2006年11月23日

「奇談 キダン」

「奇談 キダン」
2005年製作 日本
監督/脚本:小松隆志 プロデューサー:一瀬隆重 エグゼクティブプロデューサー:小谷靖 原作:諸星大二郎『生命の木』(集英社刊『汝、神になれ鬼になれ』所収) 撮影:水口智之 視覚効果:松本肇 美術:斉藤岩男 編集:足立浩
音楽:川井憲次 照明:奥村誠 整音:小松将人 装飾:松本良二 録音:柿澤潔
助監督:金子功 ナレーション:津嘉山正種
出演:藤澤恵麻、阿部寛、ちすん、柳ユーレイ、神戸浩、菅原大吉、土屋嘉男、堀内正美、白木みのる、 田中碧海、森脇英理子、山田夏海、やべけんじ、守田比呂也、伊藤幸純、甲野優美、野上昇馬、プリティ大田、赤星満、島綾祐、一龍貞水、草村礼子、 清水紘治
声の出演:三ツ矢雄二

予想外に面白く、かなり気に入りました。

諸星大二郎さんの漫画、処女連載シリーズである『妖怪ハンター』の一作、『生命の木』を映画化した作品とのことです。原作漫画は未読です。題名の「奇談」がシルク・ドゥ・ソレイユの作品"キダム"に似ていて紛らわしい気がしたりもします。

奇妙な夢を見るようになったことで、幼い頃、お母さんの出産のため物語の舞台となる東北の隠れキリシタンの里として知られる渡戸村に住む遠い親戚の家に預けられ、一緒に遊んでいた少年とともに神隠しに遭った、という朧げな記憶を確かめるために、村を訪れる民俗学を専攻の女子大院生"佐伯里美”を演じる藤澤恵麻さんは、かつての女優さんのような(古風で)趣ある好い顔をしているやに思います。清楚で可愛げある顔だちやに思いますが、鼻孔の開きに意志の強さも感じさせられます。沢口靖子さんや元タカラジェンヌの純名里沙さんに似た感じの容貌やにも思います。村に伝わる不思議な聖書異伝"世界開始の科の御伝え"を調べるために村を訪れる異端の考古学者"稗田礼二郎"を演じる阿部寛さんの抑制を効かせた演技と時折垣間見えるエキセントリックさのようなものが堤幸彦演出・監督のTV連続ミステリー・コメディ『トリック』シリーズとミステリー・コメディ映画作品「トリック 劇場版」シリーズで仲間由紀恵さん扮する自称売れっ子天才奇術師"山田奈緒子"との迷コンビ、臆病で石頭の天才物理学者で日本科学技術大学の(助)教授、"上田次郎"とはまた一味違って、(面白くて)好いやに思います。"里美”が席を置く大学院の文芸学部民族研究室の" 三戸部孝蔵"先生役の土屋嘉男さん、同じ大学の人文学部新研究室の" 橋本医師"役の伊藤幸純さん、村の駐在さん、"中原巡査”役の柳ユーレイさんや村の教会の" 桐島神父"役の 清水紘治さんは効いているやに思います。

プロデューサーがホラー映画作品「リング」シリーズ「呪怨」シリーズのプロデューサー・製作者でもある一瀬隆重さんということもあってか、映像がホラーテイストで、特に昔村に隣接する"はなれ"という集落を撮影したフィルムに収められている住人が体揺らしながら"世界開始の咎のお伝え"を語るシーンなど、恐いもの見たさをそそられる気がします。チョッとした描写が思わせ振りに感じられたりするのにも、何やらそそられるものがあるやに思います。一瀬さんは来月公開予定の横溝正史原作で30年前映画化され一世を風靡したオリジナル版同様市川崑監督、石坂浩二さん主演のリメイク版ミステリー・サスペンス映画作品「犬神家の一族」のプロデューサーでもあります。音楽を担当しているのは押井守監督のSFサスペンスアクションアニメ映画作品「GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊」「イノセンス」でも音楽を手掛けている川井憲次さんです。"稗田"のカバンが寅さんのカバンのようで好感が持てます。ちすんさん扮する神隠しから生還した娘、"静江”がビリー・ジョエルの『This Night』を弾くのが乙やに思います。因にお話の時代設定は1972年で『This Night』の収録されているアルバム『Innocennt Man』のリリースは1983年です。もう一押し遊び心があったらと思ったりもします。

クリスチャンでもキリスト教について詳しいわけでもありませんが、大変興味深く共感し得る作品やに思います。然程込み入った話でもなく、簡潔にまとめられていて、わからないところもないではないので、もう少し説明も欲しい気がしなくもないですが、 違和感なく観える作品やにも思います。

原作漫画の映画化作品としてはどうなのか、大変興味深いので、今度読んでみたいと思います。漫画を読むのは不得手ですが、漫画の興味深さ、奥深さを感じさせられる気がします。

車のナンバープレートの標記が気になります。

つい先日お亡くなりになられた現代米国映画界の巨匠の一人、ロバート・アルトマン監督と弟が小学生の時に出場した商店街のカラオケ大会で審査員を務められていて、特別賞を授与してくれた「霧にむせぶ夜」の大ヒットで知られる歌手の黒木憲さんのご冥福を心よりお祈り致します。

フジテレビの深夜番組『カノッサの屈辱』の教授役でも人気を博した知的で個性的な実力演技派俳優の仲谷昇さんの冥福をお祈り致します。

わざわざメールを下さったF氏にはこの場をお借りしてお礼申し上げさせて頂きます。ありがとうございました。

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2006年11月14日

「THE SNOW ザ・スノウ<未>/白髪鬼/FACE TO FACE」

「THE SNOW ザ・スノウ<未>/白髪鬼/FACE TO FACE」
2002年製作 香港/日本
監督/撮影:ウォン・マンワン 原作:江戸川乱歩『白髪鬼』(春陽文庫) 脚本:最合昇、江原千登勢、ゴレッティ・コー 美術:丸尾知行 編集:カイ・キッワイ 音楽:神尾憲一
出演:スティーヴン・ウォン、伊東美咲、谷原章介、石堂夏央、沢本忠雄、白石タダシ

最愛の妻と無二の親友の裏切りにより、家庭、財産、その全てを奪われた男による恐怖と戦慄の復讐劇を描いた江戸川乱歩さんのミステリー小説『白髪鬼』を日本・香港で映画化した作品とのことです。昔、天知茂さんが名探偵明智小五郎を演じる土曜ワイド劇場の『江戸川乱歩の美女』シリーズの一作としてTV映画化された作品を観た覚えがあります。原作は読んだことがないのですが、どうも明智小五郎は登場しないようです。因に、一応本作にも明智小五郎は登場しません。1949年にも嵐寛寿郎さん主演で映画化されているとのことです。アレキサンドル・デュマの小説『モンテクリスト伯(厳窟王) 』をおどろおどろしくしたようなお話です。

本作も近所のレンタルビデオ店で何度となくDVDのパッケージを棚から手に取っては戻し、また手に取ってを繰り返し、借りて観ようかどうか迷った挙句、中々出演作を観る機会に恵まれない石堂夏央さんが出演しているということで、観てみることにしました。

主人公"林保”(原作では大牟田敏清とのことです)を演じるスティーヴン・ウォンは良い男には違いないやに思いますが、兄弟漫才コンビ中川家の"お兄ちゃん”こと中川剛さんに見えてしまって、仕方がありません。前半はあてレコの微妙な違和感が気になりますし、彼が演じているのかは定かではありませんが、"里見"として登場して以降はアテレコに合わせたマイムのように映る演技が奇異で面白くもあるやに思います。"保”の親友で芸術家の"川村義雄”役の谷原章介さんは好きな俳優さんということもあり、まずまずやに思えます。"保”の妻、"留璃子”役の伊藤美咲さんもまずまず好きな女優さんですが、演技自体が違和感あるあてレコのようで、何だか白々しく感じられてしまって、この役には合っていないやに思います。"林“家のメイド"トモコ”役、お目当ての石堂夏央さんは役柄は可哀相ですし、特筆するところは見受けられませんが、観れただけでも良しとせねばと思います。

雰囲気なのか、リズムなのか、はたまたテンポなのか、何となく違和感を感じてしまいます。描写が情緒的に過ぎるやにも感じられます。撮影が本職の監督さんのようですが、それにしては映像に面白みが感じられないやに思います。

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2006年11月05日

「ケータイ刑事(デカ) THE MOVIE バベルの塔の秘密〜銭形姉妹への挑戦状」

「ケータイ刑事(デカ) THE MOVIE バベルの塔の秘密〜銭形姉妹への挑戦状」
2005年製作 日本
監督:佐々木浩久 製作:高西伸兒、鈴木径男、飴井保雄 プロデューサー:丹羽多聞アンドリウ 脚本:林誠人 撮影:近江正彦 編集:大永昌弘 音楽:遠藤浩二 主題歌:黒川芽似『ヒコーキ雲』 VFX:諏訪部正英 VFXディレクター: 古田亘 効果:小山秀雄 照明:紺野淳一 整音:西岡正巳 録音:奥泉秀信 助監督:佐伯竜一
出演:黒川芽似、堀北真希、夏帆、草刈正雄、山下真司、金剛地武志、佐藤二郎

以前の投稿記事で取り上げた青春ドラマ映画作品「ロボコン」の監督、 古厩智之をはじめとした気鋭の若手監督とフレッシュなアイドル、そして、ふざけているだけかのようで、その実そうとばかりもいえないやの、実験的、画期的手法を多用した意欲的な作品づくりで人気を集めるBS-iの連続ドラマ『ケータイ刑事』シリーズ映画化作品です。

気恥ずかしいくらいにオーソドックス(ベタ)ともいえるやのネタにオチで構成された作品やにも思いますが、TVシリーズで見馴れているか、世界観に浸れれば十二分に堪能出来るやに思います。パロディ・セルブパロディや楽屋オチなど、遊び心というか、ふざけ心満載です。

とにかく銭形三姉妹、二代目・次女"泪"役の黒川芽似さん、三代目・三女"舞"役の掘北真希さんと四代目・四女"零"役の夏帆さん皆可愛いです。笑顔も素敵で見得を切る様も可愛らしく決まってます。中でも"零"役の夏帆さんはピカイチと思います。警察手帳の写真も可愛いです。背が伸びたのか、顔立ちもチョッと大人びた感じがします。"GAMERA"ネタには、ニヤリとさせられます。誘拐される設定の宮崎あおいさん扮する初代・愛もチラリとでも良かったので、出演して欲しかったです。
キャストもTVシリーズでお馴染みだったりもして中々憎いやに思います。
山下真司さん扮するスニーカー刑事こと"伍代潤"巡査部長と草刈正雄さん扮するバーボン刑事こと"高村一平"巡査(ふるさん、彼の学歴の設定はぺパーダイン大学卒業とのことですヨ)の親戚刑事共演も嬉しいです。"伍代"刑事役の山下真司さんが髪の毛長めで若々しく六曲署、否、七曲署勤務時の"五代"刑事の面影を感じます。「復活の日」ネタにもニヤリと嬉しくなります。草刈さんは、今もそうですが、主演当時は本当にハンサムでしたし、共演のオリヴィア・ハッセーも綺麗でした。因に山下真司さんの方が草刈正雄さんより一つ年上です。
水野晴郎さんも出演されています。

人体自然発火のことを"スポンティニアス・コンバッション"ということを本作で初めて知りました。

不思議と馬鹿らしくなど感じたりしないのです。

一昔以上前の人気TVコメディシリーズ『やっぱり猫が好き』の小林聡美さん演じる恩田三姉妹の三女、"きみえ"が確か(第1シーズン:幕張編)の第58話『鴨田さんが死んだ日』の回で、うろ覚えですが、浅香唯さんが演じたスケバン刑事風間唯("麻宮サキ")のモノマネでヨーヨーを振り回しながら"おまんら、許さきに"と言っていたのが(斉藤由貴さんのモノマネも良くしていましたので...)、かすかながら懐かしく想い出されました。

ケータイ刑事シリーズの劇場版作品第2弾「ケータイ刑事 THE MOVIE2 石川五右衛門一族の陰謀〜決闘!ゴルゴダの森」が来週公開予定とのことです。主演は銭形四姉妹の従姉妹に当たる第5代・"雷"を演じる小出早織さんで、共演は相棒の"岡野富夫"役の国広富之さん、"零"役の夏帆さん、鑑識の"柴田束志"役の大堀こういちさん、"松山進"役で松崎しげるさん、星野真理さん、本作同様"難波一弘"警視監役の宍戸錠さんや"水野”警視長役の水野晴郎さん等とのことです。因に平山あやさん扮するBS-iで放送されていた連続TVドラマ『ルーズソックス刑事』の銭形紅子も彼女等の従姉妹です。

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2006年10月24日

「SHINOBI」

「SHINOBI」
2005年製作 日本
監督:下山天 アクション監督:下村勇ニ 製作:久松猛郎 製作総指揮:迫本淳一 原作:山田風太郎『甲賀忍法帖』 脚本:平田研也 撮影:近森眞史 美術:磯見俊裕 編集:川瀬功 音楽:岩代太郎 主題歌:浜崎あゆみ CGでレクター:林弘幸 VFXプロデューサー:浅野秀二 コンセプトデザイン:山田章博 衣装デザイン:小川久美子 証明:渡邊孝一 録音:鈴木肇 助監督:足立公良 テクニカルアドバイザー;横石淳
出演:仲間由紀恵オダギリジョー、黒谷友香、椎名桔平、沢尻エリカ、りりィ、寺田稔、坂口拓、升穀、虎牙光揮、木下ほうか、伊藤俊、三好健児、石橋連司、松重豊、永澤俊矢、北村和夫

『バジリスク』として漫画TVアニメ化もされている山田風太郎さんの原作小説『忍法長』シリーズ『甲賀忍法帖』を大胆に脚色して描かれたアクション・時代劇・ロマンス映画作品とのことです。日本で初めて製作費を個人向け映画ファンドで調達(総製作費の内約三分の一)して製作された作品とのことでもあります。

公開後酷評をちらほら目に耳にしていたので、観ようかどうか迷っていたのですが、仲間由紀恵さんとオダギリジョーさんの主演で上述の通り、これまで『魔界転生』をはじめ、数多くの小説が映画化されている山田風太郎さんの原作ということもあり、観てみることにしました。

ファンであるオダギリジョーさんと好きな仲間由紀恵さんが主演していることもあり、ひいき目やも知れませんが、意外に見応えある作品との感想です。

キャストは主演のお二人に加え、椎名桔平さん、黒谷友香さんや沢尻エリカさんも主要な役で出演されていますが、派手やか、華やかな印象ではありません。でも中々好い配役やに思います。主演のお二人は抑制を効かせた演技が、却って魅せているやに思います。オダギリジョーさんの演技と醸し出す雰囲気はやはり好いです。役者さんたちの演技は総じて抑制的で嫌みがなく、表情が好いやに思います。
衣装は悪いというのではないのですが、些か違和感を覚えてしまいます。

愛と運命の葛藤が大きなテーマやに思いますが、浮き彫りにして見せるような演出は(敢えて)施されていないやに見受けられます。演出に妙味は(気づいていないだけなのか、)さして感じられず、オーソドックスながらも、作品として観ると意外と趣きが感じられなくもないやに思います。アクションはSFX過多な気もしなくはないですが、効果的にも感じられ、悪くないやに思います。 映像は澄んだ空気感が感じられ、綺麗やに思います。特に情景描写の美しさは素敵やに思います。スペクタクルさやダイナミズムは然程感じられず、見所という見所は見出し難く、娯楽性に富んでいるとは感じられませんが、ゴテゴテ感のない、表現は変やも知れませんが、忍びやか、控え目で抑制的なドラマチックさの感じられる小ぢんまりとした作品との印象です。不条理な運命の痛ましさや哀しさと、それに抗する強い想いの力にチョッピリジーンとしたりします。終いも悪くなしと見ます。
もう少し抑揚をつけても良かったやに思います。

エンドロールで流れる浜崎あゆみさんが歌う、主題歌『HEAVEN』も好いやに思います。

パッとしない作品と見るか、コンパクトにまとまった作品と見るかで評価がわかれるやに思います。

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2006年10月18日

「盲獣VS一寸法師」

「盲獣VS一寸法師」
2001年製作 日本
監督/プロデューサー/脚本/撮影:石井輝男 原作:江戸川乱歩 特殊効果:西村嘉廣 美術:鈴屋港、八木孝 編集:矢口将樹、山下暁子、氏家とわ子 音楽:藤野智香、大岡春 照明: 野口素胖 美術協力:原口智生 録音:岩井澤健治 助監督:西川裕、林真由美、山本降平
出演:リリー・フランキー、塚本晋也、平山久能、リトル・フランキー、藤田むつみ、橋本麗香、薩摩剣八郎、手塚眞、園子温、熊切和嘉、中野貴雄、及川光博、バンチューホー、しゅう、丹波哲郎

日本を代表する推理作家、江戸川乱歩さんの小説は、そのオドロオドロしさが苦手で小学生の時分に図書室で児童向けに出版された作品を読んだことがある程度で、映画やTV映画・ドラマ化作品も数多くありますが、一部しか観ておりません。映画化作品では実相寺監督のエロティック・ミステリー「屋根裏の散歩者」とエロチック・サスペンス・ミステリー「D坂の殺人事件」や浅野忠信さん主演のホラー・ミステリー・ロマンス「乱歩地獄」が印象に残っています。TV映画化作品では何といっても天知茂さんが名探偵明智小五郎を演じるサスペンス・ミステリー『江戸川乱歩の美女』シリーズが印象に強いです。

本作の監督を務める石井輝男さんは当然存じ上げてはいますが、撮られた作品で観たことがあるのは、高倉健さん主演の「網走番外地」シリーズをはじめとした任侠アクションものの一部と清水一行さん原作(だったのですネ)、小川真由美(眞由美)さんと岡田裕介さん主演のサスペンス「実録三億円 時効成立」くらいと思います。それもあってか、"キング・オブ・カルト"の異名は余りピンと来ませんでしたが本作を観てなるほどと思いました。本作はミステリー・サスペンス小説『パノラマ島奇談』をベースに、江戸川乱歩さんの諸作を取り入れた怪奇ドラマ映画作品「江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間」以来30年振りに江戸川乱歩さんの世界を映像化、同氏の原作サスペンスロマン小説『盲獣』とミステリー小説『一寸法師』を融合した作品とのことです(着想の妙が漂う感じがします)。近所のレンタルビデオ屋さんで何度となくDVDのパッケージを棚から手に取っては戻し、また手に取ってを繰り返し、借りて観ようかどうか悩んだ挙句、バラエティに富んだ異色の(ある意味豪華な)キャストに惹かれ借りて観てみることにしました。

友人の塚本晋也さん扮する私立探偵"明智小五郎"と共に事件解明に挑む主人公の三文小説家、"小林文三"役のリリー・フランキーさんは、自然体で肩の力が抜けていて、嫌味がなく、意識されているやのところでも思いの外無難な見せてくれているやに思います。義娘が自宅の密室からこつ然と姿を消し、同郷の知り合いである"小林”に明智小五郎を紹介して欲しいと頼む富豪の人妻" 山野百合枝"役の橋本麗香さんは、本作のみならず。出演映画作品の殆どを観ていますが、不思議な雰囲気を漂わせる女優やに思います。失踪する浅草レビューのスター"水木蘭子”役の藤田むつみさんは中々妖艶淫靡に映ります。SF特撮・怪獣映画の金字塔、平成「ゴジラ」シリーズのスーツアクターとして有名な"人形師安川"役のベテラン俳優、薩摩剣八郎さんの本作に於いては異質にも感じられていまうしっかりとした演技も面白いです。その他、主に監督業を務められている手塚眞さんと園子温さんや、及川光博さんや丹波哲郎さんが出演されているのも嬉しい気がします。

物語が展開して行く前半はまずまず観れたのですが、後半、謎解きに入る辺りから画面に注意を保てなくなってしまいました。造り上げようとしている世界観、倒錯的でサディスティックなエロティシズムやグロテスクさを表したかのセットの造形などは、余りピンと来ませんが、ロケーションの情景描写は中々好い感じがするやに思います。お金を掛けられていないやに思われるせいか、演出・演技が散漫な感じがするのと、ここという見せ場が見受けられないのは、この手の作品だけに残念な気がします。エロティシズム(淫靡さ)は感じられなくもないですし、グロテスクさの描写もこれくらい緩さがあった方が私的には好いですが、期待する向きには、見応えあるのでしょうか。

丹波哲郎さんのご冥福を心よりお祈り致します。

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2006年09月24日

「本陣殺人事件」

*おことわり*
記事の続きには、まだ本映画作品を見ていない方が読まれると多少とも作品の面白さを損なう可能性がある内容が含まれているやも知れません。気になる方はお読みにならないことをお勧めします。


「本陣殺人事件」
1975年製作 日本
監督/脚本:高林陽一 製作:高林輝雄 製作/美術:西岡善信 企画:葛井欣士郎 原作:横溝正史『本陣殺人事件』(角川文庫/創元推理文庫/春陽堂文庫他) 撮影:森田富士郎 音楽:大林宣彦 助監督;南野梅雄
出演:中尾彬、田村高廣、新田章、高沢順子、東滝子、伴太郎、山本織江、水原ゆう紀、加賀邦男、東野孝彦、石山雄大、海老江寛、沖時男、原聖四郎、小林加奈子、三戸部スエ、服部絹子、中村章、常田富士男、村松英子

このブログの投稿記事でも二度取り上げている今年末公開予定、現在撮影中の市川崑監督、石坂浩二主演リメイク版映画作品「犬神家の一族」の名探偵、金田一耕助のデビュー作で、密室殺人を戦後初めて扱った作品とのことである同名原作小説のATG(日本アートシアターギルド)製作で、未見ですが、1947年に松田定次監督、片岡千恵蔵主演映画作品「三本指の男」に次いで二度目の映画化作品です。原作の時代設定は昭和12年であるのを本作では製作当時の現代に変更されており、若干脚色もされていますが、原作を損なうことなく、十二分に面白いと思います。

当作を観るのは、もう何度目になりますでしょうか。金田一耕助を主人公とする映画化作品で最も好きなのは本作です。ATG映画の雰囲気が、作品とマッチし、引き立て、盛り上げている気がします。

殺人事件の現場となる一柳家の当主”一柳賢蔵”役の田村高廣さん、殺害された"賢蔵”の新妻”克子”の叔父”で金田一耕助にその事件の調査を依頼する"久保銀造”役の加賀邦男さんやTVコメディドラマ『あばれはっちゃく』シリーズのお父さん"長治”役で馴染み深い"磯川警部"役の東野孝彦(英心)さんも好いですが、何といっても"金田一耕助”役の中尾彬さんであります。先日"F氏”とも話しましたが、映画製作当時の若者の服装、ジーンズ姿というリアルタイムな出で立ちも初の試みではなかったと、本作は初めて観たのは、市川崑監督版映画作品「金田一耕助」シリーズを何作か観た後のことで、公開当時には観ておりませんので、原作やそれまで観た映画・テレビドラマ化作品で植え付けられていた蓬髪をかきむしってフケを散らす姿と、興奮すると飛び出す吃音癖、そしてねずみ色のおかま帽に着物(袴)姿というイメージとはがらりと変わって、とても新鮮に映りました。眉間の皺が険しくも嫌みでももなく、一種中尾さんのトレードマークのように感じます。本作ではチラッとしか見せておりませんが、出来ませんが、中尾さんの狼狽や思い詰めた演技は秀逸で好いと思います。好奇心に満ち、悪戯っぽくも見える表情の演技や美味そうなお茶の飲み方や沢庵の食べ方も好いです。"鈴子”役の高沢順子さんは、エキゾチックで、艶かしく綺麗と思います。第19代クラリオンガールを経て女優として活躍され、現在は結婚されて芸能界を引退されているている立河宜子さんに顔立ちがチョッと似ているやに思います。東野孝彦さんは、恐らく油で撫で付けたであろうリーゼントぽい髪型も中々様になっていると思います。常田富士男さん扮する"三本指の男"が本当に辛そうに映ります。

撮影アングル、音と色(背景の朱色)の効果が印象的です。しめやかな祝言の席と、賑やかな裏方の宴に象徴されるように、同じ世界に幾つもの世界が同居していることを感じさせれます。折り畳み式の目覚まし時計が懐かしいです。"そこいやら"や"閂"という言葉の響きがも懐かし気で、何故か耳心地よい感じがします。
卓越しているか否かは別にして、密室殺人のトリックがシッカリしていて、明解なところは好いです。捜査の合間の一時に、小さな橋の欄干に腰掛けながら"金田一耕助"が"磯川警部”に煙草を一本分けて与え、2人でくゆらせるシーンが好きです。ズームから引きになる映像や村松英子さん扮する"克子”の高校教師時代の先輩"白木静子”が事件後"克子”に関する新事実を伝えに一柳家を訪れての帰途の煉瓦屋根の塀脇での後ろ姿のショットも好いです。セピア色で映される再現シーンが何となく悪戯っぽく、嘘っぽくて面白く、滑稽な感じすらしててしまいます。

本作品中触れられている映画やミュージカル化されてお馴染みの『オペラ座の怪人』の著者である小説家、ガストン・ルルーの推理小説で"密室トリック"を扱った古典的傑作として高く評価されている『黄色い部屋の秘密(もしくは黄色い部屋の謎)』は読んだことがありませんので、何れは読みたいと思います。

映画監督の大林宣彦さんが音楽を担当されています。気のせいやも知れませんが、音楽だけなのだろうかと思わせられる"大林テイスト"っぽい描写が見受けられるやに思ったりしてしまいます。

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2006年09月08日

「天河伝説殺人事件」

「天河伝説殺人事件」
1991年製作 日本
監督:市川崑 製作:角川春樹 プロデューサー:宮澤幸男、霜村裕 原作:内田康夫『天河伝説殺人事件』(角川文庫/角川書店) 脚本:久里子亭、日高真也、冠木新市 撮影:五十畑幸勇 美術:村木忍 編集:長田千鶴子 音楽:宮川富実夫、谷川賢作 音楽プロデューサー:石川光
証明:下村一夫 助監督:永井正夫
出演:榎木孝明、岸恵子、日下武史、財前直美、山口粧太、岸田今日子、山口真司、岸部一徳、奈良岡朋子、大滝秀治、神山繁、加藤武、伊東四朗、石坂浩二、常田富士夫、酒井敏也、岡本麗、出光元、横山道代、木原三貴、斉藤洋介、小林昭二、貞永敏、井上博一、立原麻衣、松木康夫

角川映画十五周年記念第二弾作品とのことです。第一弾はどの作品だったのでしょうか。公開当時劇場に観に行きました。1976年に角川映画第一弾として公開され、当時大ヒットを記録、日本中に原作者である横溝正史さんと主人公の私立探偵、金田一耕助の一大ブームを巻き起こした「犬神家の一族」、そして今年末30年の時を経て公開予定、現在撮影中、リメイク版映画作品の監督を務める市川崑監督映画作品です。複数の企業が製作資金を共同する出資製作委員会方式で製作された映画作品で、公開当時はアニメーション作品(奇しくも市川崑さんが監修を務められている松本零士企画/構成/原作、りんたろう監督SF・ファンタジー・アドベンチャー映画作品「銀河鉄道999」が先駆けといわれているとのことです)以外ではまだ現在程一般的な映画製作システムではなかったような気がします。現在では映画の製作費への投資を一般の投資家から募るファンド型映画製作方式で製作される映画作品も増えて来ているようです。

本作はベストセラー作家、内田康夫さんによるヒット小説、浅見光彦シリーズの同名原作小説の映画化作品ですが、本作も含め内田さんの小説は一冊も読んだことはありません。

イントロダクションは市川崑監督版映画作品「金田一耕助」シリーズの金田一耕助役でお馴染みの石坂浩二さんによるナレーションも相俟って中々好いやに思います。

暗く深みがあり、尚且つ透明感があり曰く有り気な映像は、"金田一耕助シリーズ"で馴染みある市川崑監督テイスト満点でワクワクします。白ばみ加減がやや強めやに感じられます。

役者さんたちの演技は、皆さんまずまず達者で、安心して観られます。
"水上秀美"役の財前直美さんを映画作品で観たのは本作が初めてで、綺麗な女優さんさんさなとの印象を抱いたのを覚えております。演技は空回り気味なところも見受けられなくもないですが...。 この頃は眉毛を太めに強調するメイクが流行っていたのですネ。主人公の"浅見光彦”を演じられている榎木孝之さんもまずまず好いと思います。さり気なくもしっかりとした演技をされていると見ます。"浅見光彦”役は、市川崑監督版「金田一耕助」シリーズで私が一番好きな「病院坂の首縊りの家」で"金田一耕助"の助手的役" 日夏黙太郎"を演じた草刈正雄さんでも好かったのにと思ったりします。同作で横溝正史さんと掛け合いをするラストシーンからも、若い時分に金田一耕助役を演じて欲しかった気もします。"水上和鷹”役の山口粧太さんの配役は役所には合っていないこともないやに思いますが、印象に弱い感じがします。言葉を悪くして言うと辛気臭い感じがしてしまいます。 "秀美”と"和鷹”の祖父で能楽水上流の宗家、"水上和憲”役の 日下武史は、あり過ぎるくらいのインパクトと存在感を放っています。ふっと抜きを入れるのは演技の妙と見ました。 "道伝正一"を演じる岸部一徳さんは、役所もあると思いますが、怪しさと嫌らしさが光っています。お面を取っても同じ目なのは不気味です。 "仙波警部補"に扮する、こちらも市川崑監督版「金田一耕助」シリーズでお馴染みの加藤武さんのキャスティングは嬉しいです。"よっし!わかった!!"には嬉々としてしまいます。粉薬を吹くシーンが印象的です。 "仙波警部補"の部下、"倉田刑事"役の斉藤洋介さんは役にハマって、作品のクッションとして効いていますし、非情に好い役者さんやに思います。 物語の核となる"長原敏子"役の岸恵子さんは役柄にマッチしていて、奥ゆかしくも妖しく魅力的で、とても上手で好いと思いますが、インパクトは今一つな気がします。変な言い様やも知れませんが、気品が魅力的に過ぎる気がしてしまいます。"敏子”が営む天河館という旅館で働く"石渡ユリ"役の岡本麗さんが今一つ効いていず、印象に薄いのは残念であります。

本作の榎木孝明さんや水谷豊さんをはじめ多くの俳優さんが、主人公の浅見光彦を演じTVドラマ化はされ、人気を博している同シリーズですが、映画では続編の「高千穂伝説殺人事件」の撮影がクランクインしていたのにも関わらず、不祥事により製作が中止された経緯はあるとのことですが、その後も映画化されていないのは、権利の関係等もあるやには思いますが、わかる気がします。公開当時は映画作品として、時代にあわなくなっていたのやも知れません。

同じ市川崑監督映画作品にして、「金田一耕助」シリーズと(しなければ良いのですが、)比較してしまいますと、原作者が異なるというのは然ることながら、物語の設定が現代であることが時代にマッチしなかったのか、どうしても独特のオドロオドロしさが薄い気がしてしまいます。ミステリーは強く意識させられず、ミステリーテイストの"いわく"のドラマといった感じがします。ストーリー展開は、特にドラマチックでもドラスティックにも感じられませんが、カット割の妙のせいか、スピード感があるやに思います。抜きの画は効果的なのでしょうか。 所々に差し込まれておる情景描写の画にはハッとさせられるものがあります。能をテーマにしていることは目新しいですが、事件との絡みという意味では、インパクトに弱いやに思います。これはしょうがないのやも知れませんが、動機についても背景が浅く、説得力に欠ける気がします。"剣持先輩"を演じる伊東四朗さんは味があって好いです。"剣持先輩"が所長を務める日本国語学研究所のシーンは、何しているところなんだろうと思えますし、雰囲気が好いです。ラスト前の榎木さんと石坂さんの掛け合いのシーンには、お約束っぽくも、粋な演出とチョッとニンマリさせられますし、ラストは嫌いではなく、案外印象的なのです。

吉野の里は豊かな自然に恵まれた美しい土地に映ります。

神事にまつわるお能の家をめぐり、非道の仕打ちの報いか、業と無念と愛情にかられ罪を犯し、悲劇の連鎖を生み、全てを失ってしいまう最悪の悲運を齎してしまうのです。

天河神社、薪能、『五十鈴』『道成寺』『雨降らしの面』そして、殺人事件。

お正月の深夜とかにテレビで観るのには、好いやに思います。

北久保監督伝、押井守監督談の通り、本当に市川監督と長田千鶴子さんの手によるエディティングは、それだけでも見応えのあり見所と思います。仕掛けも甘く、捻りも効いていない気はしますが、とにかく編集の妙には目を見張らされます。台詞なし効果音、音楽と画のみで仕上げたら、凄い作品になるやも知れない、などと考えたりします。

市川崑監督はフランツ・カフカの小説等の映画化作品を(短編でも)撮ってみたら面白いやに思います。

映画というのは、素材さえあればどうとでもなり得てしまうものなのだと錯覚させられてしまいもします...才能さえあればの話しですが...。

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2006年08月09日

「ひとごろし」

「ひとごろし」
1976年製作 日本
監督:大洲斉 製作:永田雅一 企画:金丸益美 企画/美術:西岡善信 原作:山本周五郎『ひとごろし』(新潮文庫) 脚本:中村努 撮影:牧浦地志 編集:山田弘 音楽:渡辺宙明
助監督:奥家孟
出演:松田優作、高橋洋子、五十嵐淳子、丹波哲郎、岸田森、桑山正一

山本周五郎さん同名小説の映画化で、そもそもお話自体が斬新・異色で面白いやに思います。コント55号主演、野村芳太郎監督映画作品「初笑い・びっくり武士道」と同じ原作の映画化(リメイク)でもあるとのことです。公開当時はまだ10歳で、リアルタイムでは観ておらず、ビデオがリリースされてからレンタルビデオ店で借りて観たのが初めてでした。以前に当ブログに記事投稿した泡坂妻夫さん原作、松田優作さん主演ミステリー映画作品「乱れからくり」同様、優作さんにしては"オッと"と、それまで抱いていたイメージとまたチョッと違った印象を受けたのは正直なところですが、そのギャップが一際作品を興味深く、そして優作さんのまた別の一面を魅力的に魅せてくれているやに感じられます。何分松田優作さんファンなものですから...。

テレビ版もあったやに記憶しています。

人間心理を巧みに操り強さを仇とするといったコンセブトによる話の組み立てが何とも素敵です。面白いです。コミカル、ユーモラスでホロリともさせられます。

日頃の自分の情けなさ、不甲斐無さから不憫な思いばかりさせている五十嵐淳子さん扮する妹"かね"への罪滅ぼしと名誉挽回のために一念発起して藩主の可愛がっていた岸田森さん演ずる御側小姓"加納平兵衛"を理不尽な闇討ちの返り討ちで斬った誰もが恐れおののく丹波哲郎さん演じる剣豪"仁藤昂軒"を、藩主に代わって討つ「上意討ち」に志願し、命を受けた松田優作さん扮するところの越前福井藩きっての臆病者で物語の主人公"双子六兵衛"が前代未聞・奇想天外な方策で「上意討ち」を図ります...。
 
主人公"六兵衛”を演じる若き日の松田優作さんをはじめ、キャストが魅力的です。優作さんはその野性味、狂気や凄みを気の弱い情無さで覆い隠しての若々しい演技と時折垣間見せる私のイメージの優作さんらしさとの微妙な(アン)バランス、アンビバレンスが新鮮に映って好いです。執拗に"昂軒"を"人殺し!"と叫ぶ姑息な卑怯者ぶりも、悪びれて嫌みなのはそうなのですが、それでも過ぎずてはいず、潔い感じさえして好いです。チョッとした台詞、台詞回しや所作が面白く、恐怖に怯え、怖じ気付く様には狂気さえ感じ素敵と思います。もじもじ、うじうじする様がいじましくて新鮮で可笑しくてチャーミングやに思います。髷姿もなかなか様になっているやに思います。やはり走るシーンでは、しなやかで美しく力強い躍動を感じます。ラストで"六兵衛"の目が野獣の、松田優作さんのそれになるのが印象的で象徴的に感じます。
優作さんのようにスブラッスティックスな演技が出来る俳優さんはなかなかいないやに思います。
丹波哲郎さんは質実剛健、まさしくし侍を演じておられます。執拗な"人殺し!"にも断じて怯まぬとの強靭な精神力を見事に表現されていると感じます。
五十嵐淳子さん(旦那様の中村雅俊さんとは優作さんと雅俊さん主演のTVドラマ『俺たちの勲章』での共演が切っ掛けで結婚されました)演じる"かね"と旅籠の若女将"およう”役の高橋洋子さん(TVアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』のオープニングテーマ『残酷な天使のテーゼ』劇場版のエンディングテーマ『魂のルフラン』を歌って大ヒットを飛ばした歌手の高橋洋子さんとは言わずもがな別人ですし、格闘家でもありません。NHK朝の連続テレビ小説『北の家族』のヒロイン役でお茶の間に知られ、第48回アカデミー賞外国映画賞にノミネートされた[受賞したのは黒澤明監督の「デルス・ウザーラ」です]熊井啓監督、栗原小巻さん主演映画作品「サンダカン八番娼館 望郷」で田中絹代さん演じる“からゆきさん”と呼ばれるかつて貧しさ故に少女で南方の島の娼館へ売られた過去を持つ一人の孤独な老女"北川サキ”の若き日を演じて女優として評価を得、小説『雨が好き』で第7回中央公論新人賞を受賞、自ら監督、脚本、主演し映画化するなど活躍された女優さんで小説家です。そういえば最近トンとお目にかかりませんが、お元気なのでしょうか。優作さんとは文学座付属演劇研究所で同期とのことです)は可愛いです。

"六平衛”の"臆病者でも卑怯者でも人殺しよりはマシでしょう"の台詞は負け犬の遠吠えにも聴こえなくもないですが、何やら妙に説得力があり、痛烈で痛切に心にこだまする感じがします。

心許な気な上位討ちの道中を、旅籠の女将"かね"との珍道中ぽくするくだりはアクセントとなっていて面白いと思います。

"六兵衛"は気が弱く臆病なのはそうかもしれませんが、心根は真っ直ぐな妹想の兄で、人の気持が分かり、賢く強かで真贋も持ち併せていて尚、彼が身を置く武士社会(武士道にあらず、官僚組織の悪しき部分としてのそれの意です)のしがらみの中において彼はそれを活かそうとは思わないのか思えないのか、せずに生きているやに感じられ、その意味ではアウトローとして、生きる術としては妥協してみせても信念や信条は揺るがせない人なのやに思います。何をなすか、何が大切かを明確に掌握し、代替でなくそれを完遂するのであります。
"昂軒"の疲弊、狼狽、辟易、悲しさ、寂しさ、辛さ、志、強さ、信念、信条、実直さ、潔さがひしひしと感じられて痛いようです。

"六兵衛"も"昂軒"も只、あれる限り自分であろうとしているやに思います。

人の道で最も大切で尊ばれるべきは、面目にあらず、実質・実情・内面にあるやに思われます。武士の道とて然りやに思います。大切なことというのは往々にして、見えない、見え難いものやにも思います。

非常に簡潔、コンパクトで終いは唐突やに感じられなくもないですが、あっさりしていて潔しと評価したいと思います。

人も世も情け。捨てる神あれば拾う神あり。

刀の汚れと斬らぬに限る。

松田優作さんは泉鏡花原作、鈴木清順監督アーティスティックでファンタジックなロマンス映画作品「陽炎座」で主人公"松崎春弧"を演じておりますが、同じ泉鏡花の小説『高野聖』が映画化されていたならば、主人公の若き日の旅僧を若き日の優作さんに演じて欲しかった気がしたりします。というわけで、映画化の機会がありましたら、ご子息の龍平さんか翔太さんに是非演じてもらいたいと思ったりしています。主人公のイメージに合っていると思いますし、興味深い作品になり得ると思います。

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2006年07月16日

「探偵事務所23 くたばれ悪党ども」

「探偵事務所23 くたばれ悪党ども」
1963年製作 日本
監督:鈴木清順 原作:大藪春彦『探偵事務所23』(光文社文庫) 脚本:山崎厳 撮影:峰重義 美術:坂口武玄
音楽:伊藤晴美
出演:宍戸錠、星ナオミ、笹森礼子、川地民夫、初井言栄、楠郁子

大藪春彦さんの同名連作短編シリーズ小説『探偵事務所23』の第一話『都会の墓
標』を原作とした、天才的アルチザン(職業監督)鈴木清順監督の手による映画化作品です。中・高校生の頃、大藪春彦さんの小説は好きで貪るようにして読みあさりました。 私が生まれる以前の作品です。同シリーズ「探偵事務所23 銭と女に弱い男」は残念ながら観れておりません。

脚色によりテイストは異なりますが、それは気になりません。原作の野性味ある狡猾でハードなイメーシよりもスタイリッシュでユーモラスなエッセンスで味付けされた仕上がりですが、そもそも原作からして大藪春彦さんの著作にしては異色(権力と手を携える)というか、マトモな方というか(笑)、大人し目な話なので悪くはないです。この作品に限っては、派手に人が死に殺されるのは原作よりも本映画作品の方が上手をいているやに思います。ハードボイルド&ミュージカル&コメディとのことで、ハチャメチャな感じもするところもなくはないですが、重苦しくない軽い感じの仕上がりが、日活プログラムピクチャーっぽくて、これはこれで好いと思います。本作と同じ鈴木清順監督の後年の映画作品「ツィゴイネルワイゼン」「陽炎座」「夢二」にも共通していえるのか、あっけらかんさ加減が好いです。換骨奪胎というよりも斬新な作品との印象が強いです。
 
主人公の私立探偵田島英雄役の"映画スター"、早撃ち"エースのジョー"こと宍戸錠さんのまた一味違ったの魅力が満載です。ダンディ、スタイリッシュ、ユーモラス、タフで悪っぽくて、チョッと勿体ぶった感じが好いです。随所で錠さんの運動神経の良さをあらためて認識させられます。"サリー"役の星ナオミさんの可愛らしいセクシーさが素敵です。"真辺"役の川地民男さんは菅原文太さんとコンビの映画作品「まむしの兄弟」シリーズのコミカルだったり、もうチョッと灰汁が強かったりの印象が強いですが、個性的ながら、顔がシュッとして中々のハンサムボーイです。"熊谷警部"役の金子信雄さんは深作欣二監督映画作品「仁義なき戦い」シリーズの山守組組長役のエキセントリックさが印象に強いためか、本作でのチョッピリコミカルさをエッセンスにした抑えた演技が、却って引き立って面白く映ります。入江役(この役は原作と設定がかなり異なります)の若き日の(当時30代前半です)初井言栄さんがいい味を出しています。

錠さん扮する"田島”と星さん扮する”サリー”が『63年のダンディ 』を歌い踊るシーンは素敵です。劇中で歌われる歌の歌詞が面白いです。芝居じみた台詞と大げさな演技もかえって新鮮に映ります。抜け抜けとしたともいえるかの斬新なアクションシーンの演出、閉じ込められ、火を放たれた地下室の天井をマシンガンで撃ち抜き脱出するシーンは秀逸に感じます。 今やパロディと化しているやの感のあるステレオタイプなドンパチのシーンも安心して楽しめて好いです。原作もかなり007を意識している風に感じられますが、それっぽいエンディングもまた好いです。微妙な台詞や細かな描写は結構つくり込まれているやに感じます。台詞は臭いやも知れませんが、カッコ好く決まっていたりします。

たまに観るなら十分楽しめます。

かんこつ‐だったい〔クワンコツ‐〕【換骨奪胎】
[名](スル)《骨を取り換え、胎(こぶくろ)を取ってわが物として使う意》先人の詩や文章などの着想・形式などを借用し、新味を加えて独自の作品にすること。

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2006年07月12日

「オペレッタ狸御殿」

「オペレッタ狸御殿」
2004年製作 日本
監督:鈴木清順 プロデューサー:小椋悟、片嶋一貴 企画:遠谷信幸 脚本:浦沢義雄 撮影:前田米造 視覚効果:石井教雄 プロダクションデザイン:木村威夫 美術:安宅紀史 編集:伊藤伸行 振付:滝沢充子 音楽:大島ミチル、白井良明 衣装デザイン:伊藤佐智子 照明:矢部一男 録音:山方浩 助監督:末永賢
出演:チャン・ツィイー、オダギリジョー、薬師丸ひろ子、由紀さおり、山本太郎、高橋元太郎、パパイヤ鈴木、篠井英介、市川実和子、平幹二郎、美空ひばり(デジタル出演)

鈴木清順監督にはどうしても自分の手で撮っておきたい企画があり、それが、本映画作品のオリジナル映画作品でご自身青春時代に胸を躍らせながら観た“狸御殿シリーズ”とのことです。1939年から59年にかけて、美空ひばりさんや市川雷蔵さんなど往年の大スターが出演し、狸の国を舞台に笑いあり涙ありの物語を歌と踊りで綴り、大ヒットを記録した人気シリーズです。本リメイク作にも美空ひばりさんを”デジタル出演”させています。

宣伝文句通り豪華絢爛、切なくもユーモラスでハッピーな恋のオペレッタ・ミュージカル時代絵巻です。

鈴木清順監督が織りなす映像美の世界に浸れれば文句なしに楽しめると思います。エキセントリックやも知れませんが、オペレッタ・ミュージカルということもあってか、監督の作品に"しては"それ程癖のある(シュールとか摩訶不思議に過ぎる)感じの作品ではないと思います。抑えを効かせているやに思います。上述の”狸御殿”シリースは何れも未見でして、木下恵介監督映画作品「楢山節考」がチョッと頭を過りました。

わけあって唐の国から狸御殿に招かれている美しい"狸姫"を演じるアカデミー賞外国語映画賞を受賞したアン・リー監督映画作品「グリーン・ディスティニー」やジャッキー・チェンとクリス・タッカー主演のハリウッド大作映画作品「ラッシュアワー2」出演し、2001年にPeeple誌の<世界で最も美しい50人>に選ばれるなど国際的に注目をされ、着実に成功を収めている美人女優チャン・ツィイーさんと美も富も名声も全て一番を追求するがらさ城城主の安土桃山の世継ぎである息子、"雨千代”を演じるメジャー系からインデペンデント系までさまざまな映画のさまざまな役を精力的に演じている色気、野性味とユーモアのセンスを持ち合わせた実力派・個性派俳優として急成長しているオダギリジョーさんの共演はオダギリジョーさんファンとしては嬉しい限りですし、お二方共美しく、切なく愛嬌があって、そしてチャン・ツィイーの踊りはともかく、歌と踊りが思いの外上手なのにはチョッピリ驚かされました。"ソーダー水の〜 雨が上がって..."とお二人でデュエットする『恋する炭酸水』はどこか懐かし気で、すきとおって、可愛らしくておだやか、さわやかで心地良いです。オダギリジョーさんの抑えた正統派の演技とはだける着物の裾も艶かしやか(?)で素敵です。チャン・ツィイーさんは艶やかで清楚で麗しいです。"安土桃山"を演じる平幹二郎さん、由紀さおりさんや薬師丸ひろ子さんをはじめ脇を固める俳優さんたちも好いです。由紀さおりさん扮する"びるぜん婆々"が『びるぜん婆々のマイウェイ』を歌い上げるシーンは素敵です。”お萩の局”役の薬師丸ひろ子さんの歌声を久方ぶりに聴けて嬉しいです。”家老狸”を演じる高橋元太郎さんの歌もロックテイストで好いです。"びるぜん婆々"に"雨千代"を快羅山に捨てろとの命を受けた南蛮忍者、"駝鳥道士"を演じる山本太郎さんは本作に限らずやも知れませんが、出しゃばらずも存在感があって好いです。"駝鳥道士"を人に化けた狸と間違えて捕まえる農家の夫婦、"弥助"役の篠井英介さんと"コメ"役の市川実和子さんは効いていて好いです。大島ミチルさんと白井良明さんの音楽が好いです。歌詞も面白かったりします。

極楽蛙の鳴き声など随所でにやりとさせられます。狸のお面も可愛いです。

異なるもの同士が心を通いあわせることで伴う切なさ、強さ、美しさ、愛おしさが耽美的、幻想的、残酷で斬新な映像描写と演出で綴られております。前監督映画作品「ピストルオペラ」もそうですが、エロティック、妖艶、狂気的、自虐的、メランコリック、そしてフィルム・ノワールとの印象は薄いです。薄らぼんやりとして見え、感じられるから好いのやも知れませんが、逆に陰鬱で暗い中でのあっけらかんとした感じではないのです。自己性愛の要素はどうなのでしょうか...。

鈴木清順監督お得意の童、宴、見世物、歌、舞い踊りが嬉しいです。

泡沫の夜宴・演の体が感じられ、これには却って怖さを誘われたりします。

夢のごとき儚さなのか、夢の儚さなのかに馳せる切なく強く美しい想い。

客観的・俯瞰的・第三者的視点・視野による人と(人ならざるもの)の捉まえ方?

無情の情の愛?

鈴木清順監督は今年で御歳83歳とのことですが、老いてなお衰えぬその狂気に今後も期待が膨らむばかりです。

オダギリジョーさんは、これまでも様々な映画で様々な役を演じられて来ましたが、本作の"雨千代"役を演演じられたことで演技の幅を更に広げられてのではと思います。今後役者としての幅広い活躍が益々楽しみです。

オペレッタ【(イタリア)operetta】
普通のせりふと歌のまじった、軽い内容のオペラ。一九世紀後半以降、パリやウィーンを中心に流行した。軽歌劇。喜歌劇。

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2006年06月29日

「タナカヒロシのすべて」

「タナカヒロシのすべて」
2004年製作 日本
監督/脚本:田中誠 プロデューサー:小椋悟、小澤俊晴 エグゼクティブプロデューサー:熊沢芳紀、林瑞峰、重松修、松田誠、安井ひろみ 撮影:松本ヨシユキ 美術:安宅紀史 衣装:宮本まさ江 編集:伊藤伸行 音楽:白井良明 音楽プロデューサー:穂山賢一、北原京子 エンディングテーマ:クレージーケンバンド『シャリマール』 照明:矢部一男 録音:石川日出雄 助監督:末永賢
出演:鳥肌実、ユンソナ、加賀まりこ、高橋克美、宮迫博之、伊武雅刀、市川実和子、小島聖、西田尚美、矢沢心、日吉ミミ、島田珠代、南州太郎、小倉一郎、清水審大、宮崎彩子、手塚とおる、昭和のいる、昭和こいる、鈴木みのる、三宅弘誠、榊英雄、みのすけ、寺島進、上田耕一

主人公で平凡な日々を過ごす無趣味で人付き合いが不得手なかつら工場の事務員、32歳独身の”タナカヒロシ”、を演じる鳥肌実(鮫肌ではありませんでしたネ)さんは及川光博さんにチョッと似ている気がします。及川さんの方が、正統派の美男子とは思いますが、つまりは中々端整な顔立ちの好い男と思うということです。顔、目に力、迫力、凄みがあります(菅原文太さんなどとは異質ですが)。本作が初主演映画ですが、これまでの過激・強烈な風貌・演技・芸風とは全く異なり、抑えに抑えた淡々とした演技のエキセントリックな平凡さが好いのです。相変わらず刈り上げの頭が涼し気なのやら暑苦しいのやら何となくチャーミングです。

脇を固める俳優陣も、”タナカヒロシ”のお母さん役の加賀まり子さんをはじめとしたベテラン、実力派、個性派、若手、そして人気のタレントさんなど中々豪華で異色の顔ぶれです。駅前の屋台のたこ焼き屋のオヤジを演じる清水審大さんは前半チョコッとしか出ていませんが、人情味が感じられて好いです。中村雅俊さん主演のTVドラマ『ゆうひが丘の総理大臣』シリーズや出演された一連の角川映画作品を懐かしく思い出したりもしました。”タナカヒロシ”の友人“田辺”を演じる宮迫博之さんや料亭の仲居を演じる島田珠代さんの他、ベテランから若手までお笑い芸人さんも大勢出演されています(宮迫さんは今やすっかり性格俳優ですが)。ファンである西田尚美さんも”田辺”の奥さん役で少しだけ出ていますが、やや控えめも彼女らしい存在感は発せられていて好いです。彼女も市川実和子さんと同じように綺麗とはいわないのでしょうが可愛いくて演技力は確かな女優さんと思います。伊武雅刀さんのますます冴え渡る怪・妙演、独特の雰囲気と存在感には目を惹かれてしまいます。デリバリー嬢を演じる矢沢心さんの飾り気ない自然な演技は好いです。”タナカヒロシ”に好意を寄せる不法入国の弁当屋の娘を演じるユンソナさんは演技云々ではなく、そのままが健気で、可愛くて、溌剌と明るく、バイタリティー溢れる感じで好いです。スカーフをほっかむりした姿も純朴でレトロな雰囲気が可愛いです。プロレス界の風雲児、パンクラスMISSION鈴木みのる選手や『男と女のお話』『世迷い言』のヒットで人気を博し、ハスキーな歌声が魅惑的な歌手の日吉ミミさんも出演しています。

”タナカヒロシ”が伊武雅刀さん扮する怪し気な男と道端で偶然に知り合い、男が先生を務める『テルミンと俳句の会』というおかし気な会に入会し、そこで知り合った市川実和子さん扮する女の子”飯島”とのデートで付け焼き刃の危う気な俳句の知識を得意げに彼女にひけらかす、提出した俳句が評価されての得意げなしたり顔、そして”飯島”がレズビアンであるとことを知らされ、なおかつ振られてしまっての落胆ぶりが何とも滑稽で、切なくて人間味が感じられ、面白くも痛々しく、切実で、儚くて、愛おしくて好いです。俳句を詠みながらトランスに入るシーンも珍妙に彼の人となりを垣間見せる描写で面白いです。”タナカヒロシ”と愛猫の”ミヤコ”が血尿を出したシーンでは思わず"おわっ!"と声を上げてしまいました。小島聖さん扮する看護婦さんが生前入院中慕っていた”タナカヒロシ”のお母さんのお通夜かお葬式の手伝いの後にお色気で彼を誘うシーンが、何が起こる訳でもないのですが、2人のからみとかけあいの間が絶妙で何とも面白いです。

ストーリー自体は斬新・奇抜であるとか、ドラマティックであるとか、特筆すべきは感じられません。ハッピー・ラッキーとはいい難く薄幸・不幸なお話ではありますが、かといって決して破綻などきたしてりません。展開や演出のテンポは淡々としており、透明で無味乾燥な閑静とシニカルな諦観といったトーンの作品の中で鳥肌さんをはじめとした個性・異色的キャストがこれまた淡々と抑えた演技をするといった微妙なバランスというか、アンバランスの危うさを感じ取れて浸れれば、より面白く楽しめると思いますが、疲れるやも知れませんので、まま淡々と観た方が良いかも知れないとも思ったりします。
 
クレイジーケンバンドのエンディング・テーマ『シャリマール』をはじめ西田佐知子さんの『コーヒー・ルンバ』等劇中に流れる往年の昭和歌謡がノスタルジックで叙情・郷愁的で心地良く響きます。

”タナカヒロシ”は何故か女性に放っておかれないのです。でも恋が成就するといったことはないのです。

世知辛い当世にあって、人に心を開けず(開こうとせず)人の心にも触れられず(触れようとせず)不器用でなおかつ”立て続けに”不運に見舞われ(運が悪くて強い)ながらも淡々と平凡であろうとする”タナカヒロシ”には身につまされる思いもしたりしますが、彼自身は悪気はなくて、ある意味正直で優しく、人にとって大切な”想う気持ち”は失わずに持ち合わせて人生を歩む素敵な人でもあるような気がします。

ラストのささやかな幸せに心温まり、チョッピリ清々しく元気な気分になれます。

新たな一歩を踏み出した彼には幸せが待ち受けているやもしれませんし、今までのような不幸には見舞われないやも知れませんが、新たな不幸に苛まれることもあるやに思います。幸せや不幸が幸せや不幸との比較で実感するものなのだとするのでしたら...。

現代社会の病理の一端なのか、はたまた”タナカヒロシ”がヘンだったのか微妙な感じもしなくはないです。

*今回も以下は特に支離滅裂な戯言となってしまいました。
人生というのは過去しか振り返れませんが、その過去には決して立ち戻ることは出来ず、行く先は未来のみ、そうならば幸も不幸も振り返りつつも、なるべくなら前向きに未来に歩を進めるのが賢明なのやも知れませんが...。

自分のままであるようでいて、自らのありようを、無自覚にもすっかり他者に委ねてしまっているというようなことが往々にしてあるのでしょう。

当然のことでしょうが、普通とか平凡は幸も不幸も内包しており、そして善も悪も存し、特に悪については、恰好の隠れ蓑であることもあると思ったりします。

人の知覚には相対的であるやも知れず、物理的には普遍と思われる時間の経過にあって、どのような思考や行為をして時間を費やす(埋める)かということは、余計なこともせずにいられない人という存在にとっては、人生の意義なり日々の充足なり何なりを見いだす上で特に大事なことのようなのやとも思ったりします。


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2006年06月11日

「ぷりてぃ・ウーマン」

「ぷりてぃ・ウーマン」
2002年製作 日本
監督:渡邊孝好 製作/企画:鈴木光 プロデューサー:藤田義則、原田文宏、渡辺正子 脚本:高橋美幸、真崎慎 撮影:安田圭 美術;金田克美 編集:奥原茂
音楽:佐藤俊彦 音楽プロデューサー:長崎行男 照明:金沢正夫 録音:宮本久幸  
出演:淡路恵子、風見章子、正司照枝、草村礼子、絵沢萌子、イーデス・ハンソン 、馬淵晴子、岸部一徳、風吹ジュン、西田尚美、新晋一郎、斉藤洋介、竹井みどり、すまけい、蛭子能収、高橋ひとみ、山田隆夫、佐藤充、土屋久美子、風見しんご、津川雅彦、益岡徹、市川実日子、山田邦子、ミッキー・カーチス、秋野大作、鈴木正幸、金子貴俊、出川哲朗、チューヤン

いつも所在なく、日がな一日町の集会所で井戸端会議をしている婦人親睦会“ともしび会”のおばあちゃんたち。今日も淡路恵子さん扮するリーダー格の"葵"を中心にボーッと過ごしていると、そこへ市役所福祉課の職員が現われます。彼らは、市民サークルの日に行う発表会で"ともしび会"にも何か出し物を、とお願いに来たのでした。あまりにも突然の申し出におばあちゃんたちは困惑気味。そんな時、"葵"は里帰りしていた西田尚美さん演じる孫娘でしがないシナリオライター"加奈子"の荷物から1冊の台本を発見します。これを読んだ彼女は、市民サークルの日にこの芝居を上演することを思いつくのですが…。

静岡県に実在するおばあちゃん劇団“ほのお”をモデルにした作品とのことです。

ベテラン女優さん達のパワフルでカワイイ、味のある演技が何とも言えず好いです。キャリアが物を言いっています。岸部一徳さんは独特のテンポと存在感を持ち合わせており、怪し気名役やエキセントリックな役も好いですが、特に本作も含めお父さん役ではそれがより効果を発揮します。このブログでも以前に記事投稿した大林宣彦監督映画作品「水の旅人 -侍KIDS-」でも本作同様風吹ジュンさんと夫婦役を好演しています。とにかく淡路恵子さんがかっこ好く、西田尚美さんは可愛く、ミッキー・カーチスさんもカッコイイです。

演じることが出来る俳優さんをもっと大事に起用出来る作品がもっと多く作られることを望むものであります。

軽妙且つ奥深くメリハリのあるストーリーで、笑いあり涙ありの勇気と元気を与えてくれる感動のヒューマン・エンターテイメント映画作品です。人生の酸いも甘いも経験して来たおばあさんたちが芝居を始めたことをきっかけに様々な困難に突き当たりながらも乗り越える中で自らも周囲の人たち、そして観客にまでも人の可能性と幸せのなりようの一端を気付かせます。

何にでも最初の一歩をやる気と勇気(応業なものでなくても)を持ってさえ踏み出せば何とかなるやも知れません。何もせねば(これ"は"しない、あれ"は"しないと、これ"も"しない、あれ"も"しないとは別と思いますが)何ともならないと思います。

実在の劇団をモチーフにしているということもあってか「いーんだよ、どうせそのうち死んじゃうんだから!」との開き直りの台詞がおばあちゃんたちの前向きな決意を実感を込めて強く可愛く表現していて、痛快です。

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2006年06月04日

「座頭市と用心棒」

「座頭市と用心棒」
1970年製作 日本
監督/脚本:岡本喜八 製作:勝新太郎 原作:子母沢寛 脚本:吉田哲郎 撮影:宮川一夫 美術:西岡善信 編集:谷口登司夫 音楽:伊福部昭(『ゴジラ』に代表される映画音楽の大家) 助監督:中西忠三
出演:勝新太郎、 三船敏郎、米倉斉加年、岸田森、神山繁(確か「007」シリーズでボンドの上司”M”に扮しているジュディ・デンチとお友達)、細川俊之、嵐寛寿郎、寺田農、草野大悟、常田富士男、五味龍太郎、木村元、砂塚秀夫、田中浩(古い人には”ワンパクでもイイ!逞しく育ってほしい”という丸大ハムのTVCMでお馴染み)、木村博人、浜田雄史、新関順司郎、熱田洋子、黒木現、滝沢修、若尾文子

この作品については、公開当時僅か4歳ということもあり、レンタルビデオ店でDVDを手にするまでは全く知りませんで、勝新太郎さんと三船敏郎さんをはじめ、錚々たる俳優陣、そして監督には岡本喜八さんの名前がクレジットされているのを目にしても尚2大スターの共演、それも時代劇の2大キャラクターの対決というのにあまりにもストレート(安直?)な題名との印象から胡散臭い思いを拭い去り切れぬまま鑑賞しました(何故にそこまで疑心暗鬼になったのかよくわかりませんが)。

面白かったです。

「座頭市」シリーズ第20作で敵役として用心棒=三船敏郎さんが、登場し、座頭市と対決するというコンセプトのもとに製作された作品とのことです。そうして観ると更に納得して楽しめます。公開直後には「これは座頭市シリーズではない」との批評もあったとのことですが、うまいブレンドの「座頭市」シリーズとの印象です。89年に勝新太郎さん自身が製作した「座頭市」まで座頭市シリーズ最大のヒットだったとのことでもあります。

勝新太郎さん扮する"座頭市"が画面に映し出されてニヤリ、三船敏郎さん扮する”用心棒・佐々大作”が映し出されてまたニヤリ、とにかく2大俳優と、そのお2人が演じられる時代劇の2大キャラクターの夢の共演を目に出来るのが嬉しくて(お2人の共演はこのブログの投稿記事でも取り上げた「待ち伏せ」で観たことありましたが)ワクワク、ドキドキしながら観ました。“バケモノ"、"ケダモノ"とお互いを罵り合い反発し合いながらも引き寄せられ、一触即発、いざ接すれば火花散る2人の豪快にがっぷり組んでの筋肉と脳みその対決と、そして2人の抜け目のなさが最高に面白いです。ユーモラスな演技も好いです。ハードで泥臭くスピード感溢る殺陣は素晴らしくリアリティーを感じ見応十二分です。相変わらず三船敏郎さんの重低音の声は渋く五臓六腑に染み渡ります。

"座頭市"の昔なじみの蓮華沢の里を暴力で踏みにじるヤクザ、小仏の"政五郎”に雇われる"用心棒"を討つために骨肉の争いプラスα(裏に隠された悪事)で対峙する"政五郎"の父親、生糸問屋の"烏帽子屋弥助"に雇われる"九頭竜・跡部九内"を演じる岸田森さんがニヒルで格好いいったらありません。米倉斉加年さん扮する"政五郎"に「しぇんしぇ〜い」と呼ばれて"用心棒"を演じる三船さんが「しぇんしぇ〜い」とおどけ顔で切り返すのがユーモラスで面白いです。"座頭市"からも"用心棒"からも心を寄せられるヒロインで、かつてはやさしいおぼこだったが烏帽子屋への借金のために身体を売るようになってしまった居酒屋の女将”梅乃”を演じる若尾文子さんもオトナの女性の色香、気っ風のよさと芯の強さが感じられて好いです。"梅乃"を慕い守る"ちんぴら余吾"役の寺田農さんも可愛らしくて好いです。その他にも自責の念に駆られながら落ちぶれ生きるかつては里を束ねていた"兵六"役の嵐寛寿郎さんや穏やかな悪徳商人ぶりが何とも様になっている"烏帽子屋弥助"役に滝沢修さんをはじめ脇を固める俳優陣も素敵です。

スリル、サスペンス、ユーモア満載のダイナミックな超娯楽時代活劇です。テンポ良く、軽妙洒脱にして骨太、そして終いはサラリとスパイシーで好いです。

シノプシス(梗概[こうがい]。演劇・映画などのあらすじ)はダシール・ハメットの(『血の収穫』の)小説作法を参考にしたとのことです(黒澤明監督映画作品、本家「用心棒」もモチーフを『血の収穫』から得ているとのことですが、ということは松田優作さん主演映画作品「遊戯・鳴海昌平」シリーズ「殺人遊戯」も、また然りといえるのではと思います)。

終盤の一部トーンが変る悲劇的描写はインパクトとともにチョッと違和感を覚えなくもありませんでした。

勧善懲悪の単純な構図ではありませんが、如何にすさんだ世のとはいえ(だからこそ)2大悪(ワル=アウトロー)が悪い奴を容赦なく(?)斬ります。

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2006年05月29日

「イン・ザ・プール」

「イン・ザ・プール」
2005年製作 日本
監督/脚本:三木聡 プロデューサー:長松谷太郎、佐々木亜希子 エグゼクティブプロディーサー:三木裕明、坂上直行 原作:奥田英明『イン・ザ・プール』(文春文庫/文藝春秋)撮影:小林元 美術:花谷秀文 編集:高橋信之 音楽:坂口修 エンディングテーマ:シュガー・ベイブ『DOWN TOWN』 テーマソング:大滝詠一『ナイアガラ・ムーン』 照明:堀直之 録音:高橋義照
出演:松尾スズキ、オダギリジョー、市川実和子、田辺誠一、MAIKO、森本レオ、岩松了、ふせえり、きたろう、三谷昇

原作は『空中ブランコ』で直木賞を受賞した作家、奥田英明さんの同名小説『イン・ザ・プール』とのことで未読です。

もっと癖が強く、センスやテイストが理解し難い作品やも知れないと些か心配しておりましたが、流石、大好きな連続TVドラマ「時効警察」の監督も務めている(1、2、9話)三木聡監督映画作品だけあって面白かったです。同監督映画作品「亀は意外と速く泳ぐ」も是非観てみたいと思っています(観ました)。

気楽に楽しく観れて、気楽な気持ちになれます。

松尾スズキさん扮する好い加減な診察で直情的で自分本位で好き勝手、身勝手に立ち振る舞い、お気楽に過ごしている主人公(なのですネ)”トンデモ精神科医”伊良部一郎のもとを訪れる患者さんたちは、皆、世知辛く忙しない世の中にあって、心の病・傷やストレスから不安な気持ちが募るばかりで、悪い方へ悪い方へ考えてしまう負のスパイラルに陥ってしまっている様を観て、決して特別なおかしい人たちには映らず、”愉快”で、共感を覚えてしまいます。”伊良部”先生のハチャメチャに映る振る舞いや診療と演じる松尾さんの風貌、独特の雰囲気と台詞回しや仕草の演技に、はじめのうちは違和感を感じつつも、患者さんたち同様に観ているこちらも徐々にペースに巻き込まれ、不思議と癒され、この人はわかっているのかもと変な説得力すら感じてしまうのです。”チ○ポ男”と呼ぶのはあまりにも酷くて、可愛そうと思いつつ、思わず吹き出してしまいます。分かる変る治すのだとも思わされます。常に完璧、万全、健全で非の打ち所なくあることをもって満足とするなどという無理をしなくても良いのだとも思います。"Take it easy. Life's going on"の気持ちも大切なのでしょう。只、実際”伊良部”先生のもとを訪れるとなると怖じ気づくと思います。

患者役の”継続性勃起症”を患う営業マン”田口哲也”を演じるオダギリジョーさんと”仕事のストレス解消と称しどんなに忙しくてもプールに通うプール依存症”のエリート管理職”大森和雄”を演じる田辺誠一さんが好いです。オダギリジョーさんの止まっていられる演技というか所作は好いです。ファンだからやも知れませんが、下半身を露にしても面白くも様になっています。何でも確認せずにはいられず、仕事もままならない”脅迫神経症”のルポライター”岩村涼美”を演じる市川実和子さんは綺麗とはいわないのでしょうが可愛くて『時効警察』でもお馴染みの”田口”の上司役の岩松了さんと”涼美”の上司で編集長役のふせえりさん、そしてチョッとしか出演しませんが、刑事役の嶋田久作さんも好いです。エンディングテーマ、シュガー・ベイブの『DOWN TOWN』をはじめとした音楽も6・70年代ニューロックテイストといった感じで好いです(ニューロックといっても、その実よくわかっていないのですが)。

お話、お話の設定や登場人物の設定も些か奇妙、突飛でエキセントリックやも知れませんが、破綻はしておらず、どちらかというと現実のありようのデフォルメで、ある意味本質・実質的なリアリティーがあるようにも思います。ともすれば、シリアス、シビア、暗くて重苦しくもなり得るテーマの作品を原作からしてそうなのでしょうが、ユーモラスで辛辣なシニカルさや軽いスラップスティックさで楽天的でポジティブに笑い飛ばして見せていて巧くて素敵で面白いです。かけあいにリズムやテンポがあったりなかったり、ずれていたりと抑揚というかアクセントがあるところも面白いです。何というか、パッケージの作品といった感じがします。小ネタが効いています。観後感スッキリさわやかな作品です。

焦って携帯電話のメールを打たなくてもよいのです。

分かる変わる治る、分からない変わらない治らない。

そもそも人間は完璧ではありませんし、その人間によって構成されている社会で誰もが皆健全にあるというのは、(罪を犯してしまうというのは別にしても、)非常に困難なのも致し方ないのやも知れません。

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posted by ウォルター at 18:41| 🌁| Comment(2) | TrackBack(0) | 鑑賞映画について(邦画) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月18日

「Beautiful Sunday ビューティフルサンデー」

「Beautiful Sunday ビューティフルサンデー」
1998年製作 日本
監督/脚本:中島哲也 プロデューサー:宝田晴夫、畠中基博 撮影:阿藤正一 美術:寒竹恒雄 編集:遠山千秋 音楽:菅野よう子 音楽プロデューサー;金橋豊彦 助監督:吉美拓真
出演:永瀬正敏、尾藤桃子(あの尾藤イサオさんの娘さんで本業は歌い手さんです)、山崎努、益岡徹、岸部一徳、中村久美、菜木のり子、遠藤京子、ヨネヤマママコ、香川照之、松尾伴内

取り留めも、掴み所もないようで、何気なく惹き込まれてしまうといった不可思議なストーリーと雰囲気の作品との印象です。ファンである永瀬正敏さんが主演ということも多分に影響しているやも知れませんが。

一見穏やかな日曜日なのに舞台となるマンションの住人をはじめ登場人物は皆"so frustrated"です。彼らの織りなす日曜日が特異なのか、そうではない日常こそ異常性に満ち溢れているのかなどと思ったりなどしてしまいました。どちらも然りなのやも知れませんが。

冷たく世知辛いコンクリートジャングルにあっても上を見上げてみると、青い空が広がっています。追いかけられるから逃げるのか、追いかけられたくてにげるのでしょうか。平穏をもとめているようで、静かに深まり蔓延し行く狂気の様が滑稽でもあり空恐ろしくもあります。

岸部一徳さん扮するストーカーごっこをしている中年男がストーキング中に食べているおにぎりと珈琲牛乳の組み合わせが何故か面白く感じました。 打ち切りが決まった特撮ヒーローTVドラマ『リキッドマン』の脚本を手がけるうだつのあがらない作家”渋谷広介”の情けなげで、頼りなげな優しさが何だか愛おしかったりもします。永瀬正敏さんは、ロングショットだと忌野清志郎さんにチョッと似て見えます。上着とシャツのチョッとくずれた感じの着こなしがお洒落と思います。”広介”との夫婦仲が倦怠期気味で情緒不安定気味な”小夜子”を演じる尾藤桃子さんは飾り気がなくて好いです。”広介”に投げつける「してよ、幸せに」の台詞は痛切な思いと想いを感じます。中村久美さん扮する隠れ屋で秘かに自画像を描いている怪しい管理人さんも興味深いキャラクターに感じます。毎日決まった時間にもの凄い奇声を発するお婆さん(かぐや姫)を演じるヨネヤマママコさんの存在感は尋常ではありません。終盤の彼女の奇行シーンはファンタジックで素敵に思います。謎の殺し屋を演じる山崎努さんも冒頭とラストしか出ませんが、アクセントに感じられ印象強いです。これで鳥肌実さんでも出演していようものなら更にエキセントリックさが際立った作品になっていたと思います。因に松尾伴内さんとは一度だけ彼がプライベートの時にお会いしたことがありますが(といっても声をかけた程度ですが)、とても謙虚で人当たりの良い方との印象でした。

遊び心もちりばめられた作品です。

音楽をファンである菅野よう子さんが担当しているのも嬉しいです。

そしてまたいつもの月曜日を迎える...。

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posted by ウォルター at 00:31| ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 鑑賞映画について(邦画) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月14日

「いつかA列車(トレイン)に乗って/TAKE THE A-TRAIN, SOMEDAY」

「いつかA列車(トレイン)に乗って/TAKE THE A-TRAIN, SOMEDAY」
2003年製作 日本
監督/企画:荒木とよひさ 製作:鍋島壽夫 プロデューサー:貝原正行、柴田耕二 強力プロデューサー:塩谷慶一、小林千穂 脚色:中島信昭 オリジナル脚本:灘千造(「たそがれ酒場」) 撮影:岡雅一 美術:丸山裕司 編集:大畑英亮 音楽:デニアスアンドマミ 音楽監修: 三木たかし 照明:清野俊博 録音:志満順一 助監督:中西健二
出演:津川雅彦、加藤大二郎(加藤剛さんの息子さん)、真矢みき、栗山千明、真由子(津川将彦さんと浅丘雪路さんの娘さん)、小倉一郎、穂積ペペ、春田純一、愛川欽也、神野美伽、石田太郎、ベティ、中村育二、渡辺匡、峰岸徹、小林桂樹

内田吐夢監督映画作品「たそがれ酒場」のリメイク作品とのことで、作詞家の荒木とよひささんの初監督作品とのことでもあります。

津川雅彦さんをはじめ出演されている俳優の皆さん、特にキャリアのある役者さんの演技がシッカリしていていることもあり、見飽きない作品に仕上がっていると思います。丁寧に作られているとも思います。ここが見所という見所は特に見受けられませんが、こうした落ち着いた大人の雰囲気の映画がもっとあっても良いのにと思ったりもします。

ジャズバー"A-TRAIN"を舞台にそこで働く人や訪れるお客さんによって繰り広げられる男と女の愛、人生の機微と悲喜を描いたお話で、全編にジャズが流れますが、ジャズに余り馴染みがなくてもしっとりとした心地よい雰囲気に浸れるのでは、と思います。勿論ジャズの音色も素敵です。お酒を嗜む、食事を摂るシーンはきちんと飲んで食べている感じが伝わって来ます。細かい演出や演技がニクいです。大作ではありませんし、傑作とも言い難いですが、良作と思います。映画っぽい映画でなく、映画らしい映画といった感じの一本との印象です。スタッフ・キャストの皆さんがうまくまとまって作り上げた作品のようにも感じられます。

主人公になるのでしょうか、"A-TRAIN"の常連客”梅田”を演じる津川雅彦さんが、とにかく渋くて粋で人情味があって”大人”でかっこ好いです。同じ常連客で元検事の”平松”役の小林桂樹さんも矍鑠として貫禄があって好いです。"A-TRAIN"の歌姫、アンナを演じる真矢みきさんの艶っぽさと強さにはオトナの女性好きとしては魅せられます。"A-TRAIN"のスタッフでサキソフォニストをめざす”健一”を演じる加藤大二郎さんの話口調が、雑誌編集者・評論家の山田五郎さんに似ていると思ってしまいました。"A-TRAIN"のウェイトレス”知恵”を演じる津川雅彦さんの娘さん、真由子さんの面立ちは好きです。愛川欽也さんと神野美伽さんを恋人同士の役に据えたのは、キャスティングの妙と見ましたが...。

DVDのジャケット・デザインがかっこ好いです。

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2006年04月30日

「婦人排球 ママズ・アタック<OV>」

「婦人排球 ママズ・アタック<OV>」
2003年製作 日本
監督/脚本:伊藤秀裕 製作総指揮:中村雅哉、中島仁 企画:小野誠一、安藤重幸 脚本:橋本まさひろ、サタケミキオ 撮影:田中一成[撮影]  音楽:奥野敦士 
出演:片桐夕子、寺島まゆみ、小川美那子、日向明子、風祭ゆき、中村利恵、香那さやか、岡元あつこ、葉山レイコ、高橋明、白川和子

往年の日活ロマンポルノスターが出演されております。リアルタイムでは年齢的に作品を観られなかった女優さんも出演されていますし、日活ロマンポルノやピンク映画(古くはお色気映画)のいわゆるポルノ映画・成人映画やお色気系の映画は余り観ないのですが(80・90年代の作品をメインにアダルトビデオ[主に中古]を”収集”していたことはあります。あくまで"収集"を第一の目的としてです)、何やら懐かしいく感じます。

ストーリー云々よりも女優さんたちがママさんバレーのコートを華麗に(?)舞う姿が微笑ましく、元気をもらえたりもします。

作品全体に漂う懐かしげな雰囲気が好いです。軽い涙と笑いも好いです。

皆さんしっかり演技をされています。熟練の演技を見せてくれます。今やベテラン演技派女優の片桐夕子さんや白川和子さんも何か初々しく映ります。クエンティン・タランティーノ監督映画作品「キル・ビル」でハリウッドデビューを果たした風祭ゆきさん。彼女といえば今は亡き相米慎二監督映画作品で 薬師丸ひろ子さんが主演された「セーラー服と機関銃」と小中和哉監督、草刈正雄さん主演映画作品「くまちゃん」が印象に残っていました。

タイトルはティム・バートン監督映画作品「マーズ・アタック」をもじったものなのでしょうか。室井滋さん主演映画作品「ヒロイン! なにわボンバーズ」が思い出されました。

昔近代映画社から『EIGA NO TOMO 映画の友』(淀川長治先生が編集長を務められていた映画世界社発行の『映画の友』とは全く別の雑誌です)という日活ロマンポルノやピンク映画に関するグラビアや記事を掲載していた月刊誌が出版されており、学生時代にアルバイト先の本屋さんで(出来心から)数度、社員割引で買った覚えがあります。当時中学生の弟が寝室(この頃日本間を兄弟の寝室に使っていました)で寝入った後(アルバイトは深夜1時まででした)に勉強部屋でドキドキしながらこっそりページを捲って見たものです。まあ、もう18歳にもなっていたのですが...。本作に出演されている、小川美那子さんが載っていた号も購入した記憶があります。城源寺くるみさん、小松みどりさんや天地真理さんの掲載があった号も買ったやに思います。

皆さん、まだまだこれから!いけてます!!

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posted by ウォルター at 03:06| 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | 鑑賞映画について(邦画) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年04月27日

「なごり雪」

「なごり雪」
2002年製作 日本
監督/脚本/編集/ノベライズ:大林宣彦『なごり雪』(メディアファクトリー) プロデューサー:大林恭子、山崎輝道 脚本/助監督:南柱根 撮影:加藤雄大 美術:竹内公一音楽:山下康介他 主題歌:伊勢正三『なごり雪』 録音:内田誠
出演:三浦友和、須藤温子、細山田隆人、反田孝之、長澤まさみ、田中幸太郎、斉藤梨沙、日高真弓、小形雄二、左時子、津島恵子、ベンガル、宝生舞 

かぐや姫のメンバーの一人、伊勢正三さん作でイルカさんが歌い大ヒットした70年代を代表する名曲『なごり雪』をモチーフとし、大林監督がこれまでの尾道から大分県の臼杵に舞台を移して描いた甘く切ない、ノスタルジック・ラブストーリーです。

生の輝きと死の儚さ、喪失と再生を感性豊かに映像化しています。『青春(=過去と現在の)残酷物語』との印象です。大林監督独特の美しい情景描写に純真な優しさと残酷なまでの苛烈さを併せ持つ作品に思えます。青年期の純愛とエロス(いやらしさはありませんがそこはかとない淫靡のようなものがあるやに感じます)謎解きなど様々な要素が織り込められていて色々な視点で観れると思います。只、観ている時よりも観終わってからそれらの面白さがジョワジワと分かってくるタイプの作品と思います。本作に限らず、大林監督作品をDVDで観る際は、特典映像も観逃せません。

特に若い俳優さんについて、明らかに男優さよりも女優さんの起用に卓越した監督と思います。今作においては、須藤温子さん、長澤まさみさんと宝生舞さんを起用されています。特に宝生舞さんは好いです。裸体が眩しいです。結構女優さんを脱がす監督さんでもあります。

長澤まさみさんは、片山恭一さん原作の大ベストセラー小説『世界の中心で、愛をさけぶ』の行定勲監督映画化作品でで白血病の女の子を演じ、一気にブレイクし、今後も活躍が期待される若手女優さんの一人です。 お父さんは元サッカー日本代表MFで、ジュビロ磐田初代監督としてJリーグ昇格を果たした長澤和明さんです。史上最年少12歳で、第5回東宝シンデレラコンテスト(2000年度)で、35,153人の中からグランプリに選ばれ、芸能界入りしましたが、オーディションには中山雅史・生田智子夫妻の勧めで応募したとのことです。身長168cmと意外に長身ですネ。

宝生舞さんはその美人眉、魅惑的猫目、ハスキーな声と気強いイメージが魅力的で好きです。彼女も何故に園子温監督映画作品「自殺サークル」に出演されたのでしょうか。
因に、連続TVドラマ『時効警察』で園子温さんが監督・脚本を手がけられたStory #4「犯人の575は崖の上」#6「恋の時効は2月14日であるか否かはあなた次第」は好きです。そもそも『時効警察』と主役の"霧山修一朗"役のオダギリジョーさんとパートナー役の麻生久美子さんのファンなのですが。

ソーダ水の味が甘く切なげです。

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2006年04月22日

「約三十の嘘」

「約三十の嘘」
2004年製作 日本
監督/脚本:大谷健太郎 プロデューサー:久保田修、小川真司[製作]、原作/脚本:土田英生『約三十の嘘』(角川書店/角川文庫/ぴあ) 脚本;渡辺あや 撮影:鈴木一博 プロダクションデザイン:都筑雄二 美術:佐々木尚 編集:掛須秀一 音楽感集:二見裕志 照明:上妻敏厚 整音:岩倉雅之 録音:小林徹也 助監督:片倉章三 音楽:クレージーケンバンド 
出演:椎名桔平 中谷美紀 妻夫木聡 田辺誠一 矢嶋智人 伴杏里

豪華寝台特急トワイライトエクスプレスを舞台に6人組の詐欺師集団内での騙し騙され合いをコミカルに描いた人間ドラマです。

若手から中堅まで芸達者な俳優陣の共演が大きな見所です。皆さん良い役者さんばかりですが、詐欺チームの気弱で頼りな気な新リーダー”久津内”役の田辺誠一さんが特に好いです。クールな美人詐欺師”宝田『ババロアちゃん』”役の中谷美紀さんはどことなくけだるげで物憂げな感じとシックさが素敵です。”ゴンゾウ”がチョッと怖いです。

原作が劇作家の土田英生さんという方の戯曲とのことと、寝台列車という限定された空間を舞台に繰り広げられるお話なので映画にし難かったやに思われますが、演技派且つ個性派の俳優陣の演技と存在感、そして軽妙酒脱な台詞と台詞回しにより、ドラマチックさは余り感じませんが、ラストもサラリと綺麗に閉じられ、ウィットに富んだ軽いタッチに仕上げられている作品と思います。好きなタイプの映画です。サスペンスやミステリーとして観ては...と思います。クレイジーケンバンドの音楽が、作品をお洒落でゴージャスに彩っていると思います。

”嘘っていうのは、一つ大きな嘘をついたら三十個の小さな嘘をつかないと成立しないのさ”の台詞の通り、正に『嘘』がキーワードとなっている本作、『嘘』自体がセコい(意図的?)とか『嘘』と『嘘』をついたつかれた人の内面、心理描写が稀薄などと野暮なことを言っては楽しめないと思います。

寂しさ、切なさ、愛憎、欲望、裏切り、不信、疑惑、思い、想い、痛み、絆、安らぎ、癒し、喜び、幸せ...がちりばめられたチョッピリ素敵な””約三十の嘘””です。

ポスターやDVDのジャケット・デザインがガイ・リッチー監督、ブラッド・ピット主演映画作品「スナッチ」と似ている気がします。騙し(合い)繋がりでしょうか。堤幸彦監督映画作品「溺れる魚」ともチョッと似ている気がします。椎名桔平さん繋がりでしょうか。たまたま、でしょうけれど...。

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2006年04月13日

「乱れからくり」

「乱れからくり」
1979年製作 日本
監督:児玉進 製作:田中文雄 原作:泡坂妻夫 脚本:永原秀一 撮影:上田正治 美術:樋口幸男 編集:池田美千子 音楽:大野雄二 助監督:今村一平
出演:松田優作、篠ひろ子、野際陽子、沖雅也、峰岸徹、岸田森、結城しのぶ、田中邦衛、山西道広、北見治一

この映画作品公開当時まだ中学生の私は丁度本作の著者である泡坂妻夫先生仁木悦子先生都筑道夫先生、佐野洋先生、大藪晴彦氏の小説を読みはじめた時分であります。原作:『乱れからくり』(創元推理文庫/日本推理作家協会賞受賞作全集 (33) 双葉文庫)は既にもう読んでいた気がしますが、映画は観ておりませんでした。何年か後にビデオもしくは名画座で初めて観ました。その後も何度となく観ております。優作さんの出演映画の中でも割り方多くの回数観ている作品です。原作とは設定、ストーリー等若干〜かなり異なる部分があり、趣も異にしておりますが、私には現在はビデオかテレビ放映でしか観れないこともありますので(残念ながらDVD化はされていないと思います)劇映画作品として十分面白いです。松田優作さんのファンということも多分にあるやも知れませんが...。只、正直なところ当初は当時の優作さんの野性味溢れるイメージからするに本(ミステリー)作に出演というのは、些か突飛な感じ(違和感?)を抱いたのも事実です。初めて観た時よりもむしろ後に観返して、異色な感じも含め、より面白く感じる様になりました。

冒頭の競輪場のシーンや焼き鳥屋さんでご飯を食べるシーンなどは大好きです。白地に青の襟袖、三本線のジャージにオーバーコートを羽織りマスクをした出で立ちは最高です。興信所の面接で野際陽子さん演じる所長に志望動機として「フィリップ・マーロウのような探偵になれたらいいなと思いまして」とのはにかみながらの台詞も面白いです。

キャストもかなり豪華にして個性的です。野際陽子さん、田中邦衛さんをはじめとしたトータルコーディネートされない役者陣のチグハグな演技が、また何ともたまりません。妖艶な魔性の美女の篠ひろ子さん、蛇の様な目をし、冷血そうな人形フリークの峰岸徹さん、あやしすぎて笑える岸田森さん、駆け出しの松本刑事な山西道広さんと劇中でも...て涅槃に逝ってしまったスコッチ刑事な沖雅也さんの共演も愉快です。

野性味溢れる長身痩躯と長い手足、(鋼の肉体、)ユーモア、クールさとホットさ(情の厚さ)を野暮ったいジャケットと探偵といえばのトレンチコートに包み、その精悍な顔立ちの眉間に皺を寄せる優作さんが何とも好いです。張り込み中に飲んでいた三角牛乳も今や懐かしいです。体を動かすシーンでは野生を垣間見せます。力強くしなやかな躍動が美しいです。大野雄二さんの音楽も”ルパン三世のおじちゃん”に合っていて好いです。

原作はタイトル通り”からくり”やトリック”みだれ”る奇想天外な推理小説として評価も高く面白いですが、本作はミステリー映画としては如何なものでしょうか。事件の裏にある、江戸後期の加賀の豪商、銭屋五兵衛と彼の財宝がかくされているねじ屋敷の秘密や茶運び人形を作ったからくり人形師、大野弁吉に因む話、数々のからくりにまつわる話についての描写が不足気味な感はあります。

泡坂妻夫先生は本作で第31回日本推理作家協会賞長編を受賞している他、受賞はなりませんでしたが第79回直木賞候補にもなっております。因に『蔭桔梗』で第103回直木賞を受賞しております。

妖艶で哀しい魔性に魅惑され...。

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posted by ウォルター at 20:11| ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 鑑賞映画について(邦画) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする