ”に食堂の看板メニューにしているお握りについて語る言葉と件には感じ入るものがあります。
猫を抱いたおじさんも効いているやに思います。
小林さんをはじめ片桐さんも、もたいさんも料理(おにぎりを握る様も楽し気)や給仕の所作も堂に入っているというか自然で好い感じやに思います。"サチコ”のいらっしゃいませをして、"ミドリ”と"サチコ”が見応えあるいらっしゃいませだと評するのは面白いやに思います。

白夜の国フィンランドの透き通って温かい空気感が伝わって来てまた好いです。窓とカーテン越しに降る白夜の木漏れ日の感じも好いやに思います。器や食器、おにぎりを盛る笊もお洒落やに思います。食堂の壁に掛けられ、メニューにもあるかもめのイラストが可愛いです。お店と美味しそうで馴染みのある料理のいい匂いが香ってくる気がします。手で握ったおにぎりは、冷たくなっても温かい気がします。温かいもてなし(の心)を感じます。

荻上監督独特のニュアンスの描写が何とも面白くて素敵やに思います。

残念ながら私は『ガッチャマン』を完璧には覚えていませんでした。 コーヒーは余り好きではないのですが、飲んでみたくなり、久しぶりに飲んでみましたが、やはりインスタントでは...。コピ・ルアックとおまじないを唱えられませんし...。おにぎりは早速自分で握って食べましたが(炊きたてで火傷しそうになってしまいました)、やはり人に握ってもらった方が美味しいやもしれません。

終いも上手くて何だか嬉しくて涙が出るかのようです。井上陽水さんが歌うエンディングテーマソング『クレイジーラブ』も心にヒットします。エンディングのタイトルバック・デザインの高橋ヨーコさん撮影のスチール写真もシンプルながらとてもお洒落で素敵やに思います。

"どこにいたって悲しい人は悲しくて寂しいひとは寂しいじゃないんですか"
どこに行っても変わらないことやものというのはあるもので、気持ちや思・想いもまた然り、感じ取り、通じ合い、わかり合えたりもするものと思いたいです。

*心覚え(作品中に登場する台詞・人物・言葉・事物等)
コピ・ルアック
"知ってるようで知らないことって多いですよね〜 "
"コーヒーは 自分でいれるより人にいれてもらう方がうまいんだ"

膝行(しっこう) 合気道の稽古の際の体勢のひとつ。座った姿勢のままで前進、後退などの移動を安定を保って行うための基本的な動作で、合気道特有の座り技を行うために必要不可欠な動作です。

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2007年01月10日

「恋は五・七・五!」

「恋は五・七・五!」
2004年製作 日本
監督/脚本:荻上直子 製作:二宮清隆、李鳳宇、細野義郎 プロデューサー:林哲次、田辺隆史 企画:瀬崎巌 撮影:柴崎幸三 編集:阿部亙英 音楽:井出博子 照明:市川元一 録音:林大輔 
出演:関めぐみ小林きなこ、蓮沼茜、橋爪遼、細山田隆人、高岡早紀、中村靖日、嶋田久作、もたいまさこ、柄本明、杉本哲太

荻上直子監督映画作品ではデビュー作のコメディドラマ「バーバー吉野」よりも本作の方が私的にはより気恥ずかしい懐かしさと微妙な危うさが感じられて好いやに思います。

登場人物のキャラクターは極端過ぎずにとても魅力的に感じられて好感が持てます。本作が劇場映画デビューとの関めぐみさん扮する主人公の女子高生"高山治子”が同じ俳句部員の細山田隆人さん演じる"山土義仁”に発する"嘘つき"の台詞のニュアンスと違いが面白く、またポワーッとした心地良さの青い色香のようなものを感じる気がします。関めぐみさんはスリムにスタイル良く、目が大きく印象的な好い面構えと雰囲気を持っているやに思います。蓮沼茜さん扮する"治子"に憧れる後輩俳句部員の不思議ウクレレ少女"Pちゃん"こと"田中弘美"のキャラクターはくどいような気もするのですが、不自然には感じられず、上手い配置で効いているやに思います。"Pちゃん"の奏でるウクレレ音を聴くとTVSFアクション・コメディアニメ『機動戦艦ナデシコ』と映画作品「機動戦艦ナデシコ -The prince of darkness-」の"マキ・イズミ"を思い出します。杉本哲太さんが気弱な俳句部顧問の国語教師"高田マスオ”を演じるというのも連続TVドラマ『茜さんのお弁当』を観ていた身としては、また面白く感じます。哲太さんは好い役者さんになったな〜とつくづく思います。ライバル俳句部の顧問教師、"三浦"先生役の嶋田久作さんは静やかに可笑しさが炸裂しているやに感じられます。

定型の中で自由を見出し、既成概念を打ち破って自由な広がりと美を創出することの出来る俳句という表現体も素敵で面白いやに思わせられる気がします

何ということはなような描写でも何やら妙に壷にはまってしまいます。校庭で俳句部女子三人がキャンディーズの懐かしのヒット曲で『やさしい悪魔』を歌うのは可愛いのもそうですし、来るものがあります。"治子”の学校名が松尾高校でライバルであるエリート俳句部の校名が古池高校というのにも何でもないのですが、やられた気がします。古池高校の俳句部員のキャラクターの意地悪さも松尾高校のそれとの対比としては面白いやにも思えます。青春の青い想いが気恥ずかしく、懐かしい気がします。ドラマティックな演出をしているわけではなく、ただ淡々としているわけでもなく、ヒットハートする感じを受けます。フィクションとしてなのやも知れませんが、飽くまでも等身大の高校生を逸脱していない感じがで、ステレオティピカルなようなところもさりげなく面白いやに思います。色々な懐かしさや思・想いの淡い微妙な表出・描写にもくすぐられる気がします。

色々な人がいて、色々なことやものがあることを何となく再認識させられる気がします。人生の豊かさを築き、感じて楽しむためには(自分も含めた)人への情が大切やに思ったりもします。この世界・社会は様々な価値観により形成されていて、それらは気に入らなかったり、都合が悪かったり、悪いと思って肯定せず(出来ず)、否定して受け入れずとも(それだけで)無くなりはしないやに思います。

つくづく自分が枯れていると思わせられる(歳をとったからというばかりではなく)と共に豊かで清々しく、元気な気持ちにもさせられり気がします。

失恋の想いを胸に優しくありたい気もしたりしますが、それにはまず恋をせねばなりませんネ。"夢のみに 愛しき女性(ひと)にめぐり逢う"などと俳句もどきの戯れを詠んでみました。お粗末様です。風土が育くむ情緒を感じるのも良いやに思ったりもします。

お話の展開は有り体といえるやも知れませんが、テイストは以前の投稿記事で取り上げた青春ドラマ映画作品「ロボコン」などともまた似て非なる監督独特のものが感じられるやに思います。

little by littleというバンドのエンディングテーマソング『シンクロ』は中々好いやに思います。

荻上直子監督は今後も要注目やに思います。小林聡美さん、片桐はいりさんと本作では松尾高校の校長先生役で、上述の「バーバー吉野」では主人公の町唯一の床屋さんバーバー吉野のおばちゃん、"吉野良子”を演じているもたいまさこさん共演のオール・フィンランドロケによるコメディドラマ映画作品「かもめ食堂」も観ねばと思っています。

部員がたった一人とはいえ、統廃合を2年後に控え、何とかして校名を歴史に刻む手段の一つとして俳句甲子園に出場させんと写真部を夏期限定で俳句部にさせられてしまうのは突拍子もなくて面白く、お話とチョッと切り離して部員の"土山”の身になって考えてみると複雑な気もしたりします。

千里の道も一歩から...現実を生きるために現実に囚われ(過ぎ)ることなく、幻想・妄想・空想・想像を花開かせましょう。 

私の青春ではありませんが...。

*心覚え(作品中に登場する台詞・人物・言葉・事物等)
"俳句はポップなんだから"
"楽しんで詠んで下さい 楽しんで詠んだ俳句はきっと伝わるはず"
"駆け抜ける青春の恋は五七五"

上述の「かもめ食堂」はこの記事を書いた後に近所のレンタルビデオ店でDVDを借りて観ましたが、最近観た映画作品で最も気に入った作品です。追って記事投稿したいと思います。

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2007年01月02日

「犬神家の一族(映画版オリジナル)」

「犬神家の一族(映画版オリジナル)」
1976年製作 日本
監督/撮影/脚本:市川崑 製作:角川春樹、市川喜一 製作補:藤田光男 原作:横溝正史『犬神家の一族』(角川書店) 脚本:長田紀生、浅田英一、岩下輝幸、日高真也 撮影:長谷川清 美術:阿久根巌 衣装:長嶋重夫 編集:長田千鶴子 音楽:大野雄二 演奏:大野雄二・プロジェクト ネガ:南とめ 音響効果:東洋音響 結髪:沼田和子 照明:岡本健一 助監督;加藤哲郎
出演:石坂浩二、高峰三枝子、三条美紀、草笛光子、あおい輝彦、地井武男、川口晶、川口恒、金田龍之介、小林昭二、島田陽子、坂口良子、小沢栄太郎、加藤武、大滝秀治、寺田稔、大関優子、三木のり平、横溝正史、角川春樹、岸田今日子、三谷昇、辻萬長、三国連太郎、西尾啓、原泉、沼田カズ子、岡本健一、守田比呂也、細井利雄、北島和男、那須清、仁科鳩美、勝山美香子、宮本茂、阿部義男

2007年に初めて観た映画作品は1976年に角川映画第一弾として公開され、公開当時大ヒットを記録、日本中に爆発的な横溝正史ブームを巻き起こしたミステリー・サスペンス映画作品「犬神家の一族」です。昨年末には30年ふりに市川崑監督自らが再びメガフォンをとり、主人公の金田一耕助役もオリジナル版同様石坂浩二さんが演じてリメイクされ現在劇場公開中です。突如、無性に市川崑監督、石坂浩二さん演ずる金田一耕助シリーズ映画作品で一番好きな「病院坂の首縊りの家」が観たくなり近所のレンタルビデオ店に借りに行ったのですが、貸し出し中で仕方なく借りて観ました。昨年暮れに映画版リメイクを観る前にビデオテープを持っている同シリーズの「女王蜂」「獄門島」そして深夜テレビで放送していた「悪魔の手鞠唄」は見返しましたが、「病院坂の首縊りの家」と本作は観ていませんでした。

以前の投稿記事「本陣殺人事件(返答コメント)」にも記しましたが、初めて観たときは、"佐清”のマスク姿、焼けただれた素顔、"静馬”の湖に逆さに両足を突き出しての死に様や"松子”役の高峰三枝子さんの冷たい気品を携えた美しい怖さなどの、とにかくオドロオドロしい雰囲気と冷たい空気感の薄気味悪さや怖さが衝撃的でした。その時の印象の記憶が蘇って来ましたし、もう30年も前に撮られた作品なのだなとしみじみと観てしまいました。大野雄二さんの手による『愛のバラード』は正に「犬神家の一族」のテーマ曲といった感じがします。

陰影(明暗)コントラストの妙やピーンと張り詰めた空気感 や殺伐科・陰湿さが色濃く漂って感じられます。おどろおどろしく凄惨な感じがする一方、所々でふと滑稽さを感じる気もします。映像の差し込み、カメラアングルや琴の音も印象的な気がします。演出については効果は別として、総じてリメイク版もオリジナル版と大きな違いはないように思います。情景描写や雰囲気はよりドメスティックな感じがします。

リメイク版で年齢を重ねてもまだまだ若々しく映った"金田一耕助”役の石坂浩二さんですが、本作をあらためて観てみるとやっぱり若くてシュッとしていて、初々しささえ感じます。素軽いです。「病院坂の首縊りの家」の本條写真館助手で"金田一耕助”の助手的役割を果たす" 日夏黙太郎"役の草刈正雄さんもこの時の石坂さんのイメージに似たところがあるような気がします。

年齢のことをいうのは何ですが、当時21歳だった坂口良子さん扮する那須ホテルの女中"はる"はとても魅力的で興味深いやに思います。 何かを心に秘めたというか、上目遣いな感じが何かを感じ取らせるようで何とも好いです。リメイク版で"はる”を演じている深田恭子さんとは共通するところもなくはないですが、全く異なった魅力と興味深さが感じられる気がします。仄かな淡い想いが感じられるのも好いです。深田さんの方がお姉さんなのですネ。"古館恭三”弁護士役の小沢栄太郎さんははじめのうちは何というか怪しく嫌らしいのですが、次第にまともで誠実にすら見えて来るのには感心しました。" 橘警察署長"役の加藤武さも若く精悍だなという感じです。"犬神松子”役の高峰さんは決然というか、確固として重厚な冷たい気品と趣を感じます。焦点に耐えうる貫禄が場を引き締めている気がします。 柏屋の亭主"久平"役の三木のり平さんはインパクトに残ります。"井上”刑事役の辻萬長さんの坊主頭は昔の書生さんのような感じがします。"犬神小夜子”役の川口晶さんがの驚愕の表情はインパクトありますが、卒倒しての倒れ方は甘いやに思います。”犬神佐清”役のあおい輝彦さんは本作公開時既に名作の呼び声も高い連続TVスポーツ青春ドラマアニメ『あしたのジョー』の主人公、"矢吹丈”役の声優としても好評価を受けていましたが、声は本当に好いやに思います。まだ20代後半のあおいさんは、髭を剃るとつるんとしていて、瞳が円で子供子供した顔が可愛かったりします。若き日の犬神三姉妹の高峰さん、三條美紀さんと草笛光子さんや"お園”役の原泉さんもそうですが、何といっても冒頭臨終のシーンでの "犬神佐兵衛"役の三國連太郎さんのメークは凄いやに思います。
総じてわかりやすいといえばわかりやすいキャスティングやにも思います。リメイク版にも同じ役、異なった役で出演されている俳優さんもおられますが、当然ながら、とにかく皆さん若いです。那須ホテルの主人夫婦役で横溝正史ご夫妻が出演しています。製作者の角川春樹さんも"橘”警察署長の部下、"渡辺”刑事役で出演していますが、市川崑監督ご自身も出演されているとのことなのですが、何処なのかしら...。

市川崑監督と長田千鶴子さんの手によるエディティングは妙が炸裂しているやに思います。台詞の被せも方も秀逸やに思います。

終盤での"松子”の精神的描写にも妙を感じる気がします。鮮血の朱の赤に狂気なのかを感じる気がします。

亡霊の妄念、そして戦争もまた亡者の心の火種やに思ったりします。

酷い話しなのですが、終いには心情に訴えられて何だか感じ入って納得させられてしまいます。

"さよならは別れの言葉じゃなくて、再び会うまでの遠い約束”というフレーズがありましたが、別れはやはり寂しいものですネ。

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2006年12月31日

「くまちゃん」

「くまちゃん」
1992年製作 日本
監督/企画:小中和哉 製作:田中迪、佐藤博久、小中明子 プロデューサー:加畑圭造、宮直樹、志田篤彦 企画:馬越勲、吉田久幸 脚本/音楽:小中千昭(小中和哉さんのお兄さんです) 撮影:志賀葉一 美術:小林巧 音楽:うさうさ、八木橋敬也 助監督:竹内敬明
出演:草刈正雄、川合千春、風祭ゆき、上田耕一、曽我泰久、藤井千夏、田口トモロヲ、大杉漣、サブ(SABU/旧芸名は田中博樹)、斉木しげる 
声の出演:冨永みーな

今年も残すところ今日1日、2006年を締めくくる記事としてはどの映画作品を取り上げたら相応しいものかなどと考えてみまして、私が最も好きな作品の一本である恩田陸さん原作の同名ミステリーの映画化「木曜組曲」にしようと思い、とりあえず書きはじめてはみたのですが、好きなだけに自分なりに納得のいく記事を上げられませんでしたので、今回は見送るとして、結局当初準備していた通りにすることにしました。「木曜組曲」につきましては、また追って記事投稿出来ればと思っています。

1982年8月1日に公開された本作の監督・企画の小中和哉さんが監督・脚本を手掛けた自主映画「地球に来たくま」をモチーフにして撮った作品とのことで、異色と言えば異色と思います。脚本と音楽を手掛けてるのはお兄さんの小中千昭さんです。小中千昭さんが監督の片山一良さんと共にシリーズ構成を手掛けるTV連続SFアニメ『THEビッグオー』シリーズは私の大のお気に入りです。

オープニングでの主人公のバツイチのダンディな気鋭の彫刻家、"石室昭雄”役の草刈正雄さんは、髪型のせいもあるでしょうか、映画「007」シリーズの5代目ジェームズ・ボンド、ピアーズ・ブロズナンのようで、スタイリッシュで格好いいやに思います。男前です。一生懸命で真面目な演技や芝居じみた台詞回しがかえって笑いを誘い面白いやに感じたりします。"昭雄”の20歳年下の恋人の劇団女優、”中尾桂”を演じているのは本作がスクリーンデビューで同年鷲尾いさ子に続く2代目鉄骨娘としてサントリー『鉄骨飲料』のCMに出演し、人気を集めた(甘いもの好きでも知られる)川合千春さんです。首や手足が長くて、スタイル良いです。初々しいですし、市川実和子さんみたいな雰囲気を感じる気がしたりします。"くまちゃん"の声を演じているのは押井守他監督のアクション・サスペンス・ロボット・アニメTV・OVA・映画「機動警察パトレイバー」シリーズの"泉野明"役などの声を演じている声優の冨永みーなさんです。

脇を固める役者さんたちも好いやに思います。計算高くて抜け目なく"くまちゃん”をTVで売り出そうと画策するアーティストのエージェント事務所の社長で"昭雄”の別れた奥さん、"川瀬弘美"役のかつて『ロマンポルノ界の松坂慶子』として人気を博した風祭ゆきさんのサバサバしたコミカルさも好いやに思います。"くまちゃん”の臭いの嗅ぎ方が面白いやに思います。中々艶っぽくて綺麗やにも思います。"圭”の劇団による舞台公演の客員役者、"下山和則”役の大杉蓮さんは若くてシュッとしています。 "くまちゃん”を執拗に追う警視庁公安一課の上田耕一さん扮する"斉藤真"刑事のお馬鹿さ加減が好いですし、"斉藤”に振り回される"守屋紀一郎”刑事役のサブさんも味があって好いやに思います。サブさんの映画デビュー作で大友克洋監督/脚本、今敏原案、信本敬子脚本のコメディ・ホラー「ワールド・アパートメント・ホラー」チョッとチープで癖のあるホラーテイストの風刺コメディといった感じですが、こちらも中々異色で面白いやに思います。

"昭雄”の部屋にいかにも芸術家ですといった風に何気なく置かれているレトロなインテリア、家具に家電製品のステレオタイプっぽさがまた役柄にも演じる草刈さんにも合って感じられて好いやに思います。"昭雄”の自身の弱さ、いじましさや煮え切らなさに対する自己嫌悪故に理屈っぽいといった性格設定もわかる感じがしますし、草刈さんもうまくというか面白く演じられているやに思います。"昭雄”と"くまちゃん”の掛け合いや絡みも愉快やに思います。"昭雄”が激しいジャズのリズムに合わせての何かに取り憑かれたかのようなフリージャズ・アバンギャルドなソロダンスは見応えあるというか面白いと思います。 結構体が動いていて躍動的に感じます。 ファッションがバブルの余韻残る時代を感じさせます。あからさまにクマのヌイグルミで手が長過ぎる気がする宇宙人のリアリティー無さ過ぎな"くまちゃん”が可愛いような、そうでもないような、微妙なところが好いですし、次第に生きているように見えて来るような気がしないくもないのが不思議です。愁いを帯びたやの円な瞳の眼差しはとても愛らしく映る気がします。可愛らしさは冨永みーなさんの声の演技によるところ大きい気がします。"弘美”の着ている洋服にも時代を色濃く感じます。

作中に流れるソニー・クラークやアート・ブレイキーをはじめとした名立たるミュージシャンによるジャズの名曲・名演奏・名歌唱の数々、特に"昭雄”と”圭”がダンスをするシーンでのチェット・ベイカーが歌う『SOME ONE TO WATCH OVER ME』は素敵でうっとりしていまいます。

プロットはありきたりやにも思えますが、着想・発想や設定は斬新というかふざけていますし、終い方も目新しくはなくも、意表を突くというか中々洒落ていて面白いやに思います。良くメジャー映画化したなと感心する気持ちもあります。

気持はわかっているのに...喋りすぎても、話さなくても心を通いあわせる支障となり得ることがあるのやも知れません。言葉にしない方が心が伝わることも、言葉にしないと心が伝わらないこともあるのやも知れません。厄介なようですが、どちらが良いとも、正しいともわかりません。
全知全能であったらと思うことはあります。でもぼんやりとですが、全知全能でない幸福はあっても、不幸はないような気もしたりします。

宇宙人と煮え切らない優柔不断な中年男との交流を描いたファンタジーなのかしら...というより、ユーモラスでジャズっぽいようなそうでないようなラブストーリーといった感じで、違った意味の"ハッピー・アクシデント"やにも思ったりします。

*心覚え(作品中に登場する台詞・人物・言葉・事物等)
ドクサ(臆見〔おっけん〕)的考え
"ハッキリしない男も別れてしまえば都合の好い男"

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それでは皆さん、良いお年をお迎え下さい。

今年2月からスタートした当方のブログ、拙い記事を読んで下さった方々、更にはトラックバックや、コメントし辛い記事ばかりにも関わらずコメントを下さった方々、特にCENTER PUBさん、お気に入りリンクで紹介させて頂いています『ふるちんの「頭の中は魑魅魍魎」』のふるさん、『まい・ふぇいばりっと・あるばむ』のOZZYさん、『みるよむ・・・Mrs.のAZ Stories』のJ美さん、『クマ・ミュージックの部屋』のFUMINORIさんと『ごみつ通信 MOVIE LOVER'S DIARY』のごみつさん、そして記事を書くにあたり、色々とご協力下さったF氏にはここであらためて感謝申し上げます。
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2006年12月25日

「回路」

「回路」
2000年製作 日本
監督/脚本:黒沢清 製作:山本洋、萩原敏雄、小野清司、高野力 プロデューサー:清水俊、奥田誠治、井上健、下田淳行 製作総指揮:徳間康快 撮影:林焞一郎 美術:丸尾知行 編集:菊池純一 音楽:羽毛田丈史 音楽プロデューサー:和田亭 スクリプター:小山三樹子 ビジュアルエフェクト:浅野秀二 演出助手:古澤健 証明:豊見山明長 製作担当:藤原恵美子 録音: 井家眞紀夫 助監督:吉村達矢
出演:加藤晴彦、麻生久美子、小雪、有坂来瞳、松尾政寿、武田真治、風吹ジュン、菅田俊、哀川翔、役所広司

本作は「Pulse」として今年DIMENSION FILMSにより、ハリウッドリメイクされております。予告編を観た限りでは、よりあの世の人の具体的描写が多く盛り込まれているやに見受けられます。もしかしたらわかりやすくはあるかもしれませんが、雰囲気が損なわれないか若干心配です。スティーヴン・ドーフ主演の「フィアー・ドットコム」というホラー・サスペンス映画作品がありましたが、あちらは鈴木光司さん原作の映像化ホラー作品「リング」シリーズ(※注:「仄暗い水の底から」は「リング」シリーズではありません。悪しからずご承知おき下さい)をモチーフにした作品という感じやに思います。

怖いだけではない面白さがある作品やに思います。クリスマスには余りそぐわない作品やも知れませんネ。

ファンである観葉植物販売の会社に務める"工藤ミチ”役の麻生久美子さん、それから"ミチ”の同僚"佐々野順子”役の有坂来瞳さんと加藤晴彦さん演じる主人公の大学生”川島亮太”と同じ大学の電子工学科の学生、"唐沢春江"役の小雪さんは好いです。加藤晴彦さんは、インターネット接続設定を試みる際の独り言など自然体で好いやに思います。武田真治さん扮する"春江”の先輩の大学院生"吉崎”の役柄と存在が効いていて作品の怪しげな雰囲気を更に深めているやに思います。恐らく最初に工場跡の工事現場で霊魂を受容してしまうエリアを見つけ、赤いテープで封印を試みる"従業員”役の哀川翔さんの表情・演技も何とはなく、目立たないようで際立って感じられ、何やら思わせ振りというか、暗示的というかで不安と興味を煽られるかのようで、さり気なく効いているやに思います。赤いテープというのが意味有り気でまた怖いです。

映像の色合い、明暗と濃淡、ビジュアルエフェクト、音響効果、そして鬼束ちひろさんのプロデューサーとして知られる羽毛田丈史さんの手になる音楽が作品の不気味な雰囲気を盛り立てているやに思います。

サスペンス・パニック・アドベンチャー映画作品「JAWS/ジョーズ」シリーズの人を襲うサメ、ジョーズやSFホラー映画作品「エイリアン」シリーズの獰猛な宇宙生物、エイリアンがスクリーン・画面にハッキリ映らないように何だかぼんやりとしか見せなかったり、ハッキリさせていないのにも怖さを感じさせられるのやも知れません。見えない敵というか、敵かどうかも定かでない驚異。

生きている人が存在するこの世と死んでしまった人が存在するあの世界とが繋がり、生きている人が好むと好まざるに関わらず双方の世界が新たなステージを迎えるということなのやに思います。あの世をバーチャルな世界のようなものとするならば、士郎正宗さん原作のSF・サスペンス・アクションTVアニメシリーズと映画作品「 GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊」「イノセンス」の"草薙素子"には大したことではないやも知れませんが...。このお話に於けるあの世とは、そのに居る人が孤独の苦しみを伴い助けを乞うていることからすると余り好ましことではないようですが...(現代のみならず、我々は自らこの世をそうたらしめてしまっていることがあるのやに思います)。あの世の飽和、孤独の苦しみとこの世の病理が結びついて切り開き、構築された回路なのだとしたらチョッと違和感があるやに思います。あの世へは誰もがいつか逝くのに、飽和状態になってしまっていることについてはわからないでもないですが、苦しみばかりの世界とするのはどうかと思います。そもそも、先だってお亡くなりになられた丹波哲郎さんは、あの世とこの世は地続きだとおっしゃられていましたし...。

人の思・想いと繋がりと関係性には往々にしてジレンマが生じる、もしくはそうと感じることがあるやに思ったりします。人というのは、例え実際の恐怖などなかったとしても、恐怖感がなければ人は生きられないのやも知れません。でもその感じ方は人によってまちまちのようですが...。

馬鹿みたいなことではじまったことは、所詮は馬鹿みたいなことやもそうでないやも知れません。

"吉崎”が"川島”に語る”どんなに馬鹿げた単純な装置であっても一旦システムが完成してしまえばいやでもそれば動き出す そして固定される つまり回路は開かれる”の台詞も印象的です。開かれた回路もちょくちょく障害を受け閉ざされたりするのではと思ってみたりもします(枝葉末節で余り説得力のある考えではないやに思いますが...)。危機察知・回避能力の高い人というのもいるやに思います。

家具や調度品がお洒落だったり、アンティークテイストだったり、レトロチックだったりしているやに思います。

ジョン・カーペンター監督、サム・ニール主演のホラー映画作品「マウス・オブ・マッドネス」をチョッピリ想起しました。

暗闇もキーワードやに思いますが、盲の人はどう感じ、影響を及ぼされるのだろうかなどと思ったりもします。

廃工場の一室で"川島”が幻怪なる何者かと対峙するシーンは寒気がする程怖いです。"ミチル”と"川島”が人々が行き倒れ、廃虚と化した銀座の街を何がしかから彷徨い逃げるシーンは印象的です。怖いけれどこうしたトーンや空気感は映像のみならず実際にも嫌いではありません。孤独のイメージとしての死が倒錯的に希望や幻想として蔓延している現代のこの世を巧みに表現しているやに感じられます。今や懐かしいインターネットの接続音も不気味な雰囲気を盛り上げているやに感じます。

"春江”が手にしているハンドガンはGlock(グロッグ)とかなのでしょうか。だとしたら何処から入手したのかしら。

黒沢清監督作品の常連、役所広司さん扮する"船長"さんが最後に"ミチ”の問いに対する確信めいた答えには希望を見い出させられる気がして救いを感じます。

オープニングとラストの船を上空から見下ろすカットも印象的です。

なんのかんのとまとまりのないことを書き綴りましたが、とにかく恐面白いのです。

*今回も以下は支離滅裂な戯言となってしまいました。
死は出来得る限り回避すべきやに思います。でも、あえて自ら命を絶ってはいけないなどとは申すつもりはありません。本当に生きていたくなくて死を渇望しているのならば、一度きりのことでもあるので、出来るだけ後回しにした方が手にしたときの喜びも一入と思えるやも知れませんし、急いては事を仕損じるとも申します。死は終いであることの外はわかりませんし、少なくともそれ自体が何れかの問題等の解決であるとは思い難いです。出来得るならば、息をしているだけでも良いやに思います。人生に特段の意味などないやに思います。意味は必要とあらば、見出したり、付け足したりするのでも良いやに思います。如何なる場面で、どういうものかはさて置けば、妥協と言い訳(寛容と反省)なしに生きるのはかなり困難やに思います。

生きてるから、死ねる。いつでも死ねるが、死んだら終い、その後の世界があるか否かはわからないが、何れにしろもう生きれない。急がずとも死はいつか必ず訪れる。行ける(生ける)ところまで行って(生きて)みましょう。

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一応、Happy Merry Christmas!
posted by ウォルター at 02:38| ☁| Comment(2) | TrackBack(1) | 鑑賞映画について(邦画) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年12月22日

「犬神家の一族(映画版リメイク)」

「犬神家の一族(映画版リメイク)」
2006年製作 日本
監督/脚本:市川崑 製作:黒井和男 プロデューサー:一瀬隆重 企画:椿宜和、濱名一哉、北川直樹、喜多埜裕明 原作:横溝正史『犬神家の一族』(角川文庫) 脚本:日高真也、長田紀生 撮影:五十畑幸勇 視覚効果:橋本満明 美術:櫻木晶 編集:長田千鶴子 音楽;谷川賢作 テーマ曲:大野雄二 監督補佐:手塚昌明 照明:斉藤薫 製作統括:信国一郎、榎本友和、井上雅博 調音:大橋鉄矢 録音:斉藤禎一 助監督:宮村敏正
出演:石坂浩二、松嶋菜々子、尾上菊之助、富司純子、松坂慶子、萬田久子、葛山信吾、池内万作、蛍雪次郎、永澤俊矢、石倉三郎、尾藤イサオ、嶋田豪、三條美紀、松本美奈子、林家木久蔵、三谷幸喜、深田恭子、岸部一徳、大滝秀治、草笛光子、中村玉緒、加藤武、中村敦夫、仲代達矢

昨日何とか時間を工面して市川崑監督自身により、石坂浩二さん主演で30年ぶりにリメイク映画化された横溝正史さん原作の「犬神家の一族」を地元の映画館へ観に行って来ました。本編開始間際に小用を足したくなり、トイレに立ったため、冒頭2分程見そびれてしまいました。

市川崑監督、石坂浩二さん演ずる名探偵、金田一耕助シリーズ映画作品でお馴染みの小ネタ・カットには嬉しくなります。映像にはオリジナル版に比して陰影の妙やピーンと張り詰め透き通った冷たい空気感や殺伐感・封建性・因習性・閉鎖性・陰湿さは然程漂って来ず、音響効果からか、重々し気で暗澹たるかの気配が感じられる気がします。オリジナル版をほぼリアルタイムで観た身としてはインパクトやダイナミズムではどうしてもおよばないやに思いますが、洗練された感じはしないでもないやに思います。懐かし気な日本的情緒・郷里感よりも、どことなく欧州の雰囲気が漂う情景描写やに感じる気もします。台詞の被せ、構図、カット割、フェードアウト、アップショットや細かいカットバックは秀逸とまではいかないやにも思いますが、相変わらず妙を感じます。オリジナル版と同じ大野雄二さんの手によるテーマ曲が作品により惹き込んでくれる気もします。

"金田一耕助”役の石坂浩二さんは30年の年を経て、年齢を重ねても若々しく、相変わらずな懐かしさと堂に入って説得力を増した演技は結構やに思います。頑張って走っています。"犬神松子”役の富司純子さんは鬼気迫る演技がとても良いやにも思いますが、オリジナル版で"松子”を演じた高峰三枝子さんと比較してしまうと、貫禄負けというか、もうひとつ悲哀・哀切が感じられない気がします。"野々村珠世”役の松嶋菜々子さんには、その美しさ以上に、役に効果しているのかどうかは定かではありませんが、しっかりした真っ直ぐな芯の強さを感じ、可憐さ・か弱さというのは余り感じられない気がします。危う気さもほのかに感じられもするのは好いやに思います。那須ホテルの女中、"はる”役はオリジナル版の坂口良子さんの印象が強いですが、本作の深田恭子さんも悪くないやに思います。仲代達矢さん扮する"犬神佐兵衛”の遺影が何故か笑えてしまいます。"等々力署長”を演じる加藤武さんの"よっし!わかった!!"の台詞や胃の粉薬を吹くシーンにはやはり何度見ても嬉々としてしまいます。加藤武さんは米国の総合格闘家、ドン・フライの親戚のおじさんといった感じに思えたりもします。"犬神小夜子”役の奥菜恵さんの卒倒しての倒れ様は見応えあるやに思います。彼女の配役は今一つピンと来ないような、合っているというか、面白いような気もしたりします。"犬神幸吉”を演じる 螢雪次朗のキャスティングは嬉しいです。"犬神竹子”役の松坂慶子さんは、ぽっちゃりしているのも色っぽいですが、また痩せられるのかしらと思ったりもします。"犬神佐武”役の葛山信吾さんはかつて仮面ライダークウガと共に闘っていたこともあるのに可愛そうな気もします。キャストの皆さん演技達者やに思いますし、控え目、抑制的な演技には好感を持てなくもないですが、面白みは然程感じられず、総じては印象に薄いです。

上映時間の146分、長くは感じませんでした。

業に絡んだ陰惨で哀れな大いなる茶番劇やに思います(笑)。

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2006年12月14日

「ブラックキス」

「ブラックキス」
2004年製作 日本
監督/プロデューサー/脚本/編集:手塚眞 製作:富士本淳 プロデューサー:浅井隆 製作総指揮:岡田和生 脚本:森吉治予、田中浩司 撮影監督:白尾一博 撮影:神戸千木 美術:林千奈 編集:石川信彦 音楽監督:高木完 VFXスーパーバイザー:古賀信明 エンディングテーマ:日暮愛葉『ユメミタイ(cherish my life)』衣装監修:阿部由美子 照明:佐々木英二、宮下昇 操演:羽鳥博幸 装飾:松尾文子 特殊造型:原口智生 美術監修:磯見俊裕 録音:小松将人 助監督:久保朝洋
出演:橋本麗香、川村カオリ、松岡俊介(タレントのYUOさんの元ご亭主)、安藤政信、小島聖、岩掘せり、あんじ、SAWACO、岡田真善、金内喜久夫、矢島健一、光石研、榊英雄、大城英司、佐藤貢三、並木史郎、村田充、利重剛、森下能幸、鈴木しのぶ、佐藤佐吉、辻本好ニ、TERU、荒井紀人、加藤隆之、田島絵理香、久保田芳之、中山夢歩、川屋せっちん、本多章一、綾野剛、鈴木敬子、長曽我部蓉子、林海象、植岡善晴、鈴木真一、桐島ローランド、DJ TSUYOSHI、オダギリジョー、草刈正雄、奥田瑛二

映像の明暗、色彩と色調はやや特徴的で、描写・表現は中々見応え・見所はあるやに思いますが、斬新さはそれ程感じません。ストーリーや雰囲気は透き通った軽目な感じがします。面白くないというわけではありません。手塚眞監督作品とのことなので、もっとエキセントリックな演出や仕掛けがなされているかとも思っていましたが、良く練り込まれたお話、設定でディデールの演出もしっかりなされた作品やに思います。特徴的世界観は余り漂って来る感じはしませんが、独特の雰囲気は感じられなくもないやに思います。スリリング、ミステリアスやサスペンスフルでないわけではないのですが、重々しさもオドロオドロしさも然程感じはしないものの、怖くて不思議な雰囲気の作品との印象です。直接的にショッキングな描写による恐怖ではなく、お話の背後に潜み、根底にあり、見え隠れする何かに空恐ろしさというかおぞましい恐怖を感じます。そう感じとらずに、肩すかしをくらった印象や興醒めを覚える向きもあるやに思ったりもします。

"嶺崎"刑事役の 奥田瑛二さんは存在感ありますし、" 白木祐介"刑事役の松岡俊介さんは面白い雰囲気を醸し出してるやに思います。自然体なようでも抑制的なようでもあり、生活感、リアリティやアクチュアリティが感じられます。刑事さんたちのキャストは面白くて好いやに思います。安藤政信さん扮するカメラマン"空山龍男”の使用しているおパソコンがMacでないのが残念です(安藤さんは同じ歳の俳優、中村俊介さんに似ている気がします)。橋本麗香さん扮する主人公の一人でモデルの"星野明日香”のタンゴのレッスンシーンは力強く感じられて好いやに感じます。"明日香”のルームメイトの元モデル"ルーシー”こと"黒木香純"役の川村カオリさんの演技と存在感は光っているやに思います。失礼ながら、初め土屋アンナさんと勘違いしていました。DJで薬の売人の"香純"の元恋人"ジョーカー城野"役のオダギリジョーさんは面白くて好いですが、彼のファンとしては役柄的にチョッと可愛そうな気もします。"香純"の元ルームメイト"綾部マリ"役のあんじさんは怖いです。"香純"のモデル仲間"葵”役の小島聖さんはいい味を出しているやに思います。林海象さんはどこに出ていたのでしょうか。GLAYのTERUさんも気づきませんでした。

草刈正雄さん扮する元刑事でプロファイラーの"鷹山龍生"が上司である"嶺崎”刑事の促されて彼の元へ事件捜査の助言を求めに訪れた"白木"刑事に問う"大きくて紅くて岩を食べる動物とは?"のクイズとその答えや事件のキーとおぼしきブドゥー教とその解釈や捉え方に絡めて"白木"刑事達警察とその捜査状況の解析を講義するシーンはとても興味深いやに思います。

"偶然が重なると必ずやなことが起きる"、”悪運だけは強いからさ”、"最悪の日に生まれたものには悪い日も心地よい"、"9っていう数字は完全の数"や"考え過ぎると歳取るよ"との台詞や変な声の電話が印象的だったりします。

様々なキーを配し、エッセンスを匂わせる展開で、終いも落着させ切らず、謎を残し、今後の展開を想起させてくれているやに思いますが、思いの外、普通な感じで、面白く観れるやにも思います。

サスペンスとしては丁寧撮られていて、サイコサスペンス・スリラーとしては描写・表現や心理表現・描写にダイレクトに即鮮烈な衝撃を受けるというよりも、じわりと恐怖が襲い来るやに感じます。ミステリーとして惹き込まれなくもないですが、面白さの主眼はそのこになやに感じます。興味深いやに思うアート映画作品「実験映画」を撮られた手塚眞監督でしたらもっと独特の表現を醸し出せると思うだけに、映像的にでも演出的にでも良いので、もっと抑揚と強い深みというか趣が欲しい気がしたりします。意図的やも知れませんが、均一的にすっきりまとまり過ぎてしまっているのか、つらっと観れてしまい、面白さの妙や根底のテーマのようなものが感じとり辛い気もしたりすます。監督がかつて書いた小説の主人公との特殊犯罪事件のプロファイリングの専門家"鷹山"の登場は効いているやに思います。

手塚眞監督の映画監督としての成熟過程なのか実験過程なのか興味深い作品やに思ったりします。集大成はまだまだ先の楽しみとして...。

続編を期待したいです。

傷つき易さと冷酷な理性。

*心覚え(作品中に登場する台詞・人物・言葉・事物等)
蜘蛛猿の手
"ブーデゥーは地元でははボズと発音します アフリカの古い宗教にカトリックが合わさってハイチの奴隷の間で発展した独自の宗教 盲信が存在するのはむしろ文明人の方です"
"あなたの抱えている問題はどうやら余計な想像力です それが真実を隠して混乱させている 事件を必要以上に複雑に見せかけているのは恐怖です みなさんは犯人に恐怖を植え付けられている それが判断を狂わせている”


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2006年12月06日

「屋根裏の散歩者(劇場用R指定版)」

「屋根裏の散歩者(劇場用R指定版)」
1994年製作 日本
監督:実相寺昭雄 製作:田澤正稔、鴨之澤伸 プロデューサー:一瀬隆重、瀬田素、石原真 企画:滝本裕雄、川城和美 原作:江戸川乱歩『屋根裏の散歩者』 脚本:藤川昭夫 撮影:中堀正夫 美術:池谷仙克 編集:井上治 音楽:松下攻 助監督;高橋厳
出演:三上博史、宮崎ますみ(宮崎萬純)、六平直政、加賀恵子、嶋田久作、平賀勘一、 斉藤聡介、清水ひとみ、鈴木奈緒、小林政宏、寺田農、堀内正美

江戸川乱歩さん生誕100周年を記念して製作された映画作品とのことで、他に東京国際ファンタスティック映画祭で上映された"インターナショナルバージョン"(成人指定版)があるとのことです。本劇場用R指定版はところどころぼかしが入っています。"インターナショナルバージョン"は未見ですし、原作の同名小説は未読です。それからこちらも未見ですが、1976年に日活で宮下順子さん主演でエロティック・ミステリー・ドラマ「江戸川乱歩猟奇館 屋根裏の散歩者」として映画化されていて、中々面白い作品とのことです。

以前に一度観た時の印象は然程ぱっとしないものだったのですが、今回、先日お亡くなりになられた実相寺昭雄監督の私なりのせめてもの弔いのつもりもあって、久しぶりに観てみましたら、想いもあってか、まずまずの作品やに思えました。

淫靡で倒錯的、エログロでオドロオドロしく妖しく猟奇的でチープだったりやに(も、反対に思った程でもないやにも)映らなくもないですが、それでいて美しさ、耽美さのような何か惹き付けられる魅惑的な映像描写と独特の空気感と雰囲気の世界観を抑制的に漂わせているやに思います。ストーリーの興味深さも然ることながら、ここぞという見せ場はなく、抑揚は余り感じられず淡々としたというか平坦な展開なのですが、屋根裏の節穴から他人の部屋・住人たちの裏の顔を覗くかのごとく、退屈な日常の狭間からふと、狂気というよりうたかたの幻夢世界を垣間見せられるようで、その世界観に惹き込まれたら、つらっと観れてしまうそれなりに面白い作品やに思います。"実相寺ワールド炸裂”といった感じではないので、物足りなさを感じられるやにも思わなくないですが、危う気な微妙さも好さやに思いもします。何というか映画的、小説的雰囲気が感じられる作品やにも思ったりします。

三上博史さん扮する主人公の"郷田三郎”と彼と同じくお話の舞台である遊民宿、東栄館の下宿仲間の嶋田久作さん扮するご存知名探偵"明石小五郎”との静かで内向的でいて愉し気な掛け合いは面白く感じます。同じく"郷田"の下宿仲間のニヒルな歯科医"遠藤幹彦”役の六平直政さん(東京乾電池に所属していたこともあるのですネ)は嫌らし気で好いですし、東栄館に一室で渋谷道頓堀劇場の元花形踊り子にして現在道頓堀劇場代表で女優の清水ひとみさん扮する妾さんの"魚谷和枝"とSMに興じ、その姿を絵に描く弁護士、 越塚恵蔵役の寺田農さんも効いているやに思います。宮崎ますみさん(ほんの一時近所に在る高校に席を置いていたことがあり、近所の本屋さんで見かけたことがあります)扮するところのバイオリニストらしき"郷田”の隣室に越して来た清楚な婦人、"秋月煕子"の役回りはピンと来ないところがありますが、狂気というよりも何となく危う気、妖し気で不思議な雰囲気を醸している感じがします。実相寺監督のエロティック映画作品「ラ・ヴァルス」で主演した加賀恵子さんも男たちと情交を繰り返す"郷田”の下宿仲間" 新庄奈々子"役で出演しています。
AV作品にも多数出演されている鈴木奈緒さんは東栄館の女中" 崎村珠代"役で、平賀勘一さんや小林政宏(田渕正浩)さんもそれぞれ"郷田”の下宿仲間" 北村九州男"と"中村武雄”役で出演しています。

以前の投稿記事「盲獣VS一寸法師」では本作について、思わず江戸川乱歩さん原作小説の映画化作品では印象に残っている作品の一つに挙げてしましたが、本当のところはこの記事の序盤に記した通りです。どうもスミマセンでした。

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posted by ウォルター at 00:14| ☀| Comment(0) | TrackBack(1) | 鑑賞映画について(邦画) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする